52日目 魚料理の下準備
●52日目(グリウス歴863年6月24日)
朝になりメニュー画面を開いて確認する。
レベルが1つ上がってLv17になっていた。
早速、スキルを獲得していくことにした。
魔法は属性のレベルを上げるだけではなく、
組み合わせでも新しい魔法を憶えるので地属性と火属性をLv6に上げた。
これで、全ての属性がLv6以上になった。
朝食を済ませ、宿を引き払う。
庁舎には昼頃来てくれと言われていたので、
昼近くまで街をブラブラ歩くことにした。
「あるすー、これおいしそー。」
時々、リリーがこれ食べたいとねだってきたので、いくつか果物を買う。
そういえば、リリーはテイムスキルを上げてから、
あちこちフラフラしなくなったように思える。
正確にはフラフラ彼方此方を見に行ったりはするが、
すぐに戻ってくるようになったと言った方が正しい。
それなので、街の中では姿を消しているし、
最近は前ほど行動を気にしなくなった。
街ブラしていると、魔道具屋を見つけた。
何か面白い物でもあるかもしれないという事で覗いていくことにした。
「いらっしゃいませ。」
ここでも、どうやら、客1人に1人の従業員が付くようだ。
「少し見てってもいいですか。」
「ごゆっくりご覧になって下さい。」と返答が返ってくる。
ここではポーションも魔道具屋で売っているようだ。
しかし、品質は他と変わらずなのは残念だ。
面白いと思ったのは、魔法の網と呼ばれる物だ。
一見普通の投網のようだが、魔力を流すと電気が走って
魚程度ならば気絶させられるという物だった。
この間、憶えたライトニングバインドという魔法と同じ効果だ。
ただし、威力は雲泥の差のようだが。
漁師にとってみれば重宝するのだろう。
あとは、釣り竿だ。
竿にはただ強化されただけのようだが、なんとエサ付きなのだ。
このエサは疑似餌で、魔法でウニョウニョ動くのだ。
どちらかというと気持ち悪いというより動きがコミカルで笑える。
ただ、残念な事に全く必要性を感じない。
リリーは非常に興味をそそられているようでツンツン触っていた。
あとは、人気商品という事で紹介されたのは、
水魔法のウォッシュと風と火魔法のドライが合わさったワンドがある。
ただ、これはどれも1レベルの魔法なので、俺には全く必要ない。
MPを肩代わりする魔石も売っていたが、
今の俺はMPの総量は200あるし、毎秒1ポイント回復するので、
例えばウインドスラッシュなどの低レベル魔法は、
打ち放題と言っても過言ではない。
もし必要であればリリーに持たせるくらいだが、
どれもこれも人間用なので、大きさ的に無理がある。
前回買ったクリエイトパペットゴーレムの棒なんかも
結局魔法を憶えたので、無駄になってしまった。
実はパペットゴーレムは植物系の魔法なのだが、
これまで植物系の魔法は、エルフ特有の魔法と思われている。
地と水と光と風の魔法の中からの組み合わせで覚えるようになった。
人間が覚えられないと思われているのは、人間の属性が地と闇が相性が良く、
次いで水、火、風で最も相性が悪いのが光のようだ。
決して覚えられない訳ではないが、
覚えるのは非常に困難になっているための様だ。
植物魔法を使用できる人間はエルフとの
チェンジリング(取り換え子)と呼ばれ、差別を受ける事もあるらしい。
その為、植物魔法は憶えても秘匿する人間は多いようだ。
また、光の魔法の訓練でライトの魔法を使用し続けたとしても
覚えるのは火魔法になってしまったり、
逆属性の闇魔法だったりしてしまう事も多いようだ。
また、変な宗教観から闇魔法も嫌う傾向にあり、
折角、闇魔法を覚えても使用しないのが多いと考えられる。
闇=悪という意識があるようだ。
