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ワタシはニンゲンをニクンデいます

             ●

 ワタシはニンゲンをニクンデいます


 ノロいコロシテしまおうか?


「呪呪呪」


「…」


 ぇぇ、まぁ。役作りはこんな感じかな?


 白目の方がいいのかな?


「……」


 ぇぇ、まぇ、白目はできないから、上を向きながら黒目をぎゅるんと下にやろう。


「ぁぁぁっぁぁぁああああああああ」


 ジャパニーズホラー映画の怖い声を出してみた。


「完璧なんじゃない?」


「………ぅぅ………」


 ぁぁ、正直な話行きたくない。


 たぶん貞子みたいな人がいっぱいいるんでしょ?と思ってる。


「あああああああああああ」とか「きしゃあああああああああああ」とか「呪いうおおおおおおおおおおお」とか言っていて会話ができないんじゃないかと思ってる。


「絶対そうだよ…絶対そう…」


 嫌だ。嫌だけど行かなきゃ。お前はこのまっさらな世界にいてはいけないのだから。罰を受けろ。そして「ぎゃおおおおおおおおおおん」となり理性を失うのだ。さすれば時間もあっという間に経過するでしょう。まぁ。でも、人に迷惑はかけないようにね…。私…。


            ●


 山に近づく。黒い煙に近づく。


 ぁぁ、ぅん、どうしよう…やっぱりやめようかな…


 ぁぁ、でも、どうしよう…だったらどこ行こう…


 立ち止まる。立ち止まる。立ち止まる。空の上で立ち止まる。それはまるで


「あのぅ…どうしました?」


「!!!!!!!!!」


 背後から声を掛けられた。


 私か?私なのか?久しぶり過ぎる自分に対する?語りに驚きが止まらない。


「…」ぇ、ぃゃ、ぇ、でも、私じゃないんじゃない?だって皆私に話しかけてこないじゃない?


「ぁ」だからあれだ。私の後ろに誰かいて、「あのうどうしました?」「んえ?」「あらかわいい」「あらかっこいい」とかいうやつに今なってて、そこにいるモブが、今、勝手に


「!!!!!!!!!!!!!!」となっているのですね。


「ふん、もう…」


 振り向く。「ぅ」目が合う。


「あの…大丈夫ですか?さっきからずっと立ち止まってますけど…」


「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」え!私?私なの?私の後ろに何かいる?違う?いなかったもんね!横に誰かいる?ぇ!ぃなぃ。「ぇ…私?ですか?」本当に?嘘ではなく?ドッキリではなく?いじめですか?死んでもなお?そういう事ってあるんですか?


「え?えぇ…あなたですけど」


「ぁぁ」そうですか。


「大丈夫?ですか?」


「ぇ、ぇぇ」おそらく。


「ぁ、あそこに向かわれてた感じですか」


 山の方を見る。彼の目は黒い煙を見つめていた。(突然の彼という言葉に読者は驚いたと思う。でも、私は、むやみやたらに謝ることをしない)


「ぇ」「ぁ」「ぇぇ」


「じゃ、あ、自分もそこに行こうと思ってたので、よかったら、行きましょう」


 彼は律義に横に並んで、私を見ながら微笑んだ。生きてたらキュンとしたのだろうが、何とも思わなかった。


             ●


 飛んだ。飛んだ。飛んだ。急ぐことなくゆっくり飛んだ。


「あのぅ、あそこに私、ぃ行った事なぃんですけど、どんな感じなのですか?」


 恐らく先ほど頭がおかしなやつと思われたであろうから、名誉挽回と言わんばかりに生きてる時の記憶を思い出し、急いで取り繕った。


「ああ、どんな感じ、ですかね…そう聞かれると何と答えたらいいんだろう?難しいなぁ…」


 彼は灰色だった。濃い色ではなくどちらかというと薄い灰色で、すぐに透明に戻るような感じの色だった。


「まあでも、楽しい所ですよ」


「楽しい所?」


「ええ楽しい所」


「死んでいて楽しいなんてあるのですか?」


「ええまあ、あるのですよ」


 彼が笑った。彼は私と話しても灰色が濃くなったりしないのか心配だったが、彼を見てる感じ恐らく大丈夫だと思った。


 彼は受け流すのが上手かった。


 真摯に向き合われていないな…なんとなく話し掛けたんだろうな…皆にもこうなんだろうな…生きていたら嫌いな部類…


「踊るんですか?」影響受けないならいいや話そ


「はは!踊りませんよ」


「歌うんですか?」


「なんで歌うんですか」


「じゃあなんなんですか?」


「まあ行ってからのお楽しみということで」


「…」


               ●


 楽しい所?


 皆でドンドンと踊ることが楽しいとは別に思わないけど…


 皆で合唱団みたいに歌うことも楽しいと思わないけど…


 死んでいて、楽しいこと?


「…」


 想像もつかない…


 生きていてもあまり楽しいことを見出せなかったのに…


               ●


 近づく、近づく、近づく


 煙は近づいて見てもやはり煙で、私達は煙の中へ入っていった。


 ボフン!(実際こんな音はしていないがわかりやすくてよいかな?と思って)


 そこはやっぱり煙の中で、灰色の煙で視界が悪い。まぁでも、真っ暗ではないし進めないこともないよねという感じ。前の彼がどんどん先に進むのでそれに合わせて私も歩く。


「ははっははっははははっはは」「なにそれ!どういうこと?」「ははははは!」


 少し進むと笑い声が聞こえてきた。


「…」


 なんだかなだらかな下り坂を下っている。


「…」


 笑い声の方へ進んでいるようでその声はどんどん近くなっていく。


「ぅ?」


 少し先に扉があり、その横に人がいる。


「ぇ、ぁのぅ」


「え?ああ、その扉の先です。あなたなら120%入れますよ」


「ぁぁ…はぁ…」黙れ小僧!きちんと説明せぬか!なんか多分失礼なこと言ったなこいつ!小僧!死ね!ぁじゃなくて、なんだ?成仏しろ!


「…」それは悪口なのか?


 扉が近づく、近づく、近づく。


 扉の前に立つ。


 黒服で黒サングラスの大きな人(幽霊)が彼を見る。


「あなたはこっち」


 そう言いながら指をさし、上にスライドする。


 しゅ!


「んぇあ!」


 その瞬間彼が消えた。


「…」ぇええ!なんなの!死んだの?消えたの?死んでも消えるの?なんなん?は?え?ん?これが本当の死?とかいうやつ?一瞬なの?こんなに一瞬なの?痛いの?痛くないの?


 黒サンが目を大きく開け口を大きく開けている私を見る。


「あなたは…こっち」


 指をさす。

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