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アルスの異世界日記  作者: 藤の樹


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59日目 休みが欲しい

●59日目(グリウス歴863年7月1日)


今日は朝から砦に残された遺体を回収する事になっている。

昨日の戦闘で大地の牙の人達は流石(さすが)意気消沈(いきしょうちん)している。

それも当然である。いくら生き返ったとはいえ、死んでしまったのだから。

3人とも死んだ直前の記憶は幸か不幸かないようだ。

ただ、自分が一度死んでしまって生き返ったという事実だけが

彼らの中で消化できないでいる。

落ち込んでばかりいられないので、

今は体を動かして作業に没頭(ぼっとう)する事で考えないようにしている風だ。

それと新調したばかりの鎧が全員駄目になったことも

落ち込んでいる要因かもしれない。


遺体の回収が終わってから一息つく。

やはり、皆暗い。

ここは生きる力を取り戻すべく俺が美味い料理を振るって

少しでも元気を取り戻してもらう事にした。

「少し早いですが、食事にしましょう。」

そう言って、異空間収納から、ミートソーススパゲティとパン、

魚の塩焼きをそれぞれに出す。

それとフルーツの盛り合わせとエルフから貰った高級ワインも出す。

「それではいただきましょう。」

そう言って、皆に勧める。

比較的元気なバリントンが食べ始める。

「うおー、なんだこれ。すげー旨いじゃんか。」

普段、こんな言葉づかいをしないバリントンが

こちらの意図を見抜いてわざと大げさに振舞(ふるま)っているようだ。

ピエールも食べ始める。

「な、なんだこれ。」ガツガツガツ・・・。

それを見た他の人達も食べ始める。

一口食べて、一瞬動きを止めたと思ったら、

全員が(むさぼ)りつくように食べ始めた。

そして、ワインも飲む。

「カーッ!うめー、何だこのワインは今まで飲んだことないワインだ。」

マークはワインを飲んで絶賛する。

それに釣られて全員がワインを飲む。

なんとなく、目に生気が宿ったような気がした。


「アルス、悪いな。ご馳走(ちそう)になって良かったのか。」

「皆さんが元気になればそれでいいですよ。食事が終わったら、街へ出発しましょう。」


帰りは、前の馬車には俺とピエールとテトリアが乗った。

他は後ろの馬車に乗る。

「なあ、俺は1回死んでいるんだよな。」

テトリアはそう(つぶや)いた。

「ああ、そうだ。」

ピエールが短く答える。

「どうやって死んだんだ。」

「俺は戦闘中で見ていない。」

とこちらを見ながら答える。

「アルスは見ていたのか。」

「直前までは見ましたよ。ただ、俺も大剣を持った男と対峙したので、直接は見てません。状況だけなら説明できますが。」

「教えてくれ。」

「私が見たのはクロムとザナッシュがやられた所です。クロムがやられた時、あなたはシーフを牽制(けんせい)するために無詠唱に近い形でファイアボルトを放ちました。当然無詠唱なので、威力はほとんどありませんでしたが、牽制は十分でした。その隙をついてバリントンがアースバインドでシーフの動きを止めました。ここまでは俺も見ていました。その後、あなたはファイアランスを放ちましたが、相手のシーフも毒のダガーを投げつけて、そのまま相打ちになったようです。」

「・・・そうか、すまない。」

そう言って後は押し黙ってしまった。

後ろの馬車を(のぞ)き見たが、向こうも同じような状態の様だ。

この日も馬車に襲い掛かってくるモンスターは特になく、

午後の早い時間には街に到着した。

馬車はそのままギルドへ向かい、遺体を届ける事になった。

ギルドに遺体を引き渡した後、ギルド長も何か感じ取ったようで、

そのまま解散となった。

「アルスは残ってくれ。」

ギルド長は俺に居残りを命じた。そのまま、ギルド長室に通される。

「それで、何なんだ。この状況は。」

俺は、昨日の戦闘についてなるべく詳細に説明した。

「なんてこった。かなりマズいな。」

「何がですか。」

「大地の牙は解散かも知れないという事だ。」

「えっ、まさか、そんなに深刻なんですか。」

「そうだな。大抵(たいてい)の冒険者で幸運にも生き返る事が出来た者達は、死をとにかく恐れるようになる。下手すると、もう戦う事すらできなくなる場合も多いと聞く。大地の牙の3人が死を体験してしまった。その3人が抜ければ新しく人員を補充(ほじゅう)しても今まで通りの働きは無理だ。他の3人にしても、目の前で仲間が死んだんだ。死を身近に感じているだろう。次は俺かも知れないと。」

