食べずに死にな
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部屋に戻ってご飯を食べる。
食べずに死にな
と頭の中で小声でつぶやく。
でも、どうせ、そんなこともできないだろう
とまたつぶやく。
じゃあなんだったらできるの?
たべてんじゃん!
たべたらしねないじゃん!
うるさいな、たべてるんだからだまっててよ!
そう頭の中で一人で喧嘩をして箸でつまんでいるお肉を見つめる。
「…」
なんで…何かを食べなくてはいけないんだろぅ?
「…」
急に私は(なんで…)のスイッチが入った。
「…」
なんで…この豚肉は私なんかに食べられているんだろぅ?
なんで…この無数のお米は私なんかに食べられているんだろう?
「…」
食べた物は、私の新たな血となり肉となる。
「なんで…」
食べた物は、消化されて排泄される。
「なんで…」
食べた物は、元は生きていました。
この世に生まれて、元気に生きていたのに、殺されて、私に食べられました。
食べた物は1日で排泄される。
殺して、食べたのに、私の中には1日しかいない。
そしたらまた、お腹が空いて、また殺された生き物を、お箸でつまんで、口に入れて、明日には体からいなくなる…。
「わたしはなにもしてないのに…」
一日寝ているだけなのに…
そんな奴の為に死んだの?
「…」
この豚は何のために生まれてきたんだろう?
私は何のために生まれてきたんだろう?
私はどうして生きているんだろう?
「…」
私はそのまま箸を置くことしかできなかった。
この世はなんて残酷なんだろう。




