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正義の魔法少女に断罪を、邪悪な魔族に救済を、そして断罪を。

作者: 巫月雪風

魔界から攻めて来た魔族と、二人の魔法少女の戦いは、魔法少女の勝利に終わった。

魔族は全滅し、魔族の住む魔界と、地上の間を繋ぐゲートは永遠に閉じた。

これにより戦いは終結し、少女達に魔法少女に変身する力を与えた精霊は天界に帰っていった。


それから二年後、かつての魔法少女、朱莉と青葉は中学生になっていた。

そして、そんな中、朱莉は恋人の雄馬に殺される。


でも、それは朱莉が望んだことだった。

 魔界から攻めて来た魔族と、二人の魔法少女の戦いは、魔法少女の勝利に終わった。

 魔族は全滅し、魔族の住む魔界と、地上の間を繋ぐゲートは永遠に閉じた。

 これにより戦いは終結し、少女達に魔法少女に変身する力を与えた精霊は天界に帰っていった。


 それから二年後、かつての魔法少女、朱莉(あかり)青葉(あおば)の二人は現在中学生だ。

 明るく元気で友達思いの朱莉(魔法少女マジカル・ルビー)

 クールな頭脳派で大金持ちの青葉(魔法少女マジカル・サファイア)


 家が近所の二人はいわゆる幼馴染で、現在は同じ中学校に通っている。

 とは言え、最近朱莉は青葉と帰る事が減っていた。


 というのも、朱莉に最近彼氏が出来たからだ。

 そして、彼女は今日、両親がいないタイミングを見計らって、彼氏の雄馬(ゆうま)を家に呼び寄せ、自身の部屋に招き入れるた。

 そして、彼に座るよう促し、自分も向かい合うようにその場に座った。


「朱莉ちゃん。どうしたの、いきなり家に来て欲しいなんて」

「う、うん。その……ね。雄馬君に話しておきたい事があって」


 朱莉は恥ずかしそうにしばらくモジモジしていたが、彼女は意を決して立ち上がると、


「天よ、我に赤き力を!」


 朱莉がそう叫ぶと、彼女の体の周囲を赤色の光の帯が囲った。

 そして、


「魔法少女!マジカル・ルビー!!」


 彼女は魔法少女に変身した。

 服は可愛らしいヒラヒラの姿に変わり、髪や目が赤色に光っている。


「あ、き、君は……」


 雄馬はあまりの事に驚き、絶句していた。


「黙っていてごめんね。実は、私が魔法少女だったんだ」


 雄馬はあまりの事に驚いていたが、しばらくして気分が落ち着くと、立ち上がった。


「本当に……本当に君は魔法少女なのか?」

「うん。そうだよ」

「そう、か……そうなんだ」


 雄馬は意を決すると、彼女の両肩を掴んだ。


「朱莉ちゃん……」

「雄馬君……」


 朱莉は目を瞑って、雄馬は彼女をベッドの上に押し倒した。

 そして……




 雄馬は朱莉の首を絞めた。


「ゆ、雄馬……くん」

「朱莉ちゃん、死ね!死んでくれ!!」


 雄馬は朱莉の首を絞め続け……


「ご…べん…………ね」


 朱莉は最後にそう言って、絶命した。


「……ははは」


 雄馬は笑っていた。

 泣きながら笑っていた。


 雄馬は本当に彼女の事が大好きだった。

 でも、殺さざるを得なかった。

 なぜなら……


「やったよ……父さん、母さん、兄さん、お姉ちゃん。皆。仇を……仇を討ったよ。僕らの宿敵、魔法少女の一人を殺したんだ」


 雄馬は魔族だった。

 魔族は外見は人間とは変わらないが、生まれながらに魔族の力の根源である魔力を持っている。

 しかし、彼は魔力が極めて弱かったため、戦いに出る事は無かった。


 そもそも、魔族が地上に向かっていたのは、魔界が毒素に覆われ始めていたからだ。

 毒素により、年寄りに子供、赤ん坊、そして病弱な物はは皆死んでいき、雄馬と同い年の少年少女が最年少になった。

 それゆえに、地上に移住しようとしたのだ。

 決して人類を殺そうとか考えていたわけではないし、地上のルールに従って当然と思っていた。


 しかし、天界の神々はそれを許さなかった。

 地上に精霊を派遣し、ゲートの地上側の出入口の傍の学校に通う少女二人を魔法少女にして、戦わせた。

