それで黒くなっちゃったの?
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大工 「可哀そうにね」
メガネ 「まだ若いのにね…」
ラグビー 「急にだもんね」
細美さん 「びっくりしたでしょ?」
丸美さん 「それで黒くなっちゃったの?」
私 「え?ぁ、ぃや、よくわからないですね。なんか、最初から黒かったらしいですし…」
丸美さん 「え?誰から聞いたの?」
私 「病院で、他の方たちに、教えてもらって」
大工 「ああ、で、追い出されてきたわけだ」
私 「いや、追い出されたわけじゃなくて、自分で出てきたというか…」
メガネ 「え?どういうこと?」
私 「黒って、伝染するじゃないですか?」
ラグビー 「うん、するねえ」
私 「皆で私と話して、私を治そうとしてくれたんですけど」
細美さん 「それだけ黒いと難しいんじゃない」
私 「そ、そうなんです…私と話した人が灰色になっちゃって」
丸美さん 「で、追い出されたわけね」
私 「いや、追い出されたわけじゃなくて、このままだと、皆も私のせいで色が変わっちゃうなぁ…皆の平穏を壊してしまいそうだなぁと思って…」
メガネ 「抜け出してきたわけだね」
私 「ええ、まぁ、はい」
大工 「へえそう!珍しい奴だね!」
私 「珍しい?」
ラグビー 「大体は、色が濃いと追い出されるのがほとんどで、皆そのままここに来るんだ」
私 「え、そうなんですか!」
細美さん 「私も死んだときから黒かったから「出てけ!」って怒鳴られて、ここに来たんだもん」
私 「ぇぇ…そうなんですね…そこの人たちによって色々あるんですね」
丸美さん 「私なんて最初は受け入れられてたんだけど、なんかどんどん黒くなっちゃって、最終的に追い出されてきたのよ」
私 「へえ。ぁ、そうなんですね。ぁ、あの、前から疑問だったんですけど、黒くなっちゃうのってなんでなんですか?全然わからなくて…私、全然誰と」
大工 「黒くなっちゃう原因ねえ」
私 「ぁ、はい。ぇぇ、それが全然わからなくて」
一同 「……」
メガネ 「実のところ、僕らも全然よくわかってなくてね…」
ラグビー 「死んでからだいぶ経つけど、これだけはよくわからないね」
細美さん 「黒くなってもすぐ透明になる人もいれば、私達みたいに全然治らない人もいる、それに逆にまったく黒くならない人もしるし…」
丸美さん 「しかも、透明な人も黒い人も大きな差はないのよ。喋っている事は同じだし、鬱憤は皆にあるし、私達が特別大きいとは思えない」
大工 「でも透明な奴らは俺らを邪悪だとか、黒=悪いという一括りにまとめやがって、俺らを避けて近づいて来もしない」
私 「あ…そう、ですよね……それは本当に感じました。誰も話しかけて来ないです、本当に」
メガネ 「死んでも区別されるし、差別されるんだよ」
ラグビー 「嫌な世界だよ本当に」
細美さん 「ここに入るときも、同じような色の人たちの所へってやられてるのよ」
私 「あ!あの黒服サングラスの!」
丸美さん 「そうそう!あれで審査されて飛ばされるの!」
私 「あの人は…幽霊なんですか?なんなんですか?」
大工 「あれも噂では幽霊らしい」
メガネ 「なんか特別な力がある幽霊みたいだよ」
私 「え?特別な力?」
メガネ 「なんか、生きてる時とかでも特別な力…なんて言うんだろう、普通の人は持ってない力がある人っていたでしょ?」
私 「…」
ラグビー 「超能力でスプーン曲げるとか、占いとか予言で未来を当てるとかさ、あったじゃない」
私 「はいありました」
細美さん 「そういうあれの類らしいわよ」
丸美さん 「死んでから、そういうのになる人も結構いるらしいのよ」
大工 「ま!俺らには無縁だけどな!ははは!」




