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アルスの異世界日記  作者: 藤の樹


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61日目 リリーの回復と新しい仕事

投稿ミスをしてしまいました。

話が飛んでいて分かりにくかったかもしれません。

次話を先に読んでいただいた方、申し訳ございません。

●61日目(グリウス歴863年7月3日)


ペチペチ。ペチペチ。

うーん、もう少し寝かせて。あと10分、いや5分だけ・・・。

はっ、何?頬を叩かれて目が覚めた。

「アルス、おはよう。」

目の前にはリリーがいる。どうやら、頬を叩いていたのはリリーのようだ。

「おはよう、リリー。もう元気になったの?」

見た感じは元気になった様な感じがする。

「うん。アルスのおかげで元気になったよ。ありがとう。」

リリーはまだ寝ぼけている俺の顔に抱き着いてきた。

「そっか。元気になって良かったよ。一時はどうなるのか心配したんだよ。」

「うんとね。リリーは長老様から力を頂いたの。それでその力が落ち着かなくて、ずっと眠かったんだよ。だけど、もう大丈夫。」

「へー、あの時長老と話してたのはそんなことをしてたんだね。どんな力を授かったのか気になるけど、もっと気になってることがあるんだけど。なんか、雰囲気変わってない?」

「リリーも大人になったんだよ。長老様が大人にしてくれたみたいなの。」

「うーん?ちょっと言っている意味が良く分からないけど、元気ならそれでいいや。そうそう、今日はいらない荷物を売って、エルフの国に出発する事になったんだ。リリーも来るよね。」

