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聖者ですが、拉致監禁されたのでキレています  ――拒まれても、騎士は守ることをやめられない  作者: テレス


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16/30

聖者、猫がいなくなる

ガタゴトと揺れる馬車の中。


一頭立ての狭い空間だが、

それがかえって

秘密基地のような安心感を生んでいた。


「ケイ、変容と認識阻害の魔法をかけてはおくが、

 魔力が強いものには効かないから

 念のためフードは被っといてくれ」


「魔法?

 バン、魔法使えるの?

 どんなの?

 やってみて!」


「てか、なんで、話し方変わった?」


慧が身を乗り出して尋ねる。


”バン”と自分を呼ぶ、

たどたどしい発音と、

魔法やって!と飛びついてくる

甥っ子と同じ、キラキラとした目に

どうしても笑みが漏れる。


「何、ひとりで笑って...

 感じ悪いな...」


フードを脱いで、

被っていた猫も逃げたのか

ストレートに感情をぶつけてくる。


「いや、悪い。

 訳アリだとは思ってたが、

 訳が大きすぎて

 普段の話し方に戻っただけだ」


「この見てくれだから、

 怖がらせないように

 丁寧に話すようにしてるからな」


「魔法はほら、」


と、

慧の顔に手をかざして、

強めの風を吹かせる。


少し前の不機嫌な顔から、

目を丸くして口をあけて驚いた姿に

とうとうこらえきれず吹き出した。



ヴァンが夕食用の干し肉を炙る際、

指先から火を起こしたことから、

魔法講座が始まっていた。


結局のところ、

自分の魔力がどうこうは

わからないままだが、


どうやら魔力とは、

気のようなもので、

ドラゴンボールでいうなら

かめはめ波を撃つ要領で出す感じっぽい


(多分 出したことないけど)


魔法は魔力でダイレクトに出すものと、

術式を使って、出すものがあり、


どちらも力の差と特性が影響が強く

応用力とか発想力で発動がかわるため

単純な魔力の大きさで簡単に

優劣がつくものじゃないらしい。



「俺の魔法はだいたいが、

構成魔法ストラクチャー』だ。」


「構成……分子構造から?」


「分子構造が何かわからないけど、

 イメージを固定するんだ。俺の場合は」


「建材を組む感覚に近い。

 魔力を糸にして、

 編み込む感じで作ってるなだいたい」


「すげぇ!ナノテクっぽい!」


「ナノテクもわからないが、

 慧の国では火を使うときはどうするんだ?」


問われて、初めて、

なんの意識もせずに、

水も、火も、電気も、移動でさえも

簡単にできていた環境を思い出す。


「……全部……道具かな?


 日本じゃボタン一つで……

 んー、なんか押すものがあって、

 取っ手?みたいな、スイッチ?

 とにかく、ぽちっとして火が出るけど、


 それはガスと電気っていう

 大本のエネルギーの供給ラインがあって

 それを手元の道具で火に変えたり、

 風にしたりしてる……感じかな」


「だから便利な道具が沢山あって、

 個人の力にはあまり関係ない」


「携帯用の道具もあって、

 それを持ち歩いたりしてるかな」


ヴァンは独り言のように呟きながら

感心する。


「……道具による能力の嵩上げで、

 集団の水準を押し上げてるのか……」


「すごいな……

『供給ライン』もすごい発想だ」


話したことで、日本を思い出し、

もしかして帰れない事を思い出し、

慧は、齧ってたパンを置いてうつむく。


感情を堪えて震えるケイに

かける言葉が見当たらず、

ヴァンは背中をさする事しかできない


ヴァンに顔が見えないように身を寄せ、

耳まで真っ赤にして震える

ケイの背中を

トントンと叩き続けていると

いつの間にか穏やかな寝息に変わっていた



ヴァンは先ほど聞いた話を思い出し、

慧の細い身体と指先をみて、

慣れない環境で、

精神的だけじゃなく

肉体的にも負荷がかかっている事に気づく。


追手はくるだろう一一。

確実に一。


今後どうやって、

身を隠すか考えながら


なるべく疲れないように移動しないと

体から先に潰れてしまうかもしれない

かなり気も張っているが

まいってるだろう事は明白だ。


慧の背中をトントンと叩きながら、

火を見つめ

今後の移動手段を

考えだしていた。


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