~この恋実りますか~
「えっ…告白?」
「うん、愛桜ちゃんしないの?」
私の顔をのぞき込みまじまじ見つめられる瞳から視線をそらした
「私が?しないよ!
無理無理」
「へぇ~」
そう言うと明らかに不信な瞳で見つめるもう1人の瞳からも視線をそらして顔をしたに向けた
私の名前は 紺野 愛桜
この春に高校3年生になり、2ヶ月が経ちました。
そして、私をまじまじ見つめている可愛い子は
松屋 羽音ちゃん 高校から仲良くなって3年間一緒のクラスです。
背は小さめですが、いつも笑顔で明るいムードメーカー
学校でも群を抜いて男女共に人気者
そして、私を不信な瞳で見つめているのが
藤堂 友希ちゃん 小学校からの親友で高校3年生にしてやっと一緒のクラスになれました。
友希ちゃんは私達より大人びていてクールビューティって言葉がそのまま当てはまる、友希ちゃんのための言葉だと思うくらい。
そして唯一の彼氏持ちです。
そんな2人と学校が終わり私の家に遊びに来てくれたまでは良かったんだけど話題は私の恋愛話…
「どうして?
拓人さんカッコいいし、愛桜の事気にかけてくれてるのに」
友希ちゃんはそう言いながら羽音ちゃんに同意を求めるように視線を送る
「そうだよ愛桜ちゃん、あんなカッコイイ人近くに居て何も無いなんて…」
「カッコイイのは確かだけど私なんか相手にされないよ…」
「またネガティブ愛桜始まったわね」
「だって…拓人さんは大人だから…私みたいな高校生には興味ないよ、絶対!」
「確かに大人だよ、でも愛桜ちゃんに興味無いかどうかは解らないじゃん」
「そうだよ、一番甘えやすいポジションでしょ?幼なじみって」
「幼なじみって言うよりは…近所のお兄ちゃんって感じだけどね…」
「私もほしかったな…そんなお兄ちゃん、私が愛桜なら凄く押すけどな」
自信満々にそう言う友希ちゃんが羨ましくなった
私の好きな人は、華園 拓人さん
今年で28歳になる私たちにとっては大人な人です。
華園酒屋店の次期蔵元になるために実家の酒屋店で修行中です。
その酒屋さんが私の家から6軒ほど離れたところにあって
私のお母さんと拓人さんのお母さんが幼なじみだったので小さい頃から仲良くしてもらってた。
私のお母さんは未婚の母で女手一つ私を育ててくれて、やっと今いい人が出来たみたい
ピンポ―ン
ハッとして物思いにフケてた思考回路が戻ってくる
「お母さん達居ないんだった!はーい」
階段を降りて一階に向かう
ガチャっとドアノブが下がり鍵をかけることを忘れてた為
玄関がゆっくり開いていく
「あっあの」
「おー、不用心だな愛桜」
開かれた玄関には、さっきまで話題に登っていた拓人さんが居た
酒屋さん独特の香りと商売繁盛の前掛けを垂らし
首に白いタオルを巻き汗を拭いながら玄関先に腰掛けた
「まだ6月なのに、暑いなっ」
「え?うん、っむ、蒸せるよね?今日。
それより、あの、どうしたの?」
「おばさん達今日遅いんだろ?晩飯食べに来いって母さんが言ってんだけど…」
「あ…その」
拓人さんを目の前にすると、言葉がうまく出なくなる
昔は沢山会話があったのに、意識すればするほどそれは壁となって私に立ちはだかる
ドンドンっと足音が聞こえ振り向くと
2階から羽音ちゃんと友希ちゃんが降りてきた
「愛桜帰るね?」
「愛桜ちゃんお邪魔しました
こんにちは、拓人さん」
意味ありげに笑った羽音ちゃんに
「おう」
と返事する拓人さん
「拓人さん、こんにちわ」
「おう、親父さんによろしく」
「はい、じゃあね・み・お」
「バイバーイ」
「ちょっと2人とも!!」
っと呼ぶ声は無視され2人は慌ただしく帰っていった
解ってる、気を使ってくれたことくらい
でもいきなり2人にしないでよって本心は誰にも悟られず恥ずかしさとしてこみ上げてくる
「慌ただしいやつらだな」
笑いながら拓人さんは
「来るか?」
っと言ってくれた
「うん!行く」
いつまでも変わらない距離で
ずっとずっと歩いていくんだって思ってた
今日までは…
【Not change affection】