第二章~広井ヒロト編Ⅰ~
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■ 僕はこの町が好きだ
ここは、とある辺境の港町、烏羽【からすばね】町。町の産業は漁業と観光業がその大部分を占めている。ただ、若者のほとんどは高校を卒業したあと、都市圏に就職したり進学したりするから、町の人口は減りつつある。特に、ここ20年の間で、烏羽はずいぶんと過疎化したらしい。しかし、町の豊かな自然、青く澄み渡った海を見れば、やっぱりこの町に生まれて良かったと僕は心から思う。僕はこの町が好きだ、美しい烏羽を守り続けたいと思う。それが、僕の使命だと決め込んでいる。
■ 僕はこの町が好きだ
僕は町の中心、烏羽駅から少し離れた所にある烏羽工業高等専門学校、略称【烏羽高専】に進学した。高専は中学校を卒業後、5年間にわたり実践的な工学の専門技術を修得する学校だ。研究活動も盛んで、地元地域と密着・連携した研究を行っている。分かりやすく言えば、高校と大学をプラスして2で割ったような場所だ。そして僕は高専に入り研究をやりたい、と強く意気込んで進学したのだ。しかし、学生が研究に携わられるのは、最高学年である5年生だけ。現在、3年生の僕は単に授業を受けるだけの日常だった。だから、僕は退屈で仕方がなかったのだ。少なくとも、今年の夏休みが開けるまでは…。
8月31日、夏休み最後の日、学生の誰もが憂鬱な日であろう。僕は、実家から烏羽高専の学生寮へと戻った。烏羽高専は全寮制である。そのため、地元の学生も遠方から来た学生と同じく寮で生活しなければならないのだ。それでも、母子家庭で兄弟のいない僕にとって、寮生活は家族が増えたような気がして、とても楽しいものだった。僕は寮へ帰ると自分の部屋へ直行し、荷物をひと通り片付け終えた。そのあと、ラウンジで久しぶりに会った友人に出会った。
「おっす、ヒロヒロ」
「おっす、久しぶり」
「いやー、毎年思うけど、夏休みあっという間だよな」
「お前は毎年言っているよな」
「早速だけどさー、優等生のヒロヒロ君、夏休みのレポートってやってある系?」
「やってあるも何も、僕は夏休み入る前に全部終わらせた系」
「嫌な奴だな~お前は!………いやすごく良い奴だな、世界で一番良い奴だよ、さあそのレポートを見せるのだ」
「馬鹿野郎、馬鹿野郎だな、お前。どうせ来月末には試験だぜ。今自分の力でやっておくべきだ」
「俺はお前みたいに暇じゃないのだよ。俺には高貴で壮大な趣味のおかげで、夏休みは忙しかったのだよ」
「“女装”の何処が高貴で壮大な趣味だよ、馬鹿野郎!」
「おい!大きな声で言うな!」
“ヒロヒロ”というのは僕のあだ名である、本名は広井【ひろい】ヒロト、母の苗字だ。一方、女装が趣味の変態男は山口【やまぐち】コウタという。彼の名誉のために弁解しておくが、同性愛者ではない。ただ、趣味である女装はその域を越えており、自身の女装画像をインターネットのWebページで公開し、コアな人気を得ている。確かに、彼の端正な顔立ち、白く透き通った肌、サラサラの髪は男のそれとは程遠い。しかし、山口コウタの性格は、唯我独尊で、悪い意味で男らしい。そのため、僕のクラスでは“番長”と呼ばれている。番長の趣味が女装だなんて笑う他ない、笑われるくらいなら隠しておこうというわけで、彼の趣味を知る者は2年生のときルームメイトだった僕くらいしかいない。
「ったく、早々と俺を困らせる奴だな」
「お前が言えることかよ」
「困らせる奴と言えばさ、ヒロヒロの同居人、ついに学生寮に現れるらしいな」
「幽霊みたいに言ってやるなよ、病気だったのだから仕方ないさ」
「何にしろ、ルームメイトの1年生は、お前がしっかりフォローしてやらないといかんなあ、アッハッハ!」
