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春は無慈悲な時の女王  作者: メイア
第一章 春は無慈悲な時の女王
5/64

1-5 夢は枯野を駆け巡り次を映すその色に祈りを込める

[ 5 ]


鎌木家は何百年もの歴史を持つ反物職人の一族だ。


その素晴らしい技術と斬新な柄や色遣いのために、様々な時代で将軍や朝廷、時の権力者たちからの寵愛を受け、今も本家では、皇族や有力政治家との交流があると聞いている。


二藍の住んでいる地域では、そういった職人の一家は特に珍しいものではなかったが、それでも鎌木家ほどの歴史、技術、格式のある巨大な一族はそういない。


いったいその長い歴史の中で、なぜこんな風習が始まり、今も続いているのかわからないが、

鎌木家の男は『色』、女は『重色目(カサネノイロメ)』から名前をもらう。

『重色目』というのは着物の表地と裏地の色の配色のことだ。


男の自分が貰った色の名は、二藍。

呉藍(クレノアイ)、つまり紅色と(アイ)の二色からなる色で、暗い青に近い紫だ。

なぜ、この色を選んだのか。

幼い二藍が尋ねると、両親は決まって言葉に詰まった。

すると『枯野(カレノ)』と名付けられた姉はこう言うのだ。



『二藍は、昼と夜が変わるときの、一番綺麗な空と同じ色をしてるんだよ。


みんながあんそくを感じる夜を呼ぶの、


でも、夜だけだと人は寂しいから、

そっと、みんなを起こしてくれる――朝へと変わる色でもあるんだよ…すてきな名前でしょう?』



八つ違いの姉はとてもしっかりしていた。

二藍が、鎌木家の人間はすべて当主に命名され、両親が命名することは許されないということを知るのは、この数年後だった。





『二藍なら、解る事ができるの、


だって、二藍は…(アカ)も、(アオ)も、含んでいるから―――……』


鎌木枯野:二藍の実姉。海外留学中。鎌木朽葉と婚約中。

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