14話
「愛桜の母さん、何考えてんだろうな?
友希は何か聞いてない?」
嘉はそう言いながら自販機にお金を入れる
「拓人さんが勘違いしてたことも、病院に来たことも内緒にしといて、って言われてもね
大と羽音はこういうの苦手だから言ってないけど
知ってる方は苦しいよね」
ガコンっとジュースを取り出し私に差し出してくれた
夏休みまであと少し
日差しがキツくて汗ばんでいく
「ありがとう」
「おう。…病院に拓人さんが来た時、なんていうか喜んでるように見えたんだ。愛桜の母さん」
「拓人さんのせいなのに?愛桜があんな目にあったの」
「俺達には想像できない月日があるから。
だからおばさんの中で彼女と居ても拓人さんは愛桜の為なら…ってなっちゃうとこが嫌だったんだろ?」
「だとしても拓人さん全然愛桜の気持ち気づいてないし…ズルいんだよね」
「愛桜に近づく奴には容赦ねぇし。一番痛いタイプだな」
「気づかせてあげたいね」
友希がそういいながら頭をさげた
「噂をすれば…」
俺たちから目を反らした拓人さんは店に入ろうとした
「拓人さん!!」
友希は呼び止め拓人さんに駆け寄った
「……よっ」
元気のない拓人さんを見て、またイライラが募る
「愛桜に会いに来ないんですか?」
「ああ」
「私達拓人さんが誤解してたこと愛桜に伝えてませんよ?」
「ありがとな」
タバコに火をつけ壁に持たれた拓人さんに嘉は
「何だよそれ。愛桜がどんな思いであの日あんなになるまで拓人さんを待ってたと思うんだよ!!」
と声を荒らげた
「………」
無言のまま拓人さんは私達を見つめる
「ズルいです、拓人さんは!愛桜が」
「話はそれだけか?」
言葉を遮った冷たい声と強く私達を睨む瞳
私達はただ、愛桜が幸せになってくれればいいと思ってた
好きな人と両思いなのに、どうして気づかないんだろってずっと思ってた
どんなに愛桜が頑張っても、拓人さんが変わらない限り愛桜は好きでいることも諦めることもあやふやなままずっと居てるんだと思うと心底この人が憎くなる
「…じゃあそうやって解ったふりしてずっと後悔してれば?愛桜を愛して大切にしてくれる人は沢山居るから!
わざわざ悲しい道なんか選ばさない」
友希はそう言って強く拓人さんを睨み返した
「友希帰ろうぜ…」
バンと怒りを露にして店に戻る拓人さん
「私…言いすぎた?」
「いいと思うぜ?
あんな後悔してる顔でいられちゃ愛桜がまた心配するじゃん」
「後悔してるならどうして会いに来ないの?
愛桜ばっかり拓人さんとの関係繋いで…見てられないよ」
「自分に行為持った相手がいつまでも好きで居てくれるって環境にずっと居るんだよあの人は」
「どういう意味?」
「簡単に言えば好きになったことないんじゃねぇの?ってこと。寄ってくる人と適当に付き合って適当に別れてきたんだと思うよ。
だから自分の気持ちに気づいてないんだよ
あの年になっても」
「嘉ってさ、本当に18歳?
そんなふうに考えたことなかった、また先生が弱みに漬け込んでっとか。そんな事しか考え浮かばなかったよ?私。」
「それ女脳だな。それより大遅くね?携帯取りに学校戻ってどんだけ経つんだよ」
「大のことだから、どっかで盛り上がってるんじゃない?」




