今日も一日が過ぎていく。死んでもなお一日一日を無下にしながら…
私は見ている。上空から人を見ている。
「ぃゃ…」
別に見ていない。ボーっとしてる。暑さも寒さも感じないが、なぜか空しさはきちんと感じられる。なんだかそういうもの一つ一つに腹が立ちながら、眉間にしわを寄せながら、電線を見ている。
「…」
自室に帰ろうかと、本当によく考える。
でも、親の悲しんでいる姿は見たくないし、もう悲しんでいない姿も見たくないしでやめてしまう。それに、行ってしまったら、休日の自分の頃のように自室に引きこもって部屋から出なくなるのだろうと思った。私は「黒に近い灰色」と言われたが、もう黒かもしれない。だったら自室に帰ったら、ただただ事故物件になってしまう。今でもそうかもしれないけども(違うかな?)、有害な方、解除されない方になってしまう。親もガッカリしてしまう。娘だとわかっていても何だか嫌である。
「…」
職場にも行ってみようと思ったが、皆の悲しんでいる姿は見たくないし、そして悲しんでいない姿も見たくない…。悲しい顔をせずに普通に働いている姿も、当たり前のことだとわかっていながら、心を不安定にさせる。「いらっしゃいませ!」と叫んだら皆に聞こえるのか、聞こえたらゾッとするのか、霊媒師を呼ばれるのか、霊媒師は呼ばれなくても塩でも置かれるのではないだろうか…など数珠つなぎで妄想してしまってやめている。
この、なんていうんだろぅ…不安定な性格はそのまま引き継がれるんだと深く思った。死んだからってそんなことしないよね私、ってことは絶対にしないし、傷付かなくていいのにって所でいつものように傷付く。死んでも自分の事をバカだと罵り、その罵りを真に受け止め見事に傷付いていく。
「誰とも話せずこの傷は、大きくなっているのか治っているのかも確認できず、孤独で無限な時間の中を、上に行ったり下に行ったり、無限に続く長く広い道の中で、80億人の人間を見ず、動物を見ず、鳥を見ず、虫を見ず、魚を見ず、かわいくもない好きでもない己のみを見て、今日も一日が過ぎていく。死んでもなお一日一日を無下にしながら…」