↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR

聖女ガチャに失敗し魅了によって支配された王国の話

作者: 山田 勝
掲載日:2026/10/18

「婚約破棄だ。フランソーズ」


 俺は王子ドルクス、こんな陰気な女を捨てて・・・・



「これから聖女様を召喚するのだ。お前と違って素晴らしい女に違いない」


「そ、そんな」


「王宮を去れ。お前は役立たずだ」


 父上と母上も賛成してくれた。


「やっぱりドルクスの妻は聖女がいいな」

「ええ、そうよ。異世界の聖女様は優秀と聞きますわ」


「で、では、お父様に報せて参りますわ・・・その後、賠償金の話に・・・」


 全く、金の話か。浅ましい女だ。

 愛があれば金などいらないのだ。やっぱり愛していなかったのだな。


 フランソワーズを王宮から追放してから召喚の儀を行った。



「「「我らは魔王に苦しまれるだろう・・・しかし、恐れてはいけない。おののいてはいけない。女神様は聖女を遣わして頂けるからだ!」」」



 聖女様の婚約者になるのは俺だ。見目麗しい俺が跪いて求婚すればイチコロだろう。


 ボム!


「おお、魔法陣から聖女様の頭頂部が出たぞ」


 気勢を制す。

 まだ、体が出て切っていないうちに、跪き花を捧ぐ姿勢をとった。



「殿下、聖女様が・・・」

「顕現されました・・」


 良し、顔をあげて求婚しよう。そして、王国のために働かせまくろう。

 俺は顔をあげて求婚した。



「麗しき聖女様、どうか私の手を取って下さい・・・な、何だ。この女は・・・」


 いたのは・・・あれは何だ?・・・・いや、いい女だ。そうに違いない。


 とても素晴らしい聖女様が来られて俺は幸せに包まれた・・・






 ☆☆☆一月後



「フランソワーズ、大変だ。王宮と連絡が取れなくなった」

「まあ、お父様・・・」



 私はつい一月前、王太子殿下の婚約者だった。

 まだ、手続きがあるのだけど・・・・


「どうやら、現われた聖女様は魅了使いみたいだ」


「魅了使い?」


 最悪の事態のようだわ。王国が異世界人に支配されるわ。



「元王太子婚約者の名にかけて王宮に参りますわ」

「フランソワーズ・・・王家に恩を感じることはない」

「いいえ、お父様、民のためよ!」



 私は護衛騎士をつれて王宮に向かったわ。

 門衛たちは・・・・



「フランソワーズ様、どうぞ。殿下はお昼寝をしております」

「え、昼寝。魅了魔法で支配されているのではないのですか?」

「稽古が終わったから昼寝の時間です」


「稽古・・・」



 要領を得ない。王宮の庭には、不思議な舞台が出来ていたわ。東方諸国風の屋根がついていて、土の舞台だわ。周りを綱で囲まれているわ。



「これは何かしら・・・」


 調べよう。上がろうとしたら、大声で叱責された。



【ごっついのう~、土足で土俵に登ったらあかんぜよ!】


 見たら、黒髪、黒目は異世界の証の聖女様、しかし、太っている。その大きさはまるでオークのようだわ。


「わ、私はフランソワーズですわ!魅了使いと聞きましたわ!」


 すると、聖女様は・・・



「ごっついのう~、王子から求婚(プロポーズ)ごっつうされたでがな」

「貴方は何ですの?聖女ですの?」

「ごっつい女横綱をやっておったでごわす」


 すると、殿下が現われた。太っている。


「ごっつあんです。ヨシコ、ぶつかり稽古しようぜ」

「ウィッス、ごっつく太ったのう・・・・」



 殿下が歩くとドシンドシンと音がする。。

 そして、礼をしてドヒョウというサークルの外縁に張られている縄をまたいで入って・・・


 聖女ヨシコ様とぶつかり合ったわ。


「なにこれ・・・」


 バチンと肉の当たる音がする。

 そして、決まって王子は倒れる。


「「ごっつあんです」」


「陛下と王妃殿下・・・」


 陛下と王妃殿下も太っていた。


「義父と義母は股割りごっつうするのう~」

「「はい、親方!」」


 義父、義母呼び・・・もう、結婚したのかしら。



 それから私はお食事に誘われたわ。


「フランソワーズどん、ちゃんこ食べて行くがいい」

「はい・・・」


 私はこの魔法の正体を見破らなければいけない。

 夕食まで一緒にいた・・・晩餐会に呼ばれたわ。