烏羽高専の学生寮では1年生から3年生が二人部屋、4年生以上は一人部屋と決められている。また、3年生は必ず1年生と同じ部屋で過ごす。1年生に上下関係を身につけさせるための嫌な規則だ。ただ、僕のルームメイトである1年生は、病気か何だかで1学期中ずっと欠席していたのだ。ただ、2学期から突如復帰するらしく、僕の快適な一人部屋生活はここで幕を閉じた。明日から、自慰を我慢する苦行の日々が始まる。
山口にレポートを奪われたあと、僕は寮長の乙本【おつもと】ヘンリにアナウンスされた。乙本ヘンリは、僕が1年生のときのルームメイトである。温厚で非常に頭が冴えるため、下級生から強い信頼を得ている。その一方、少女を好んでやまない、所謂“ロリコン”と呼ばれる人種である。山口コウタと違って堂々と公言しているあたり、彼の男気はある意味本物だと云える。
「来たか、ヒロヒロ」
「お久しぶりです、乙本さん…」
「紹介しよう、この小さい子がお前のルームメイトの高相【たかそう】ヨシハルだ」
乙本さんが高相ヨシハルの肩をポンポンと叩いた。そのあと、俺の頭をボンボンと叩いた。
「彼が高相君ですか、3年生の広井ヒロトです。これから同じ部屋に住むことになるから、どうぞよろしく、寮生活は最初慣れないと思うけど、だんだん楽しくなってくるだろうから、心配はいらないよ」
「いえ、僕は中学校から寮生活なので。…広井さん…ですか、よろしくお願いします…」
「そ、そうか。じゃあ大丈夫だね、よろしく」
如何にも病弱な少年、背丈は短くか細い声。大丈夫だと言ってみたものの、正直“この先大丈夫だろうか”と不安に思った。
「ヒロヒロ、今から部屋を案内してやってくれ、あと寮生活のことや学校生活のことも教えてやってほしい、たのむぞー」
「はい、了解しました」
「じゃあ、俺は今から海岸沿いに張りに行くわ!」
「烏羽に帰った途端に、早速ナンパですか」
「俺は一週間前から烏羽にいるよ。それに、ターゲットは一人に絞っているから、断じてナンパではない!数日前、運命のようにして出会った、か弱く美しい少女!彼女とお話がしたいだけだ!!」
「歳は?」
「中学生くらいだ、素晴らしいではないか」
「…まあお話するだけなら、良いと思いますよ」
「アハハハハハハ!」
乙本寮長は高らかに笑っていた、どうやらご機嫌のようである。
「高相よ、コイツは見ての通りいちいちうるさい奴だ。だが、それだけに真面目でしっかりとした奴だ。お前の面倒をよく見てくれるだろうから安心しとけ!」
乙本寮長は相変わらず大きな声で笑いながら、か弱く美しい少女とお話をするため、その場を去っていった。一方、僕はか弱い少年に学生寮を案内した。ラウンジ、食堂、風呂、洗濯場、会議室、女子寮など。その間、彼は僕のジョーク交じりの問いかけに無難に答えながらも、常に下を向いて歩いていた。ひと通り案内を終えると、自分たちの部屋に戻ってきた。高相ヨシハルは部屋に着いた途端、ベッドに潜った。寮生活初日で疲れたのだろう、とも思ったが、彼に対して良い印象を与えられなかったのではないかという考えの方が強く、この先のことを不安に感じざるを得なかった。
9月1日、暑い日、朝から夏休み明けの集会があった。お決まりの校長先生の挨拶、学生主事の挨拶のあと、新任教官の挨拶があった。本来ならば、新任の教官は4月に配属されるため、とても珍しいことだ。その新任教官は、白い作業着を着ていた。40代前半くらいに見える。そして、毎朝ミントの葉を摂取しているのではないかと思うくらい爽やかな印象を持った。
