進んで、進んで、進んだ先に、孤独が待っている。
母と喧嘩をして何とか一日休んだが、次の日は学校へ行った。
母は昨日の夜ごはんも今日の朝ごはんも作ってくれなかった。今朝も顔を合せなかった。
母も私も顔を合わせるのを避けるように、お互いの音に注意を払いながら過ごした。
今部屋出たなとか、今ご飯作ってるなとか、それ以来リビングにいるのか部屋に帰ってこないなとか、お腹減ったなとか、速く自室に帰ってくれないかなとか、カップラーメン食べたいなとか、etc、エトセトラ、ETC
母親とは気まずいし、今日は学校へ行くことで反省の色というかなんというかを見せつけて、昨日はごめんなさいのアピールのつもりで学校へ行った。
まあ、しょうじき、行きたくない。
母と喧嘩してでも行きたくなかったのだから、そりゃもう行きたくない。
でも行かなければいけないのだ孤立をしてでも。
「…」
なんのために?
勉強のために?国語の為に?数学の為に?体育の為に?古典の為に?科学の為に?日本史の為に?世界史の為に?
「なんのために?」
わたしのために
「は?」
わたしのために、孤立しに行くの?
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
駅で電車を待っているが、電車が来なければいいのに
電車が事故でとかだと怖いから、今日は電車はお休みですと来なければいいのに
「…」
電車に乗っているが、学校の駅に着かなければいいのに
電車が事故でとかだと怖いから、今日は学校の駅には停まりたくない気分なのですと通り過ぎてくれればいいのに
そんなに速い速度で移動しなくてもいいんだよ
そんなに急がなくても私は遅れないのにな。まあ皆は遅れるんだろうけど
止まってくれていいんだよ。疲れたから止まりましたと言っても私は怒らないよ。まあ皆は怒るんだろうけど。
「…」
電車は私の願いを聞き入れず、到着時間ぴったりに学校の最寄り駅に到着した。
「…」
行きたくないと母親に歯向かう勇気はあったが、駅を通過してどこかに行ってしまおうという勇気は湧いてこなかった。
「…」
同じ制服の人たちが至る所にいる。
見るのも嫌だと目を伏せる。
下を向いて歩く。下を向いて歩く。下を向いて歩く。
学校が近づくにつれて、胃が痛くなる。
学校が近づくにつれて、嘔吐しそうになる。
でも、そんな学校が大好きだ。
嘘を挟んでみたが、気持ちは一向に晴れなかった。
おかしいな。
「はあ」
死にたい。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
学校に着く。下駄箱に行く。革靴を脱ぎ上履きを履く。この履き替える文化必要なの?とここ最近密かに思う。階段を上がる。3年生の教室。階段を上がる。2年生の教室。階段を上がる。
「…」
立ち止まって帰りたくなるが、後ろにも人がいるので頑張って進む。
頑張って進んで、進んで、進んだ先に、孤独が待っている。
処刑の列に並んでいるような気分で歩く。
本当に処刑されるよりましでしょ?と頭で唱えて進む。
そうして今日も孤独に耐える。
そうして明日も孤独に耐える。
明後日も明々後日も孤独に耐える。
来週も再来週も孤独に耐える。
来月も再来月も孤独に耐える。
来年も再来年も孤独に耐える。
耐えた先には、光があると信じて。




