1-8-2 『残念だったなぁ』
なぜか前話を中途半端にupしていたようです
1-8の続きです
少年に起こったのは紛れもなく“共鳴”だった。
能力者としての力を持つ者は、殆どが能力者の血を受け継いでいる者だ。
稀に能力者の血が混ざっていないはずの人物が覚醒することもあるが、それも本当は遠い昔の先祖に能力者がいたのではないかと乃至が思っているほどに数が少ない。
また、能力者の血が流れていようとも、全員の力が覚醒するわけではない。
能力者になれるかどうかは、“魂の伴侶”に出会うことが必須条件なのだから。
“魂の伴侶”は、人によって大きく変わっている。
それは時には剣や銃器、楽器であったり、珍しいが火や水であったりもする。
予知能力や瞬間移動、獣化の能力は一見“魂の伴侶”なんてものは存在しないようにも思えるが、本人たちにとっては能力を使うと確かに何かの存在を感じるらしい。
乃至の能力は水を操ること。
かなり珍しいうえに、使い方は自由自在。
能力の一つの尺度でもある“魂動”と“魄動”も強い。
その有望さを買われて、この間戦死したばかりのディフェリルの上司に代わり中尉に昇進した。
まだ自分は十五歳だ。
確かに能力者としてのスペックは高いし、幼いころから戦場に身を置いているのだから経験もある。
しかし、中尉という高い地位に就いているのは努力あってのものというよりも、たまたま素質を“持って生まれただけ”である事も十分に承知していた。
賞賛されるべきものでは微塵もないし、まだ子どもともいえる年齢の自分の昇進を快く思っていないものが少なからずいることもわかっている。
ただ、それが自分達の世界では“実力”と呼ばれるものであることも、誰もが嫌という程に分かっているのだ。
だから、誰も不満を口にはしない。
自分は長い“H. A”での暮らしの中で少ないながらも何度か“共鳴”を目撃してきた。
だからわかる。
鼓膜どころか、地面さえも揺らすような大きな鼓動の音。
時間がわからなくなるほどにまばゆい輝き。
吹き付ける熱風の、息も止まるような温度。
決して下級の能力者ではないはずのディフェリルが腰を抜かしてへたり込んでしまうほどの威圧的な“共鳴”は、ただの能力者の覚醒ではなかった。
この少年は、極めて非凡な能力者になる。
目の前の少年に云うべきは“実力”があったことへの祝福か、それとも、
『残念だったなぁ』
幼い自分が賜った、憐れみに満ちた
忠告か。
魂の伴侶::anima gemella。通称ジェメッラ。闇と戦える力。
共鳴::risonanza。人とジェメッラが起こす現象。これによって能力者にな
れる。
魂動::alma。ジェメッラが持つ波長。この波長の大きさが大きいほどジェメッラの力が強力であるとされる。
魄動::corpo。能力者の発する波長。この波長の大きさでジェメッラをどの程度扱えるかが決まる。
魂動と魄動が重なることで共鳴が起こる
詳しくは話の中で説明を入れようと思っています。
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