「もちろんよ。リリーはアルスと旅するために大人になったんだから。」

リリーは両腕を腰に当てて、どやっている。

やっぱり前のリリーとは感じが全然違う。

以前は人間の言葉を話すのもたどたどしかったけど今は普通に話している。

なんかいいな、こういうのも。

「じゃあ、着替えて準備するから待ってて。下でご飯にしよう。」


下に降りて食堂に入ったのだが、宿屋の女将さんが目を白黒させている。

「あんた、なんだい、それは?」

とつぜん、俺を指さす。思わず後ろを振り返るが、

そこにはリリーしかいない。首を傾げながら女将さんの方をもう一度見る。

まだ、こっちを指さしている。一体何なんだ?もう一度振り返る。

そこにはやっぱりリリーしかいない。

ん?リリーしかいない?てか、リリーが見えている。

「ちょっ、リリー、何で姿見せているの?」

「駄目なの?」

リリーは小首を傾げながら上目遣いに見てくる。

「ダメ・・・じゃないけど、みんながびっくりするでしょ。あと、姿見せてたら攫われちゃうかもしれないじゃないか。」

「リリーはもう大丈夫よ。大人だし。」

「大人って、姿は前のまんまじゃないか。」

「あっ、ごめんなさい、女将さん。この子はリリーっていって僕の仲間なんです。だから、安心して下さい。」

女将さんは、すごくびっくりしているが、

テイムされていると聞いて少しは安心してくれたようだ。

さすが、冒険者を相手に商売しているだけの事はある。

「すみません。朝食をお願いしたいんですけどいいですか。」

「こちらこそ、ごめんね。今、出すから席で待ってておくれ。そこの嬢ちゃんは何食べるんだい。」

「アルスの分けてもらうから大丈夫よ。」

リリーは肩の上に座りながら女将さんに伝えた。

「じゃあ、少し多めに装ってあげようね。」

そういうと奥へ引っ込んでいった。

「リリーは同じもの食べるの?」

今まで、野菜や果物しか食べていなかったのに食べられるんだろうか。

「リリー達はね。大人になったら、何でも食べられるんだよ。子供の時は蜜とか果物しか食べないのよ。あと、野菜は時々ね。」

そう言ってピクシーの習性を教えてくれた。

席で待っていると朝食が出てきた。

スプーンやフォークを2つ貰って分けて食べ始める。

大きいものはナイフで切ってリリーでも食べられる大きさにする。

リリーはそれを美味しそうに食べ始めた。

こうしてみると何か不思議な気分だ。でも、なんか楽しいな。

こういう食事も。


宿を出るとやはりというか当然というかジロジロ周りから見られている。

少し足早に冒険者ギルドへ向かう。

冒険者ギルドでも注目を集めている。

しかし、俺がAランク冒険者だという事は既に周知されているようで

誰も絡んでこようとはしない。

こういう時にはランクの高さが有難いとしみじみ思う。

「おはようございます。ヘレンさん。」

ギルドカウンターにいるヘレンさんに声を掛ける。

「おはよう。アルスくん。もう君に驚かされるのはないと思ってたけど、なんでピクシーを連れてるの?」

「まあ、色々とです。」

「はあ、それで今日はどうしたの?」

「冒険者ギルドで買い取ってもらえるか訊きに来ました。色々不要な物が溜まってしまったので売ってしまおうと思ってます。」

「何を売ってくれるの?」

「要らないものは、ブロードソードや盾、それとシークロコダイルの卵なんですが。」

「そう。剣や盾は武器店や防具店に売った方が高く売れるわよ。ギルドでも買取は出来るけど期待しない方が良いです。それと、何の卵ですって?」

「シークロコダイルの卵です。」

ヘレンさんはこめかみを押さえている。

「それはギルドでは買取れないわよ。ただ、テイマー職の人がいれば喉から手が出るほど欲しがるものね。」

「へー、そうなんですか。」

「そうなんですかって。アルスくんもテイムできるんでしょ。だったら、卵を孵してテイムすればいいじゃない。」

「でも、どうやって卵を孵すんですか?ずっと抱いてるなんて面倒ですよ。」

「そんなことはしないわよ。たしか、卵に魔力を与え続けると孵化するらしいわよ。孵化したらすぐにテイムしてしまえばそこそこのレベルのテイマーでもテイムできることが多いらしいわよ。だけど、えーと何だったかしら。そうそう、テイムされる側に種族補正的なモノがあってその数値とモンスターのレベルを足したものが、テイマーのレベルとスキルの合計した数値より高くないといけないって、テイマー研究の学会で発表されたという記録を読んだ事があるわよ。」

「テイマー研究をしている学会ですか?そんな組織もあるんですか。」

「勿論あるわよ。テイマーだけじゃなくって、魔術研究やスキル研究など様々な学会はあるわよ。そういう所の研究で発表されたものは冒険者にとってものすごく有用でしょ。チェックは怠らないわ。それに国も実績に応じて補助も出しているれっきとした組織も多いのよ。」

「へー、知らなかった。ヘレンさんは物知りですね。」

「まあ、このくらい情報に精通しなければギルドの価値はないでしょ。」

フフフとヘレンさんは微笑んだ。やはりヘレンさんは只者じゃない。

改めて認識した。

シークロコダイルはBランクの討伐依頼だから、

モンスター的には強いんだろうけど・・・。

どうかな?陸上をのっそのっそと歩いていても足手まといのような気がする。こっちは基本魔法と高速移動が長所の戦闘スタイルだから、

何となくそぐわない気がする。

リリーは跳んでいたり姿を隠せたり、体が小さいから

最悪俺の懐に潜り込んでしまえば問題ない。

けど、流石にワニを服の中に入れてなんて想像しただけでも微妙すぎる。

「この辺にお金持ちのテイマーはいませんか?」

「いるわけないでしょ。」

ヘレンさんは呆れたように答えた。

「うーん、食べられませんかね?」

「中で成長してなければ食べられない事もないと思うけど、もし、成長し始めていたら間違いなく食べられないわね。」

卵の中で成長途中のシークロコダイルを想像して思わず、身悶える。

「誰か知り合いにテイマーはいませんか?」

一応訊いておいて損は無いと確認する。

「冒険者のテイマーはこの街にはいないわね。この街にいるのは配達人をやっているテイマーくらいじゃないかしら。そう言えば、以前、港町に冒険者ギルドに所属しているテイマーがいるって話を聞いた事があったわね。確か船団の連絡役や索敵で仕事をしていたような感じだったかしら。名前まで思い出せないけどそういった人なら買ってくれるかもしれないわね。あとは可能性があるのは海洋国家とエルフ達かしら。海での活動が活発だから、もしかしたらそういった人がいるかもしれないですね。」

