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今日なら…  今なら…  死ねるかもしれない

               ●

 電気を消して真っ暗な部屋。


 ご飯を残し、ベッドで目を閉じ何度も寝返りを打っていた彼女が突然目を開けた。


「…」


 彼女は体を起こし、少しの間ベッドの上で座っていた。


 どうしてかわからないけどなんだか嫌な予感がした。


 彼女はゆっくりと立ち上がり、先ほど食べ残したご飯がある机へと歩いていく。


 ご飯食べるのかな?と思って見ていると、彼女は椅子を轢かずに机の前で止まり机の引き出しを開けた。


「…」


 引き出しを開けたまま彼女は残ったご飯を見つめている。


「ぁぁ…ぅん」


 彼女はゆっくりドアの方まで歩いていき静かにドアを開けた。そして机に戻って両手でお盆を持って、部屋から出て静かに置きドアを閉める。


「…」


 引き出しが開かれた何もない机の上を見ながら何もせずに固まっている。


「ぁぁ…ぅん」


 引き出しに手を伸ばしシャーペンを出しノートを出す。


「ごめんなさぃ」


 彼女はそう呟いてノートにそのままごめんなさいと書き始めた。


 私はその時ゾッとした。彼女が命を絶つんじゃないかと直感的に思った。


「せっかく作ってくれたのに、ごめんなさい…いつも作ってくれてありがとう。ほんとうにありがとう」

 彼女は喋ったことをそのまま書いて、ノートを綺麗に切って静かにドアを開けお盆の下に挟んで音を立てずにドアを閉めた。


 また彼女は机の前に立った。少しの間何もない机を見てボーっとしてシャーペンを思い出したように置いた。そして目についたカーテンを開け、そのまま窓を少し開けた。


                 ○


 自分が少し興奮状態にいるのがわかった。


 変にアドレナリンが出ていて、普段できないことでも今ならできそうな気がした。


 今日なら…


 今なら…


 死ねるかもしれない


               ●


 ずっと心がざわついている。


 違うよね…そんなわけないよね…絶対違う。


 そう頭の中でずっと唱えている。


「…」


 だけど彼女が開いてる引き出しに手を伸ばし、少し長いビニールのひもを取り出した瞬間、私は外へ飛び出した。


 やばい…やばい!どうしよう…どうしよう!


 真っ暗な空とは反面的にぽつぽつと明るい地上。


「どうしよう?どうすればいい?」


 下にいる親を呼びに行こう!


「いや無理だ」


 私は人間には見えない


「じゃ、じゃぁ…」


 どうするの?どうすればいいの?


 彼女に声は届かない…


 触れることも、気付いてもらう事すらできない…


 そんな実体のない者がどうすれば助けられるの?どうすれば救えるの?


「ぁぁ!」


 私は内から出る怒りを静めながら、飛ぶことしかできなかった。

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