1. 最悪な出会い
はじめまして。本作をご覧いただきありがとうございます。
幸せなパン屋の娘として育った主人公が、執着心の強い王子に再会し、運命を狂わされていく物語です。
ヤンデレ、執着、監禁といった要素が含まれますが、最終的には彼なりの愛の形に落ち着く「メリーバッドエンド」を予定しております。
初投稿で至らぬ点もあるかと思いますが、最後までお付き合いいただければ幸いです。
視界の端で、ふわふわと小麦粉が舞っている。
八歳の私は、自慢ののべ棒を握りしめて、目の前の少年を睨みつけていた。
王都の喧騒から少し離れた、下町にあるパン屋の裏口。その場所にあまりにも不似合いな、豪華な身なりの少年が立っていた。
磨き上げられた靴、汚れ一つない絹の服。そして、こちらを小馬鹿にしたような、冷たくて綺麗な瞳。
「……何よ。さっきからジロジロ見て」
「いや。あまりに滑稽だから。君、髪まで粉まみれじゃないか。まるでおばあさんだね」
少年はクスクスと、鈴を転がすような声で笑った。
「おまけに、そんな重いものを振り回して……。労働者は大変だね、ふふっ。僕はそんな野蛮な真似、一度もしたことがないよ。」
カチン、と頭の中で何かが切れる音がした。
毎日、父様の手伝いをして、一生懸命こねたパンが焼き上がるのを誇りに思っていた。それを「滑稽」だなんて。
「……帰りなさいよ! どこの誰だか知らないけど、あんたみたいな性格の悪い子に食べさせるパンは、うちには1つも無いわよ!!」
「威勢だけはいいんだね。……でも、その顔。怒るともっとおばあさんみたいだよ」
去り際に彼が残した、あの勝ち誇ったような歪な笑み。
私は震える拳を握りしめ、青空に向かって叫んだ。
(なんなのアイツ!! 二度と、二度と会いたくないわ!!)
でも、私の願いは神様に届かなかったらしい。
それから1カ月間、毎日のように少年は私をからかいにやって来たのだった。
第一話を最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
小麦粉にまみれて笑っていたリリアの幸せな日常に、嫌な予感(王子)が忍び寄る幕開けとなりました。これから彼女の運命がどう狂わされていくのか、見守っていただけると嬉しいです。
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