 魔法少女には、魔族を探知する能力と、対魔族に有効な魔法武器を持っている為、魔族は次々と殺されていった。


 雄馬は魔力が弱く、それゆえ毒素への対抗力が弱かった。

 幸い死ぬほどでは無かったものの、体が弱まり、歩く事すらやっとの体になってしまったのだ。

 雄馬の家族は、彼を、そして同族を守る為、魔法少女との戦いに赴き、そして帰って来なかった。

 家族だけじゃない。

 彼の友人、知人、民に慕われていた魔王様まで、皆殺しにされた。

 彼の知っている人は、誰もいなくなった。


 魔法少女二人によって。


 ただ一人生き残った彼は最後の力を振り絞り、ゲートから地上に向かった。

 すでに彼以外の魔族は亡く、天界からは倒す価値無しとみなされたが故に、彼は地上に無事に付くことが出来た。

 だが、すでに毒素で体がボロボロで、地上に着くまでに全ての体力を使い切った彼は、地上に出た後、ゲートから離れた所で気を失ってしまった。


 ……そんな彼を見つけたのは、朱莉達だった。

 連れていかれた病院で彼は回復し(そもそも毒素は地上にいるだけでちょっとづつ抜けていく)、現在は青葉の屋敷で住み込みの使用人として働きながら魔法少女達と一緒の学校に通っていたのだ。



「……でも、今日でこれも終わりだな」


 殺人を犯してしまったのだ。

 魔力が弱い雄馬には死体を隠す能力は無い。

 今日にも朱莉の死体は発見され、警察の捜査が入るだろう。

 そうなれば、雄馬はすぐにでも逮捕されるだろう。


「他の魔法少女は、多分青葉ちゃんなんだろうけど……」


 さっきは勢いで行動を起こしたから殺せた。

 だけど、今、再び魔法少女を殺せるかと思うと、答えはNOだった。


「でも、殺さないと……」


 雄馬は朱莉が本当に好きだった。

 いつも優しく元気な朱莉……

 地上に不慣れな自分を何度も助けてくれたっけ。

 ついさっきまで一緒にいたのに、ずいぶん昔の事のような気がする。


「じゃあね、朱莉ちゃん」


 死んで魔法少女の姿から普段の姿に戻った朱莉に、雄馬は別れの言葉を掛けた。

 そして、そのままフラルラと部屋を後にした。


「そうだ……きっと僕が魔族だと知っているから、油断させていいように利用する気だったんだ。じゃなきゃ、僕の心を弄んだ後で殺そうとしていたんだ。きっとそうなんだ。そうに決まってる……」


 雄馬自身でも無理があるとわかっているが、そう思い込むために呟いた。

 大体、魔力がほとんどない、普通の人間と変わらない自分を油断させる理由が無い。

 でも、そう思わないと、前に進めないから、そう思う事にした。


「とにかく、早くここから逃げないと……」


 そう言って、フラフラと朱莉の家から出ると……


「遅かったわね」


 家の前で待っていたのは、不機嫌な顔をした青葉だった。


「青葉……ちゃん?」

「ええ、そうよ。それとも……魔法少女マジカル・サファイアと名乗った方がいい?魔族の雄馬君」


 青葉はあっさりと自分の正体をばらした。


「やっぱり……そうなんだ。君も魔法少女なんだ」


 なんだか、もうどうでもよかった。

 彼女が魔法少女な事も、自分が魔族だとばれていた事も。

 さっきまであった魔法少女への殺意も、なんだか消えてしまっていた。


「ええ、魔法少女をやっていたの。あなたが殺した朱莉と一緒に、ね」


 雄馬は驚いた。

 自分がつい先ほど行った行為を、彼女は知っていたのだ。


「やっぱり殺したんだね。まぁ、その青ざめた顔を見れば一目瞭然だけど……ねぇ、少しは気が済んだ?」


 青葉の顔がさらに不機嫌になった。


「気は済んだかって聞いてるのよ!」

「……」


 雄馬はしばらく黙った後、


「わからない」


 そう呟いた。


「地上に来て、ずっとみんなの仇を討ちたいと思って、やっと討てて。でも、その相手は朱莉ちゃんで、彼女はいつも優しくしてくれて……」

「そう、せいぜい苦しみなさい。それがあなたの罪だから」

「罪?」

「そうよ。私達はあなたの仲間を殺した。その罪を裁いたのはあなた。でもあなたは、罪があったとはいえ朱莉を殺した。自らの感情の赴くまま、私刑にした。それがあなたの罪」