「港町かぁ。仕事と逆方向だよなぁ。海洋国家は行ったことないし、そうなるとあとはエルフか。じゃあエルフの国で訊いてみますね。」

しばらくは、また収納内で保管したままになるようだ。


今度は武器屋と防具屋に行き、要らない武器防具を売り、

ソートソードを2本買っておく。

買取価格とショートソードの金額でトントンでした。


パスタ屋にも寄って行く事にした。

「ママルドさん、こんにちは。」

「おーアルスくん。いらっしゃい。折角来てくれたけど、まだ準備中だよ。」

「今日は食べに来たんじゃなくって、注文だけしに来たんです。明日からまた、遠出する事になったんで、10食分くらい頼みたいんです。」

「そうか、いつ出発するんだい。」

「明日、出ようと思ってます。」

「なら、今日の夕方には作っておくから、取りに来な。」

「分かりました。代金は先に払っておきますね。それと入れ物の器もこれ。」

これで、今回の旅での食料も十分だ。


今度は久しぶりにカーターさんの店にも顔を出す事にした。

カーターさんのお店に行くと前と品揃えがだいぶ変わった気がする。

前は何というか適当に仕入れて色色な物が置いてあるという印象だったが

薬草の種類が増えて、沢山並べられている。

それ以外にも木の細工物だったり、

どうやらエルフの国から仕入れた物が多く並べられている感じだ。

「アルス君、久しぶり。」

そう言ってきたのは、ミーナさんだ。

「元気でしたか。」

ミーナさんに答える。

「ええ、元気よ。今は護衛の他にも店の手伝いもしているのよ。ちょっと待ってて。カーターさんを呼んでくるから。」

そう言って店の奥へ行ってしまう。

少しするとカーターさんと一緒に戻ってきた。

「アルスさん、お久しぶりですね。今日は買い物ですか。」

「別に目的があって来たわけじゃないけど、また、少し街から離れるから店を見て回っているんです。」

「そうなんですか。今度はどちらに行かれるのですか?」

「エルフの国です。」

「私もこの間エルフの国から帰ってきたばかりなんですよ。商業ギルドから要請がありまして、皮の素材が不足しているので卸してきて欲しいという

内容でした。なんでも巨人族がエルフの国を襲ってきた事で武器などに使う動物や魔物の皮が大量に必要になったという話でした。あっ、アルスさんは

こんな話もう知っていらっしゃいますよね。なんせ、この国にも久方ぶりのAランク冒険者ですもんね。遅まきながらランクアップおめでとうございます。」

「別にAランクだからってなにも変わりませんよ。」

冒険者でもないカーターさんに知られているとは、驚きを隠せないな。

「一緒に冒険するって約束だったけど、アルスくんと冒険するのはもう無理だね。でもなんか凄いよ。あっという間にAランクなんて。」

ミーナさんがしみじみと感じたことを伝えてきた。

「そんな事ないよ、ミーナさん。カーターさんの護衛ならいつでも受けますから、その時は一緒に護衛しましょう。」

「Aランクの冒険者の護衛なんて私の店を潰す気ですか。」

カーターさんは焦ったように言った。

ミーナさんと俺はそんなカーターさんを見て思わず、笑ってしまった。

「そうだ。もう聞いてるかもしれないけど、ミーナさんに付き纏っていたフェーゲル準男爵は爵位を剥奪されて捕まった。だからもう心配する事はないと思うよ。」

それを聞いたミーナさんはホッとした顔で微笑んだ。

「それじゃあ、もうミーナさんは自由にしても問題ないという事ですね。」

カーターさんも嬉しそうだ。

「ミーナさん、何なら、冒険者に戻ってもらっても構わないんだよ。」

カーターさんはミーナさんに今後の事を話す。

しかし、ミーナさんは少し考えてから、

「カーターさんが良ければ、もう少しここでお世話になりたいんです。最近こういったお仕事も楽しくなってきたので出来ればもう少し続けていきたいんです。駄目ですか。」

「いや、ミーナさんがそういうのなら、こちらも助かるから構わないよ。」

「ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。」

ミーナさんは冒険者以外の道を見つけたようだ。

冒険者のような危険な職業はずっと続けられるはずもない。

早い段階で違う道を見つけたのならその方がミーナさんの為でもあるだろう。

「それじゃあ、僕はこれで。」

カーターさんの店を後にして、再び冒険者ギルドへ行く事にするのだが、

その途中にある広場にてリリーと一緒に果物を食べて昼食にする。

出かける準備も整ったのでエルフの国へはいつでも出発できる状態になった。

明日、出発する事を伝えなければならない。

それと確認しなければならない事もある。

ギルドに到着してヘレンさん経由でギルド長へ取り次いでもらう。

「アルスか。今この書類を片付けるまでそこに座って待っててくれ。」

ギルド長が忙しそうに書類を捌いている。

ギルド長が仕事をしている所を初めて見た。

切りの良いところなのだろう。顔をあげて一言目が、

「なんだ、そのピクシーは?」

「なんだとは、失礼な。僕の仲間ですよ。」

「まあいい。今更何があっても驚かんよ。それで出発の日程でも決まったか?」

「明日出ようと思う。それで、長期に戻らない可能性もあるけど、情報を得た場合の連絡方法を訊いておきたい。折角情報が得られても報告するすべがないと宝の持ち腐れでしょ。一回一回戻るなんて面倒だし。どうすればいい?」

「1週間後の7月10日に再度援助物資の輸送がある。その時までに戻れば、その時に報告をくれ。それ以上かかりそうなら、輸送部隊に手紙で構わないから報告書を渡してくれ。一応、紙とペンとインクと封書を渡しておく、それと前金で金貨100枚用意した。報告内容次第では戻ってきた時に追加を出す。」

書類一式とお金を受け取って、異空間収納に仕舞う。

「それじゃあ、またね。」

「ああ、気をつけて行ってきてくれ。」

少し早いが帰りにパスタの店に行き、料理を受け取った。

少し早かったので出来ていなかったのだが、急いで作ってくれた。

その後は宿に戻り、休むことにした。

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