実際には闇=精神なのだが、そういった事情で人間の長所を
発展させない結果、他種族に劣ってしまっている現状が見られる。
ただ、この考え方は人間社会では宗教的に異端とされていて、
こういった事が書かれている書物は禁書扱いに近いらしい。
このことはエルフの街で買い物をしている時に寄った書店で
流し読みした内容だ。
たしか、エルフによる人間考察という本だったような気がする。
結局目ぼしい物が無かったので、少し早い昼食を取る事にした。
やはり魚を出してくれる所が良いと思い、朝市の近くの食事処を探した。
生憎と見つからなかったが、途中で見つけた露店に
魚の串焼きが残り2本だけあったので、それを買った。
それを持って、先日の海の見える広場で食べる事にした。
魚の串焼きは塩を振って焼いただけのもので、
この間買った定番の魚と言われた物だった。
なるほど、前世でよく知っている食べ方だ。そう見当つけて、食べ始める。
「んーー、うまいよー。やっぱ魚は塩焼きだよなー」
思わず、声に出してしまう。
こっちに来て初めての魚料理らしい魚だ。
この間食べたのは、正直魚の味したステーキで
美味いのは確かだが、魚を食べたぞっていう気持ちとは程遠かった。
鶏肉のようにぱさぱさした感じだったからだ。感動はあったけど。
これぞ、まさしくザ・魚だ。
リリーには今日選んだ果物を食べさせた。
リリーも食べた事が無い果物で満足しているっぽい。
そんな感じで食事を済ませ、庁舎へ向かう事にした。
庁舎の窓口へ行き、証書を見せる。
そのまま別室へ案内されて、担当者が出てきた。
そこで、今回の賞金について説明を受ける。
まず、この街で発行された賞金について、
合計で金貨100枚になるという事だ。
この街で手配されていたのは、概ね盗賊たちのようだ。
それと国で出された手配書の賞金については、
王都に行って受け取ってほしいと、別の証書が渡される。
この証書を王城に持っていき、見せれば良いという事だ。
ちなみに捕まえた貴族はどうしたか訊くと、
すでに王都へ護送されたという事だ。
そういうわけで、王都へ向けて出発する事にした。
何回かテレポート使えば、夕方には着けるだろう。
もし人が多ければ一旦道を外れていけばいいし、特に問題は無い。
ただ出発前に、雑貨屋に寄る。何故なら魚の串を買い忘れたからだ。
これは大事なこと。串を50本ほど買っておく。
それと皿や器を10個だけ買い足した。
この時間から出発する人が少ないのか、
王都に向かう道には人通りがほとんどない。
畑仕事も午前中で済んいるようで畑にもほとんどいない。
索敵で確認しつつ、テレポートを駆使して時間を短縮していく。
さすがに王都に近づくにつれて人の往来が目立つようになったので、
歩くことになったが、無事王都に着くことができた。
早速、宿を抑える。
まだ時間が早いので、裏庭を借りて魚を捌いておくことにした。
まず、よく食べられている定番の魚は串焼きが美味かったので
内臓を取り出し、串に刺して塩を振っておく。
焼くと骨が柔らかい魚合わせ30匹も串焼き用に串に刺していく。
ただし、こちらは、そのまま焼いて食べると良いといわれているので
特に下処理はしない。
ステーキ用の大魚の切り身は、10匹ずつ塩味とハーブ味に分けて
味付けしておく。あとは焼くだけにしておく。
海藻は、ぶつ切りにしてスープ用とサラダ用に分ける。
サラダ用の海藻の方は一回茹でておき、軽く塩を振っておく。
残りの切り身の魚はスープに入れるため用に、ぶつ切りにする。
これで後は焼いたり、煮込んだりするだけになった。
こうやって一応は準備をしているが、
前世と違いソースの素やカレールーとか無いのが悔やまれる。
カップ麺など文明の力が羨ましい。
というか、コメ喰いたい。