「でも冒険に死はつきものでしょう。」

「敵の死と味方の死は一緒ではない。確かに冒険者をやっていれば死なんてそこら中に転がっている。だが、大地の牙のような仲間意識が高いチームは味方が一人でも死んでしまうと死に(とら)われて解散してしまう事が多い。」

「・・・」

「周りが何を言おうが、こういった事はあいつら自身がどう消化するかに尽きるんだ。」

確かにそうかもしれない。

「それも大事だが、お前が戦った男だが、話の内容からすると、また駒とやらを集めて再度襲撃してくる可能性もあるのではないか。」

「その可能性は大きいですね。一体何を考えているか分かりませんが、強敵である事には間違いないです。次に会えば向こうは俺に対する対策を考えてきているはずですから、俺も一人では今後厳しくなるかもしれません。」

そう言いながら、ピエールの話した事が頭をよぎる。

だけど、俺はあの男にかなり(うら)まれているかもしれない。

そうであれば、今後俺と行動を共にする者達は、

あいつと戦闘する事は避けられない生半可な強さでは

今回の二の舞になるのは確かだ。

かといって一人は危険この上ない。

なんか話が堂々巡りして解決策を見出せそうもないよ。

「アルス、おい、聞いてるか」

「えっ?聞いてません。」

「おいおい。いいか、大地の牙には、少し時間をやれ。どうなるか分からないが自分たちで整理する時間は必要だろう。ギルドもあいつらが決断するまでは仕事は振らないようにする。だからな、頼んだぞ。」

「は?何を?」

「だから、お前さんが大地の牙の分も頑張れって言ってるんだ。」

「いやいや、俺が頑張ってもダメじゃん。もっと、Cランクの冒険者達が頑張って、Bランクに上がってもらわないといけないでしょ。」

「もちろん、頑張ってもらうさ。しかし、直近の問題は現状の戦力で対処するしかないだろ。」

「そんな直近の問題なんかないくせに。」

「いや、山ほどあるぞ。訊きたいか?」

「ぜんぜん聞きたくない。それに俺ってここに来てからずっと働き詰めのような気がする。少しは休んだって(ばち)は当たらないと思うんだけど。」

「なんだ?なにかやりたい事でもあるのか?」

「えっ?いや、特に今は無いけど・・・」

「じゃあ、仕事しながら考えればいいんじゃないか?」

「いやだから、仕事ばっかりしてきたから、やりたい事が見つからないんじゃない。」

「見つからないんじゃなくってそもそもないんじゃないのか?」

「いや、あるから。今日は疲れたから思い出せないだけなんだよ。うん、そう。だからしばらく休みにする。それより今回の報酬はどうなっているの?」

「ああ、明日の昼までには用意させよう。いつでも取りに来てくれ。」

「分かった。」

そう言って部屋を出ようとする。

「休み、頑張れよ。」

ギルド長はからかうように笑っている。

「休みは、頑張らないの。」


ギルドを出た後は、宿屋に向かう。

あれからリリーが調子悪そうだ。食事もあまり取っていない。

ベッドで休ませることにした。

俺はステータスを確認する。

流石(さすが)にレベルは上がっていないようだが、リリーとの約束がある。

クラフト系のスキルを取ってみようと思う。

まずは、クラフトスキルLv1を取る。

すると派生スキルが生まれる。

解体、木工、金属加工、石材加工、皮加工、錬金術と出てきた。

クラフトのスキルを上げると、完成した品質が上がることと、

手法が増えるとなっている。

手法って何?まあいいや。取り敢えず、順繰(じゅんぐ)り上げてみよう。

取得したスキルは次のようになった。

クラフトスキルLv5、木工Lv5、金属加工Lv5、石材加工Lv5、

皮加工Lv5、錬金術Lv5

クラフトをLv5まで上げた理由は

なんと魔力を使って異空間内で作成できるからだ。

そしてそれぞれの派生スキルは最大である。

これなら、リリーに弓を作ってあげられそうだ。


そして今回初めて不明なスキルを取った。

限界突破Lv1

これは、なんとレベル上限10アップ、SP獲得上限1000アップ、

基礎ステータスレベルアップ時+5

これってレベル上げる前に取るべきだったかな?


まだ時間もあるし、材料だけ買ってきて、

リリー用の弓矢を作ってみよう。

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― 新着の感想 ―
[一言] 他の転生者出てくると面白くなくなるな
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