18話
「愛桜待て!」
ガッと強く愛桜の手を引き寄せた
「あんなの見せたかったの?大のこと信じてたのに、酷いよ!」
「待てって。あれは違って」
「もういい。もういいから!!」
グッと強く腕を離されもう一度手を伸ばした
だけど
「待て、愛桜!」
拓人さんが強く愛桜の手を握り引き留めた
それと同時に俺に消えろと言わんばかりの目を向けた拓人さん
「あとは任せてくれないか?」
「じゃあ」
頭を下げてその場を離れた
「痛い、離して」
「悪い」
ゆっくり手を離すとうつむく愛桜が背中を向けた
「今更何?上手くいったとかの報告ならいらないから」
「愛桜」
こっちを向くように呼びかける
「どうしたいの?あの日来なかったのは拓人さんじゃん!」
「あの日本当は病院行ったんだ」
顔を上げ信じられないって顔をした愛桜と視線がぶつかる
「嘘つかないで、本当に聞きたくないの…
このままソッとしといてくれたら忘れられるから」
そう言って堪えてた涙を流す愛桜の肩を掴み胸の中に閉じ込める
「嘘じゃない」
「…だって、みんなそんな事言ってくれなかった
拓人さんが来てくれたことなんて聞かなかった!」
「ああ…黙ってもらってた」
「どうして?」
「俺もいろいろ悩んだ。愛桜が近くに居ない方がいいとも思った」
俺の胸を強く押し腕を抜けた愛桜は強く俺を睨んだ
「俺なりにちゃんと愛桜の事も紀乃の事も考えてた」
「もういいの
拓人さんの口からその答え聞いたら、もう…私…」
その言葉を聞けば私は心の大きな穴をこれ以上埋めることなんか一生できなくなる
そう思えば思うほど涙が止まらなかった
その腕に甘えて、抱きしめてほしい
優しい声で大丈夫って言って欲しい
だけどそれは私のものじゃない
大好きな人が違う人を見てる、その事実が胸を裂く
「もう…帰るね」
どんどん止まらない涙と息さえ上手にできなくなってくる
「兄貴のとこへ行く気か?」
「え?」
その言葉と同時にガッと近くのコンクリートに押し付けられていた
「結局誰でもいいのかよ?」
「拓人さん?」
「俺に突き放されたら、次は兄貴?」
「何?言ってる意味がわかんないよ?」
「兄貴が言ってた。卒業して誰も居ないなら結婚するって」
「結婚って…」
「ずっと考えてた、あの日から
俺の為にびしょ濡れになって、そんなになるまで待ってた愛桜のことも、ずっと妹だからって思ってた。いや、違う。妹だと思いこもうとしてた」
強く押さえられてた腕が離れ拓人さんは私の涙を指で拭った
もう涙で拓人さんが滲んで霞んで見える
「やっと解った
愛桜の事好きなんだって」
「…好きって?」
「もう遅いか?」
予想外の拓人さんの言葉に、いろんなことが頭を埋め尽くしていく
「だって如月先生と付き合ってるんでしょ?」
「誰が?」
「拓人さんだよ!さっきも抱き合ってた」
「紀乃の事はもうとっくの昔に断って終わってる」
「嘘。信じない。だって」
言いたいことがうまく言葉に変わらない
「愛桜」
そう呼ばれ重なった視線に目をそらした
「だって」
その後の言葉は
「!!」
強く、優しく塞がれた唇によって行き場を無くした
「んっ//」
恥ずかしくて足の先から頭の先まで熱くなっていく
唇が少し離れた隙に息を吸い込む
「待って、待って待って」
「何?」
近い距離で囁かれた声に言いたいことがまた消えていく
「あの…」
「もういいから、黙って」
強く頭を抑え、思いのまま唇を重ねた
少し抵抗する愛桜の手を押さえ深く思いを重ねる
「んんっ///」
ゆっくり唇を離し愛桜を見つめた
涙を流し、頬を赤らめ俺を見る愛桜をもう一度強く抱き締めた
「いっぱい傷つけてごめん
でももう好きだって解ったから」
「拓人さん…」
「ずっと流して逃げて、けど本当は俺の中で愛桜はずっと大切な子だった」
夢を見てるみたいな顔をしてる愛桜に愛しさが募る
認めてしまうとこんなにもいろんな気持ちが溢れてくる
「…本当?」
「ああ」
「本当に私でいいの?」
「愛桜しか居ねぇよ」
拓人さんの言葉にまた涙が流れていく
でもこれは辛い気持ちじゃない
「拓人さん!大好き…大好きだよ」
抱きついてくる愛桜を強く抱き締め返した
「もう忘れなきゃって思ったんだからね」
「悪かった」
「こんなふうになれるなんて思ってなかった」
「俺も。なんかでもスッキリした
たかが一ヶ月会わねぇだけで」
「長かったよ。拓人さんに会えない一日が」
そう言うと拓人さんは
「俺も」
っと言ってくれた




