19 ペロン ※R15?
ここは学校の室内プール……に備えられたサウナ。
色々あって貸切に出来たは良いが、僕らはプールに入らず真っ先にここへ飛び込んだ。
デトックスデトックス。
……サウナに入って、10分が経過。
ふぅ、ふぅと僕の目の前で息を乱す水着の姉妹。
リノちゃんの両肩に載せた僕の脚(前話参照)に、彼女の熱い吐息が掛かる。
その辛そうな様子は、サウナに慣れぬ者なら普通の反応だ。
一方、僕ら兄妹は、妹のヨミちゃんがサウナ好きなのもあって(よく付き合わされてるので)、まだ余裕。
タラリ…… ツツツ……
背中に、胸に。
姉妹は玉のような汗をにじませ、垂らし、一部は谷間の窪みへと貯まって行く。
その一連の様子を眺めるのに、僕の(後ろの)ポジションは絶妙だ。
「お前、見過ぎだろ」
「そこに谷があるからね」
「山みたいに言うなよ」
「えっ、なにっ? お兄ちゃん何見てるって?」
「塩湖?」
「え、ウユニ?」
僕は貯まって行く湖の成長を眺めていたかったが……突如、決壊する。
「……先に出ます」とシノさんが最初に脱落し、
「よし! デトックス完了!」とリノちゃんも立ち上がった。
「(グイグイッ)お兄ちゃんも老廃物出たからもう出ようよー」
「んー、僕はあと数分いるよ」
「ぶぅー……早く来てよねっ」
姉妹は去った。
残されたのはイツ(もの)メン(バー)。
「はぁー……やっと気ィ抜けるぜー」
「気ィ張ってるようには見えなかったけど?」
「私は繊細なんだよ……」
コテン
僕に身体を預けて来るヨミちゃん。
「もー、スク水の吸い付く感触は良いけど、しめった(君の)髪が肌に引っ付くー。ポニテとかにして結べよー」
「あっつー(ペロン)」
ペロン。
ヨミちゃんは、競泳水着の両肩の部分に手を掛け、ペロンと下まで下げた。
ブルンッ
水着で窮屈そうだった彼女のお乳が解放され、自由になったと揺れる。
「何で今脱ぐんだよー」
「同性でも見られるの嫌なもんはあんだろ」
「わかるー。僕も大浴場とか無理ー」
だから家族旅行の温泉はいつも家族風呂だったんですね。
「で、どう? 会長、辞めさせられそう?」
「……全てが私にとっちゃ悪い方に解釈されててな」
「あー、昨日のスーパーの暴力沙汰もヒーロー物語に変わってたね」
「ギリ犯罪じゃない感じで不祥事起こすのが(辞めるには)ベストなんだがなぁ」
「もー普通に任期まで頑張れよー」
「いや……待てよ? 学校サボって家でだらけられる案が無いわけでも……けどなぁ……倫理観とか復学後の周りの目がなぁ……留年の危機もなぁ……」
「何考えてるのか知らないけどヤバそうなプランだなぁ」
チラチラ僕を見ている所から、確実に僕を巻き込む前提のプランだろう。
「だからもう諦めて次の選挙まで耐えなー」
「この後夜に学校中のガラス割ろうぜ?」
「昭和の不良じゃないんだから」
僕がいると気が大きくなって色々無茶する子だ。
なんで、ここは見捨てさせて貰う。
「じゃあ僕は行くから君はもちっと毒素(変な考え)を抜いてけよ」
「もう抜けるもんなんてねぇよ」
「つまり純度100パーの悪か。こんな子に誰が育てた」
「寂しい事言うなよ。私らは何するにもずっと一緒だったろ?」
「なのに、真っ直ぐ育った僕偉い」
サウナから出て、姉妹を探しにプールをフラフラしていると……
「お兄ちゃーんっ」
「おー?」
プールサイドにリノちゃんがいた。
エアマットの上に、うつ伏せに寝転んでリラックスしている。
「随分と優雅してるじゃない。泳がないのかい?」
「女の子はプールに来たら泳がないんだよー」
「はぇー、不思議な生き物ー」
「塩素臭くなるからねぇ。ほらお兄ちゃん、こっちこっち(ヒョイヒョイ)」
手招きするリノちゃん。
だが、エアマットに空きスペースは無い。
彼女も察したのか、
「んふふ、私の上でもいいよー?」
「そう? じゃあ遠慮なく(ドスッ)」
「グヘッ! ま……まさか、腰の方にまたがって座るだなんて……覆い被さってって意味だったのに……」
「日本語って難しいね」
「まぁ……これはこれで、腰への重量感が癖に……」
「君が幸せなら良かった」
「お兄ちゃん、どうせならそのままオイル塗ってよー」
ヒョイっと、彼女の顔の側にあったボトルを手渡される。
「何これ?」
「日焼け止めオイル?」
「室内なのに?」
「冗談冗談。なんかマッサージの時とかに塗るアレだよー」
「あー、あのエッチなグッズ」
「間違ってないのが」
「よしっ、じゃあリンパとか刺激してやるよ。僕は上手いんだ」
「あわわ……絶対マッサージだけで終わらないやつ……」
「(しゅる)」
「わっ……迷いなく背中のブラひもを外した……本気だ……」
怯え三割、期待七割な震え声を漏らすリノちゃん。
ねちゃねちゃねちゃ
塗りー
「んっ(ピクッ)……あったかーい」
彼女の白い背中に僕の手を這わす。
「マッサージはヨミちゃん相手に慣れたものよ。女の子の気持ち良い場所は全部知ってるよ……?」
「べ、別の女で(技術を)開発したお兄ちゃん……ああ、脳が壊れるよぉ……」




