表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Not change affection  作者: janky
11/19

11話



「先生、ありがとうございました」

「いえいえ、だいぶ落ち着いてぐっすり眠ってます。検査も異常ないので、今日は大事をとって部屋で休んでてください」

「ありがとうございます」

「おばさんじゃあ俺帰ります」

「嘉君、本当にありがとうね」

「いえいえ、もっと早く見つけてあげれば良かったんですけど」

「ううん、愛桜も頑固だから」


ダダダ……

廊下に響き渡る音に2人がこっちを向いた


「ハァハァ…おばさん…」

「失礼します」


横を通る愛桜の友達の視線が痛い…


「拓人君ごめんね…今日はもう会えなくて」

「どっか悪いんすか?」

「ううん…疲れて寝てるからソッとしといてほしいの」

「俺を待ってたから。

本当にすみません」

頭を下げると

「ううん、愛桜も諦めないから、ねぇ拓人君…ちょっと話しよう」

そう言っておばさんは優しく俺の肩に触れた。



病院の外に出ておばさんが缶コーヒーを買ってくれ屋根のある所のベンチに腰掛けた

あれだけ降り続いた雨は止み月の灯りが俺たちを照らしていた


「拓人君…また見ない間に大人になったわね」

「全然っす…」

「蔵元の修行は大変?」

「そうですね…思ってたよりは」


どこか儚げな顔をしたおばさんは俺を見据えた


「ねぇ…拓人君、もう…愛桜に特別に会わないでほしいの」

「会わないでって…?」

「本当に小さい時から拓人君が大好きでね…

後ろばっか追いかけて…

これからもずっとそんな二人を見ていくんだっておばさん思ってたの…」


「……………」


「けど拓人君には拓人君の人生があって、私達が相容れない場所もある…でも愛桜はそれを解ってないのよ…

昔と一緒みたいに思ってて拓人君が愛桜を無下にできないことをいいように理解してる…」


「…確かに変わった部分もありますけど、愛桜とは上手くやってるつもりです…」

「本当にそう思う?」


真っ直ぐ見つめてくる目は傷つく娘を護りたいお母さんの目をしていた


「おばさんは拓人君が大好きだから言うの…

愛桜の中での拓人君は、小さいときから護ってくれて遊んでくれて優しいお兄ちゃん。じゃなくて…大きな存在で大切なの…」

おばさんの言葉に少しムッとした

「おばさん…俺だって愛桜は大切です」

そう、その大切に思う気持ちは俺にだってある

だけどおばさんは首を振った

「違うの、その気持ちとは一緒じゃないの」

「どういうことですか?」

「愛桜は特別に思ってるから拓人君の大切とはまた違うの」

理解して欲しいという懇願のような瞳に、言いようのない気持ちが溢れそうになる

俺が大切だと思うのに、どうして…

「俺の気持ちまで否定しないでください!」

「愛桜の大切と拓人君の大切はね、一緒のようで一緒じゃない」

「何が言いたいんすか?」

「愛桜を傷つけないでほしいの…あの子はお父さんが居なくて人より寂しい思いをさせてきたの。幸せになってほしいの。

わがままなのは解ってる、それに拓人君が愛桜を可愛がってくれてる事も解ってる。

でも現にあの子は、傷ついた…この雨の中帰ってくればいいのに一途に拓人君を待つような子なの。拓人君が本当に手をかけて大切にしなきゃいけない子は他にいるでしょ?中途半端な優しさは愛桜には苦しいだけだから

愛桜を思うならお願い、諦めさせて」


おばさんの言葉に何も言い返せなかった

家も近い、別に神社で話すことなんかない

だけどきっと愛桜はそうまでして何か言いたかったんだ


中途半端な気持ちで優しくしたつもりも、

傷つけたつもりもない


ただ思い当たるのは愛桜の笑顔を最近見てないことくらいだった


おばさんが帰った後の静まり返る病院でそんな事ばかりが頭を埋めていく


俺にしてやれることは何だろって…



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