表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/44

突発的に皆と別れた

              ●

 なにもない真っ黒な世界。


 なんとなくわかる。


 おそらくここは夢の中。


 この何もない世界に、私を殺したあなたが正座で座っている。


 両手の拳を強く握りしめて日々を耐え忍んでいる。


 私はそれに眉をひそめた


「ね、ねぇ…」


 彼に話しかける。立っていると偉そうに思えたから正面で私も正座になる。


「せっかく…せっかく生きているんだから、楽んだら?楽しんで残りの人生を送ったら?そっちの方がいいよ。つまらないのよりいいよ」


 言ってみたけれど、自分の言葉の語彙力のなさに頬が引きつった。


「いいえ」


 彼が答える。


「僕は笑ってはいけません。楽しんではいけません。僕は苦しまなければいけません。不幸でなければいけません」


 そう言い終えて、彼がほんの少し顔を上げて申し訳なさそうに私を見る。


「あなたを殺してしまったから…」


その顔に、その眉に、その真っ黒になってしまった瞳に罪悪感を覚えた。


「生きているって


 楽しいよ。


 楽しいはずだよ。


 物も掴めるし


 美味しいって思えたり


 楽しいって思えたり


 泣いてみたり


 笑ってみたり…


 ………」


 「………」


「ほら生きてるって楽しいでしょ?」


              ●


 よくわからない夢を見て、何も解決することなく夢から覚めた。


「楽しいってなんだ?」


 唐突にそんな疑問が浮かび上がり、尖がり、私に突き刺さった。


 この疑問は生きてる時にも感じていた。


「楽しいってなんだろう?」


「楽しいってなんだ?」


     ●


私「皆さん、ぇぇ、ぁぁ、ごめんなさい。あの、あのですね、彼もですね、あの、反省してるようなので、あの、許すことにしました。なんか、あの、いつまでも怒っていても、それは途方もない旅になるだけで、独りよがりの旅になるだけで、あの、意味がないのかなと、いう事に、なりましてぇ…」


皆さん「………」


私「ちょっとあの、私も、ここらで空気をと、いうか、なんというか、な、何かを変えた方がいいのかな?と、ぇぇ、思いまして、少し、少しばかり、ど、どこかに旅にでも行こうかな?なんて、思っておりまして…」


皆さん「寂しくなるわ、またね(要約すると)」


私「ごめんなさい、ほんと」


             ●


 突発的に皆と別れた。


 別に別れたかったわけじゃない。


 でもなにか、なんとなくだけど一人になりたいと思った。


 私は彼を助けることはできないんだ…


 そう思うとやるせなくなり、そのやるせなさは静かな苛立ちに直結した。


 出来るのにしないという贅沢を、本当に何もかも出来なくなった今の私は、それを羨望の眼差しで見つめる事しかできなった。


 そんな自分に吐き気がした。


 なんだコイツと思って蹴り飛ばしたくなった。


 不幸に酔った自分はもういいよ。


 何もできない


 わかったよ


 特に何かをしたいわけじゃないんだから


 そこに自分が留まることはおかしい


「……」


 じゃあ…


 どうすればいいんだろぅ?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