学校に行かなくなって一年が過ぎた
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学校に行かなくなって一年が過ぎた。
それと同時に家から出なくなって一年が過ぎた。
全てから逃げ出して一年が過ぎた。
「……」
この一年色んな事を考えた。
このままではダメだと思い、考え方を変えようと思った。
プラス思考になって、今の私を変えていこうとした。
マイナスな部分を断ち切って、良い自分だけを残そうとした。
「変われた…」
無理だと思いながらやったので思ったよりも思考を変えることができた。
自分の現状を少し許せたり、生きていてもいいんじゃないかとも思えた。
「…」
でも、少し時間が経つと、なんだか自信がなくなって、やっぱり間違っているように思えて、許せなくなって、生きていてはいけないんじゃないかとまた、スタート地点へと戻ってしまう。
「…」
暗くなって、少し明るくなって、明るくなって、少し暗くなって、暗くなる。
それがなんだか空のように感じられて、私はベッドで横になりながらただ流れている雲を見つめていた。
「空が青くてきれいだな」
普通に1週間以上声を発さない日が続いてしまうので、こりゃダメだと思って一人で喋るようになった。発する言葉はポジティブなワードにしようと変なルールも決めた。
「ぁぁ、太陽の日差しが眩しいな」
ぁっ、そぅ
どぅでもぃぃょ…
「ふふ、楽しいな」
嘘つけ
つまらなぃょ…
「…」
喋るたびに邪魔な私が現れる。
お前が何か楽しむな。
お前はなにも楽しめない。
お前は醜い。
お前は死んだ目で下を見ていればいい。
「眠たいな」(死にたい)
「おはよう」(起きちゃった)
「おやすみ」(そのまま死にたい)
●
少し久しぶりに見る彼女は、横になったままずっと動かなくなっていた。
一日の大半を寝て過ごし、恐らく彼女が起きている時間はこれ以上は物理的に眠れないから仕方がなく起きている、という状態なんだなと見ていて思った。
「・・・」
午後7時、真っ暗の部屋の中で静かに彼女が目を覚ます。
ゆっくりとした動作で携帯を取り時間を確認する。
「・・・ぃたぃ…」
腰に手を当て足をツンと伸ばす。
もう片方の手で肩を揉む。
両手を上に伸ばし伸びをしながらあくびする。
「ぁぁ…」
また目をつぶる。
寝返りを打つ。
「・・・ぃてぇ…」
腰をさする。
肩を揉む。
何かをあきらめたように目を開ける。
またあくびをする。
携帯を手に取り眺める。
「・・・・・・・・・・・・・」
電気を点ければいいのにと思うが彼女は起き上がらなかった。
少しすると携帯から音声が流れ出す。
それは人の声か、機械の音声か、もう私には聞き分けられない…けど恐らく機械の音声なんだろうな…と思いながら彼女を眺める。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」