「どうも、この度9月から皆さんの教官となります、足利【あしかが】カガミです。私は以前、都内にある国際先端科学技術研究所、通称ISLの研究員をやっておりました。しかし、この烏羽の悠大な自然に惹かれ、本高専へと移りました。いやー、素晴らしいですね烏羽は。本当に素晴らしい自然を持っています。特に、海が透き通っていて綺麗です、感動しました。皆さんの中にも、自然の美しさは神秘であり、何かが隠されているのではないか、と思ったことはありませんか。私は大雑把に言いますと、その隠されている“モノ”に対して科学のメスを入れる、という研究をやっております。詳しいことを聞きたい人は、ぜひ私の部屋に遊びに来て下さい。特に今年度は、時期的に研究学生を取れないので、私の研究を手伝いたいよ、お勉強したいよ、足利先生格好いいよ、と思った方はどの学年でも構いませんから、どんどんアポ取って訪問して下さいね。では、よろしくお願いします」
足利カガミは、僕ら5年生以外の学生にも研究の補助を求めた。願ってもないチャンスだった。僕は真っ先に彼の研究を手伝いたいと思った。肝心の研究内容は、あの説明では意味不明だったが、退屈な日常からの脱却できるなら何でも良かった。一方、僕の後ろにいる山口コウタは、足利カガミの経歴に関して興味を示していた。
「おい、あの爽やか新任教官、ISLの研究員だったらしいじゃん。ISLの研究者と言えば、その道のエリート中のエリート。何でそんな奴がこんな田舎の高専に配属された?罰ゲームに等しいぜ、こりゃ」
「研究のためって言っていたじゃないか。烏羽の自然に隠されている“モノ”だっけ、それを調査しにはるばる来たんじゃないの。研究者っていうのは、自身の生活や給料を無視してでも、好きなことをやりたい人種なのだよ。気持ちはわかる」
「お前わかったような事言うなよ、どう考えたってリスク高すぎるだろうが。高専の教官なんて、高校の先生と大学の教授に対応した仕事をどっちもやらなきゃいけないから、超多忙だぜ。当たり前だが、部活の顧問になれば休日は潰れるし、担任になればモンスターペアレントの餌食になる。いくら研究のためとは言っても、その研究の進捗に影響が出たら本末転倒さ。わざわざ優秀な人が就くモンとは思えねえ」
「そりゃ正論だけどさ、じゃあ何でココに来た?」
「俺が思うに、きっとISLで問題を起こしたのだよ。それが原因で、学会の偉い人達に相手されなくなったに違いない!」
「…お前って案外、悲観的というか現実的だな」
「そうだ、俺はいつも現実を見ている。だからこそ女装という非現実に情熱を注ぐのさ」
「…」
「おいおい無視かよ」
「…例え左遷されたのであっても、足利教官が元々優秀な研究者だったことには変わらないだろ。3年生の僕達でも研究の補助が出来るらしいし、良いチャンスだ。昼ごはん食べたら教官室に行ってみるよ、話を聞いてみたい」
「あ、そう頑張って下さい。俺は昼飯食ったら乙本さんでも誘って泳ぎに行こうかね、例の、か弱く美しい少女に振られた話も聞きたいし」
「振られたのか、そりゃ傑作だ」
今日は夏休み明け初日だから授業はない。ホームルームが終わり昼食を寮で摂ったあと、予定通り僕は足利カガミの教官室のドアを叩いた。足利カガミの教官室は開封されていないダンボールがところどころに散乱していた。当の教官は、その中央で床に座りサンドイッチを食べながら、本を読んでいた。その目は、集会の挨拶での爽やかさを失っていた。真剣で獲物を得るような鋭い眼差し、僕の中で何かがフラッシュバックされようとしていた。
「あ、足利教官…こんにちは…」
動揺した僕は、震えるように挨拶をした。
「…」
「足利教官、3年生の広井ヒロトです!この度、教官の研究を手伝いたいと思い伺いました!!」
「おうす、ちょっと食べ終わるまで待ってくれ、こんなに早く来るとは思わなかった」