「…………何で?」


 雄馬はしばらく黙った後、質問した


「何でって、何?」


 彼女は不機嫌な顔を変えず、雄馬にそう尋ねた。


「え?」

「何で朱莉が殺されたことを知っているか?それとも何で知ってたのに朱莉が正体をばらすのを止めなかったか?」

「え……えっと…………」

「教えてあげる。殺された事を知っていた理由は、朱莉が今日あなたに自分の正体をばらすのを事前に彼女から聞いてたから。そして、それを知ったあなたがどう行動するか、おおよそ検討が付いていたから。私も、朱莉もね」

「じゃ、じゃあ」

「何で止めなかったか?それは朱莉に止められていたから」

「え?」

「もちろん必死に説得したわよ。でも、あんたも知ってると思うけど、朱莉って一度言い出すと聞かない事が多いから」

「ど、どうして……?」

「それに関しては、朱莉に聞けば?」

「どう言う事?」


 青葉の言葉に、思わず質問した。


「あんたの部屋の机の上にmicroSDカードを置いといたの。その中には、朱莉からあんたへのメッセージが入っているから、それを聞けば、何かわかるかもね」

「メッセージ……」


 なんだろう……雄馬はそう思いながら、つぶやいた。


「本当は、もう二度と私の前に現れないでって言いたいけど……朱莉が悲しむから、言わない」

「青葉ちゃん……」

「どいて。私がここに来たのは、あんたに手紙を渡す為と、死体を魔法で病死に見せかける為だから」


 青葉はそう言って有無を言わずに雄馬の横を通って朱莉の家の中に入った。

 そして、扉を閉める前に、


「あ、そうそう。一日くらい休むのはいいけど、ちゃんと学校に来なさいよ。朱莉もそれを望んでいると思うし」


 雄馬は、そのまま青葉の屋敷の自室に帰った。

 どうやって帰ったのか覚えていない。

 ただ、もう暗くなってきたから、かなりの時間が経っているのだろう。


「朱莉ちゃん……」


 雄馬はそう呟きながら、イヤホンを付けて、ダウンロードした音声ファイルを聞き始めた。



 雄馬君へ。


 最初はメールとかLIMEにしようと思ったんだけど、やっぱり大事な事は自分の口で言いたいから、録音する事にしました。

 えへへ、なんだか緊張するね。


 この音声を聞いているって事は、私は殺されちゃんだよね。

 本当は雄馬君とずーっと一緒に色々な事をしたかったけどね。


 雄馬君も知ったと思うけど、私は魔法少女です。

 魔法少女になって、大勢の魔族の人を倒してきました。

 ううん、殺してきました。


 私が青葉ちゃんと一緒に魔法少女になって、一緒に戦ってきました。

 でも、それが間違いだと気づいたのは、魔王さんを殺した後でした。

 戦いが終わって、打ち上げパーティをやっている時、私達に力をくれた精霊のパフが言ったんです。


 君たちのおかげで目障りな魔族を一掃できた、ありがとうっって。


 それを聞いた青葉ちゃんが聞いたんです。

 目障りってどういう事?って。


 私達は、パフに魔族が邪悪な存在で、皆を不幸にする存在だから、魔法少女になって正義の為に戦って欲しいって言われて……

 私は、その言葉を信じて魔法少女になったの。


 でも、パフは私達に笑って話したのは、私達が信じていた事とは全く違う事でした。


 魔族は私達に迷惑をかける気なんかない。

 ただ、住めなくなった魔界から地球に移住したかっただけだって。


 それを聞いて、私達はびっくりしました。


 だから、私は聞いたの。


 魔族は邪悪で、皆を不幸にする存在だって言ってなかった?って。

 正義の為だって言ってたよねって。

 それはみんな嘘なのかって。


 パフは馬鹿にしたように笑って言いました。


 嘘じゃないよ。

 僕達精霊にとって、魔族なんて存在は気持ち悪い存在だ。

 ゴキブリみたいな存在だって言えばわかりやすいかな。

 君らにとっては邪悪じゃないかもしれないけど、僕らにとっては邪悪なんだ。

 ゴキブリは見つけたら殺す。

 当たり前のことだろう?