「ごっついのう、ちゃんこ食べておくなされ・・・」


「スープ?」


「「「美味い!美味い!美味い!」」」


 王族たちはそう言ってスープを啜りだしたわ。


 これが魅了魔法の正体だわ・・・・

「フランソワーズどんもごっつうごっちゃんするでごわず」


「い、いらないわ!」


 私は逃げた。後も振り返らずに逃げた。

 やっとタウンハウスに戻れたわ。



「フランソワーズ、これからは私達に任せなさい」

「ええ、やっぱり魅了を使っていましたわ・・・」



 それから、優勝パレードなるものをヨシコ様はやるようになった。


 オープン馬車に乗って王都を行進する。まるで勇者様の凱旋行進のようだわ。

 太った王族とヨシコ様・・・・民は微妙な顔をする。


「それ、化け物聖女を討伐せよ!」


 騎士団が攻撃するが・・・


「ごっついのう。鉄砲!」



 全ての攻撃を平手で撃退した。


「ごっついのう。平幕以上なら稽古するぞ」




 貴族たちは対策を立てた。

 王宮をヨシコ様に占拠されている。


 私は旧勢力の王妃(仮)として旗頭になったが・・・・


「・・・・皆様、特に害はないのではないですか?」

「ええ、そう言えば、そうです」



 政治はそのまま貴族の合議制になったわ。


 そして、時々、王宮から番付なる紙が貴族会議に渡されるわ。


「何かしら、ヨコヅナヨシコ、コムスビ・・・が殿下?あら、騎士団長がセキワケだわ」

 レスリングの称号のようだわ。



 王宮の者達が王都前でレスリングをするわ。


 民は・・・・微妙な顔をして観戦する。

 太った王太子殿下、顔は整っているけどもデブだわ。

 街雀の間でも意見が分かれたわ。


「フランソワーズ様、浄化の仕事が滞っております」

「まあ・・・」


 そうだわ。この王国は聖女不在だったわ。故に聖女を召喚するとの話が絶えなかった。



「お金をあげて頼んでみますわ」



 王宮でヨシコ様に金貨の入った袋をあげると。


 何か、袋の上を手で何かを払う仕草をして・・・



「ごっつあんです」


 と言って懐に入れて、そのまま浄化の仕事をしてくれたわ。

 がに股で腰を落して座り。

 片足を下履きが見えるくらいあげて、地面に踏み下ろすわ。


 ドーンと音が響き。聖女様の足から波紋のように聖魔法が広がるわ。



 力は強いのね・・・


「フランソワーズどんは谷町でござったか。男娼酒場に一緒にいくでごわす」

「い、いいですわ!、いえ、本当に結構ですわ」



 これで良い。これで良いわ。王宮の食費が高騰したけれども・・・

 むしろ。王族の余計な口出しがなくなって、仕事がしやすくなったと評判になった。


 このままでいいわ。

 きっとそうよ。

 王政は緩やかに終わりを迎えるのね。


 と思ったら、凶報がもたらされた。


「フランソワーズ様、第二王子派が聖女召喚をしました!」

「ま、また!」



 王都の女神教会で行われたらしい。

 急いで向かうと、既に聖女様は召喚されていたわ。



「ノンノン♪はコンサートするノン♪」


 また、魅了、第二王子のラスカル殿下以下の派閥の方々は聖女様の歌をうっとり聴いていたわ。



「大好き、好き好き♪好き好き♪ラブラブゲッチュー!」


「「「「ノンノンちゃん!」」」

 私は思わずラスカル殿下に近づいた。

 頭に布を巻き。♡の図案が描かれていた。

 また、団扇にノンノン♡とか書かれていたわ。



「ノンノンちゃーん!」


 叫ぶ王子の肩を叩き事情を聞くわ・・・


「あの、ラスカル殿下、一体、如何されたのですか?」


「ああ、フランソワーズ様?今、紙テープを投げる機会を失いました。全くもう」

「紙テープとは?」

「素人ですね。紙テープを投げるとき芯を抜く。そうしなければノンノン♪ちゃんに当たるでしょう?」



 ピキと額に筋が立ったのが自分でも分かった。


「私はファンクラブ会長だ。少しも・・・ウギャー!」


「もう、そういうの良いから!」


 王子の喉元に扇をぶっさした。

 もう、このまま放置でいいわ。そうだわ。そうしましょう。

 放っておくことにしましたわ。




最後までお読み頂き有難うございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。