少し違和感。振り向きざま、僕はPCデスクの上に唯一開封されているダンボールを見つけた。このダンボールの中には、さらに幾つかの小箱が敷き詰められていた。不思議なことに、僕の脳裏にはふと小箱の中身がぽつぽつと浮かんでいた。軽い目眩したあと、その中身が、例の自然に隠された“モノ”であることに気づいた。それと同時に、いつの間にか教官が僕の目の前に立っていることに気がついた。
「わっ!」
「君が広井ヒロト君か、普通だな」
足利教官の鋭い目が僕を射抜く。
「ぼ、僕を知っているのですか…」
「知っている…うーんと、まあね。さっき3年生の担任の奥寺教官がやってきてさ、成績表置いていったのよ。首席が君だったからさ、頭に残っていた。広井ヒロト、面白い名前だね、よく言われないかい?」
「よく言われますよ、みんな面白がって、僕のことをヒロヒロと呼びます」
「あっはっは、そりゃいいね。ところで僕の研究を手伝ってくれるらしいじゃねえか」
「その通りです。教官の研究について詳しく知りたいと強く思っています。さっきの集会で面白そうだな、って思って」
「ほう」
「お願いします」
「こんなに上手く口説けるとは…。僕は広井君の心をつかむ才能があるのかもしれないね。わかった、僕の研究は口で説明するより、実際に見てもらった方が早い。今から海行くぞ海、そこで広井君に見てもらいたいものがあるのだ」
唐突に海に行くと言い出した、足利カガミ教官。彼は僕にダンボールの中の小箱1つとラップトップPCを渡した。小箱を空けてもいいですか、と問うと、お楽しみは最後に取っておくものだ、と言いくるめられた。僕と教官は高専から徒歩10分程度の距離にある烏羽湾の海岸へと向かった。この海岸沿いには烏羽高専付設の小さな実験室がある。窓から烏羽湾を一望でき、主に海洋に関した研究を行っている教官、学生が利用しているのだ。また、海岸沿いの末端には、これもまた小さな灯台が建っている。この灯台は古くに建設されたもので、今は現役ではない。僕は教官に連れられるまま、実験室へと入った。
「素晴らしい実験室だよね、ココ。こんな所で学生の内から利用できる君は幸せ者だよ」
「そうかもしれません。でも教官は今日初めてココに入った訳ではないのでしょう?」
「ああ、お盆休みが終わって、こっちに引っ越して来てからは、ずっとここで実験しているよ。確か少し前に娘をこの海岸と実験室に連れて来てね、大変感動していたよ。彼女はずっと都会暮らしだったから、田舎の生活に慣れてくれるのか不安だったけど、僕同様に烏羽を気に入ってくれて本当に良かった」
「じゃあ、娘さんもこの烏羽に」
「お、興味ある顔をしているな。言っておくが、絶対に手出すなよ、可愛いかわいい一人娘だからな。この前も、ここの学生にナンパされかけて危なかった。まあ、惹かれる気持ちはわかる、何しろシンラは超可愛いからな」
「い、いえ大丈夫ですから。それより早速、足利教官の研究について知りたいのですが」
「まあ娘の話は今度にしようか、一応給料が発生しているし。さて、僕の研究だが、さっきも言った通り、説明するより見てもらった方が早いのだ。そこでだ、広井君、箱を開けてみてくれ…」
「わかりました、今なら開けてもオッケーですね?」
「いいぜ、ひと思いに開けろ、お前が開けるべきだ」
「はい!」
僕の手は震えていた。心臓がドクドクと脈打って、体中の温度が上がる。恐る恐る箱を開ける。中身を確認する。どくどくどくどく…。
「へ」
僕は情けない声を出した。無理もないだろう、明らかに重力を確認した箱の中身が【“空気”だった】のだから。
「アッハッハ!良い反応だ!アッハッハ!」
足利カガミは子供のように笑っていた。僕をからっかっているのか。久しぶりに大人を殴りたくなった。僕はその感情を込めた声で言った。