 そんな虫唾が走るほど嫌な存在が、僕達が管理する地球にやって来ようとしているんだ。

 だからそんな奴らを排除するのは僕らにとっては間違いなく正義なのさ。

 で、自分で手を汚すのが嫌だから、魔法少女にやってもらうわけ。

 つまり、僕らにとって君達は殺虫剤みたいな物さ。


 まぁ、魔族が地上に出て来たのは魔界に毒素が充満してきたからなんだけどね。

 ちなみに、それを撒いたのは僕達なんだよ。

 弱い魔族は毒素でイチコロコロリ、しぶとい魔族は魔法少女でイチコロコロリってね。


 それに、君達地球人を不幸にする存在だって言うのも嘘じゃない。

 地球には様々な国、人種がいて、問題が起こっているじゃないか。

 そんな中新しく魔族なんて種族が加わったら間違いなく国際的な問題が起こる。


 分かったかい。

 僕は嘘なんか一つもついていないんだ。

 あぁ、僕らってとっても優しいよね。

 感謝してもらっても、いいんだよ。


 ショックでした。

 青葉ちゃんと違って意味はよく分からなかったけど、私達は戦う必要のない相手と戦って、倒していた事に気付いたんです。


 青葉ちゃんも泣いてました。

 魔族の人たちに申し訳ないって。

 私達は何のために彼らを倒したんだろうって。


 そんな私達に、パフは笑って言ったんです。


 あんたらのくだらない自己満足だろう?

 魔法少女になって、正義の為に戦いたい、人々の為に戦いたい。

 そんな自己満足な気持ちを満たしてやったんだ。

 楽しかったろう?

 魔法少女に変身して、悪党を倒す。

 アニメの魔法少女みたいに戦えて。


 私達は、ただ泣いてました。


 そして、最期にパフが言ったんです。


 やれやれ、そんなに魔族に同情するなら、いい事を教えてあげる。

 魔族の最後の生き残りが、つい今さっき地上にやって来たのを察知したんだ。

 まぁ、魔力がほとんどないゴミだから、僕らが手を出す必要もないから、君らの好きにしていいよ。

 助けるもよし、今まで見たいに殺すもよし。

 あー、でも他の魔族は君達が皆殺しにしちゃったから、そいつは君らに復讐したがってるだろうね。

 なにせ、そいつの家族友人、ひょっとしたら恋人もかな?

 皆殺しにしちゃったんだからね。


 パフはそう言うと、私達の前から姿を消しました。

 最期に、魔界と地上を繋ぐゲートを魔界ごと消滅させる、と言って。

 害虫は巣ごと潰さないとって。


 私達は、生き残りの魔族を探しました。

 もうこれ以上、魔族の人に苦しんでほしくないから。

 そして、あなたを見つけました。

 私達魔法少女には、魔族を見つける能力があったし、パフは変身能力を残してくれてたから。


 そして、あなたを助けて、一緒に学校に通って。

 本当に楽しかったです。

 最初は償いを考えていたけど、最後にはそんな気持ちは無くなって、あなたが好きで、一緒にいるのが楽しくて、本当に幸せでした。


 でも、心の中でいつも申し訳なく思っていました。

 あなたは家族は病気で死んだって言ってましたけど、本当は私達が殺したんだって。

 あなたの幸せを、私が奪ったんだって。


 だから、私はあなたに正体を明かします。


 最後にお願いです。

 復讐は、私だけにしてください。

 青葉ちゃんは私に付き合って戦っていただけなんです。

 それに何より、復讐に突き動かされるより、あなたには幸せになって欲しいんです。

 私の最期のお願いです。


 あなたに出会えて本当に嬉しかったです。

 じゃあね。




「朱莉ちゃん……」


 雄馬は、ただ泣くしかなかった。





 そんな雄馬の嗚咽を、青葉は扉の反対側で聞いていた。


 朱莉が正体をばらすのを止めたかった。

 でも出来なかった。

 そして、最後に朱莉は言ったのだ。

 仮に私が死んでも、絶対に雄馬君を怨まないでね、と。

 だから、雄馬が憎いけど、手を出さない。


 青葉は、朱莉を止められなかった事を悔やんでいた。


 そもそも、青葉は魔法少女なんかに興味はなかった。

 だが、朱莉が大勢の人を救いたいと言って、魔法少女になり……朱莉を心配した青葉もまた、結局魔法少女になったのだ。

 朱莉がなると言わなければ、青葉は魔法少女なんてものに絶対にならなかっただろう。

 だがその結果として、正義の名の元に、二人で魔族の人々を皆殺しにしてしまった。

 だけど、それこそ正義だと疑わなかった。

 その正義が間違った物とも知らずに。

 こうして、朱莉だけじゃなく、青葉も罪を背負ってしまったのだ。

 

 二人の罪は、未来永劫裁かれないはずだった。

 だが、二人とも、特に朱莉は裁かれることを望んでいた。

 青葉を巻き込んだ事に対する責任も感じていたのだろう。


 最も、青葉はそんな事感じる必要は無い、と朱莉に言っていた。

 選んだのは自分だから、と。


 でも、朱莉は責任を感じ、正体をばらすと言う自殺行為に出てしまった。


 幼馴染同士の朱莉と青葉は、結構何回も言い争いしていた。

 そして、勝手に行動するのが朱莉で、それを止めようとするのは青葉だった。

 それで朱莉が行動を止める事も有るが、そのまま突き進む事もあった。

 そんな時にサポーするのもまた、青葉の役目だ。

 そうして、二人一緒に行動するときは、常に大成功を収めていた。


 そんな朱莉が、青葉の言う事を聞かずに突き進んだ結果、死んでしまった。

 今まで通りだったら、今後いい方向に進んでいくのだろう。


 今回は違うに決まっている!

 青葉は心の中でそう絶叫した。


 そして……思った。

 朱莉は自分の意志で行動して後悔は無いのかもしれないが、残された方はいい迷惑だ。

 しかも、私の気持ちに気付いていたし。

 なーにが、私が死んだ後は雄馬君の事をよろしくね、だよ。


 おかげで私の心の中はめちゃくちゃよ。

 好きな人と親友の仇が一緒だなんて。

 てかさ、私の気持ちを知ってたら、いつものあんたならきっと私に雄馬君を譲ってたよね。

 誰かの為に~ってあんたいつも言ってたものね。


 なのに、あんたが告白したって事はさ、それだけ好きだってんでしょ、雄馬君の事。

 だから、彼がずっと復讐に囚われているのを救いたかった。

 だから、あなたは自分の正体を明かして、彼に全てをゆだねた。

 本当、いくら好きだからって、誰にでもできる事じゃないよ。


 あんた、本当にすごい奴だったよ。

 でも、だからこそ、死んじゃったね。

 もう二度と、あなたに会えないんだね。

 さようなら。

 さようなら、朱莉。









 

 これは断罪だ。

 朱莉は自身が愛する人に殺されるという断罪を自ら選んだ。

 青葉は魔族を殺した罪と、親友を止められず失った心の傷を負い続ける。

 雄馬もまた、復讐の名の元に自分の愛する人を殺したのだ。

 復讐心から解放されても、愛する人を殺した罪からは逃げられない。


 魔法少女と、たった一人の魔族は、罪を背負ったまま生き続ける。

 それが、二人に与えられた断罪なのだから。




 この後、やっぱり魔族を殺そうと思った精霊と、精霊に力を授かった新たな魔法少女との戦いが始まるのだが……それは別の話である。

お楽しみいただけましたでしょうか?


録音ボイスの内容、というか口調が超難しかったです。


あと、この作品を書いている最中になんとなく考えた作品タイトル。


魔法少女に仲間を殺された魔族、魔法少女に正体隠して近づいてくっ殺しようと思っていたら、逆に魔法少女やその家族友人から襲われて、こっちがくっ殺なのだが。ダレカタスケテ(泣)


なんて考えました。


いや、作りませんけど。


もし本作品を長編化するとしたら、まったく別作品になるでしょう。

書かない、というか多分書けません。

私の能力不足で。(泣)


よろしければ、ご意見ご感想、レビュー以外にも、誤字脱字やおかしい箇所を指摘していただけると幸いです。

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