「何かの手品でしょうか、足利教官」
「手品だって、ある意味そうかもしれない」
「僕が学生だからって、からかうのもいい加減にして下さい!」
「おいおい本気で怒るなよ、研究者は常に冷静で温厚で知的であるべきだぜ」
「すみません…でも!」
「広井ヒロト!」
「はい!」
「制服のポケットを確認しろ」
「制服のポケット…?」
僕は言われるまま制服のポケットに手を突っ込んだ。固い何かがある、いつの間にポケットに入ったのだろう。足利教官は箱の中身を僕に気付かれぬようにポケットの中に入れたのだろうか。それじゃあ本当に手品じゃないか。僕はポケットの中のそれを握りしめた。すると、何処からかノイズが聞こえてきた。まるでイヤホンをして立体音響を聞いているみたいに、頭の中で音が鳴り響いた。非現実的な現象に驚きを隠せなかった。どくどくどく…。
「あ、足利教官…!こ、これ何ですか」
「これはね、ただの通信機と思ってもらえばいいわ」
足利教官の爽やかな声ではなく、女性の声と思われる音が頭の中に響いた。僕は明らかに混乱していたが、これも足利教官が仕組んだ手品に違いない、と思い平静を装うよう心がけた。僕は冷静になれ、温厚になれ、知的になれ、冷静になれ、温厚になれ、知的になれ、冷静に…。僕は必死に自分を落ち着かせた。手、足、心臓の震えは徐々に収まりつつあった。僕は息を飲んで、何処にいるのかわからない“彼女”に向かって話しかけた。
「わかりました、あなたは誰です」
「私は麻生ソウコという者。しかし、今は私に対する質問は禁止でお願い。私の言う質問に落ち着いて正直に答えて」
「は、はい…」
「落ち着いてね」
「落ち着いております」
「オッケー。じゃあ、一つ目の質問。いま何処にいる?」
「烏羽町、烏羽高専近くの海岸…」
「近くに何がある?」
「近くには…、灯台がある。古い灯台がある」
「わかった。じゃあ二つ目、いまの時刻を西暦から教えて」
「ええと…2012年9月1日13時17分です」
「三つ目、君の名前は?」
「広井ヒロト…です」
「なるほど…やったわね…」
勝手に達成感に浸る声の主。というか西暦もわからないって何だよ。未来か過去からの交信かよ。…いやもしかして、それが足利カガミの研究…?馬鹿らしい推測だ…そんな事あり得る訳がない。何にせよ、足利カガミに問い詰めれば分かる話だ。そう考えて、僕は足利カガミに質問しようと思ったが、彼はいつの間にか姿を消していた。小さな研究室の中には僕一人しかいなかった。研究室の窓から見える灯台は、青空の真っ昼間だというのに光を放射していた。何故か僕はその非現実的な状況に、ひどく恐怖を感じていた。
「大丈夫?少し深呼吸でもしてみる?」
「だ、大丈夫です…。それで質問は終わりですか。それとも何か他に要件があるのですか?」
「質問はいまのところこれで終わり。要件は…。要件は君が深呼吸をしてから言うわ」
「はあ…。深呼吸をすればいいんですね?スーッ、ハァーッ!!スーッ、ハァーッ!!」
「まあ男らしい深呼吸ね」
「要件を」
「では言います、【このままだと町は、世界はやがて破滅に向かってうごきだします、広井ヒロト、あなたに世界の救世主になってほしい】」
「ふう…」
僕は大きなため息をついた。
烏羽町、烏羽高専、新任教官、海岸沿いの実験室、灯台、自然に隠されている“モノ”、制服のポケットの中の“モノ”、謎の会話主、町の破滅、世界の破滅、救世主…、
広井【ひろい】ヒロト………、
………やがて町はうごきだす。
街と町と少年少女 第二章~広井ヒロト編Ⅰ~ END
二話目でございます、ご意見ご感想を頂けると幸いです。
次回は、第二章~有村アリカ編Ⅱ~です。再び舞台は街に移ります、お楽しみに。