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5日目 初めてのレベルアップ

●5日目

翌朝。宿屋に4日分の銀貨14枚を支払い。冒険者ギルドへ向かう。

ご飯はいつもの肉はさみパン。ついでに昼飯も買っておこう。

今日はレベル上げを目標としたい所だ。

あればの話だが、どれだけ経験値を稼げば上がるのか分からない。

昨日の話からするとレベルが上がるだけでは体感しにくく、

レベルが上がった時にスキルを取得できれば、

レベルが上がったと感じることができるようだ。

ガチャッ。ギルドの扉を開くとミーナさんがいた。

「おはよう、アルスくん。」

「おはよう。」

「昨日の約束絶対だからね!」

そう、昨日ランクが上がったら、一緒に仕事をしようと約束させられていた。

「もちろんですよ。頑張りますから。」

「頑張ってね。」そう言って、バイバイと手を振り、出て行った。

レベル上げにちょうど良い討伐依頼がないか、掲示板を見てみる。

討伐依頼にも常設依頼があるみたいだ。

『ゴブリン 1匹 銀貨5枚』

『オーク 1匹 銀貨5枚+肉買取』

ゴブリンもオークも繁殖力が高く、放っておくとかなり危険という事らしい。

ゴブリンもオークも森にいるという事なので森に向かおう。

受付にはヘレンさんがいた。

「アルスさん。Fランクにアップおめでとうございます。今日はどうされますか」

とにこやかに話しかけてきた。

「今日は常設依頼のゴブリン、オークの討伐をしようと思ってます。」と

言ってギルドカードを渡す。

「それでは受付けします。アルスさんって武器は持たないんですか?」

「ああ、僕は魔法で倒してますから。それに武器買うお金も足りないですし。」

「ええーそうなんですか、でも杖も持たずに危ないですよ。」

「大丈夫です。」と声を小さくして

「この指輪が杖の代わりなんです。」というと

少し小首を傾げてから、はッと気づいたように分かりました

という風にコクコク頷いた。

「では、気を付けていってらっしゃい。」と明るく見送られた。


街を出て、周囲に人がいないのを確認してからメニュー画面を開く。

不意打ちを警戒して索敵スキルを一気にレベル3まで上げた。

レベル2、レベル3で範囲拡大できるようになった。

次にMP自動回復をLv1。1時間に1ポイントだけ回復する。

更にステータス鑑定Lv1も取った。

これは仮に未知の存在と接敵した場合に、逃げるか戦うかの判断をするためと

レベルアップの確認のためだ。


森の境界までやって来た。ここまで索敵を繰り返しつつ進んできた。

途中、索敵に鹿のような獣を捉えたが、肉としては高く売れると思うが

依頼とは関係ないので無視する。

というのも、異空間収納には時間停止の機能は無いからだ。

それでも30分後にはゴブリンを捉えることに成功した。

数は4体。ゆっくりとこちらの前を横切る感じで接近している。索敵は便利だな。

通過しそうな箇所で魔法の射線が通る位置で身を潜める。

30mくらいまで引き付けて一気に殲滅したい所だ。

第一目標は弓持ち、いなければ狙いやすいのからで良いだろう。

しばらく待つとゴブリンが4体見え隠れしながら、こちらの前方に現れた。

弓持ちは1体だけ。他は、2体がこん棒。1体が短槍を持っている。

狙いは弓、短槍、こん棒の順。そろそろ30m付近、射線OK。

ばっと立ち上がり、即座にウインドスラッシュを4連続放つ。

あっという間にケリはついた。

索敵で近くに何もいない事を確認し、ナイフで魔石を取り出す。

前よりは気持ち悪くない。そんなに順応性が高かっただろうか。

索敵で注意しながらメニュー画面を確認する。まだ上がらない。

ゲームとかだとレベル1から2にすぐ上がるイメージだが、まだ上がらないか。

ここまで、ラージキャタピラー1、ゴブリン5、ウルフ5も倒してるのに。

レベルが上がりにくいのか?それとも倒すだけではダメなのか?

少し離れた場所で、索敵しつつ休憩がてら昼食を取る。

MPも26まで落ちていたのが27に回復した。

これ以上奥に進むと迷いそうだ。

前世では方向音痴ではないが、結構道を間違えたりしてた事があったからなぁ。

森では目印もほとんどないし、結構木々が生い茂っている。

少し戻るかと歩き出すが、索敵をすると、

ゴブリンが来た反対方向から未知の反応を感じた。

数は2体。索敵では強さまでは分からないが、ゴブリンでも人間でもない。

慎重に索敵スキルを使用しつつ、距離を詰めるように移動していく。

相手から見つかりにくいように、進行方向から外れるように進んでいくと

人型で一人はスラっとした感じで弓を携えている。

もう一人は、ずんぐりむっくりした感じで大きな戦槌(せんつい)を担いでいる。

すると先頭を歩いていた人?が突然止まり、

こちらをジッと見つめているような感じがした。

とっさに気づかれないよう、ゆっくりと木に身を寄せてそのまま隠れた。

索敵で動向を確認した。

しばらく間を置き、何やら2人は話した後、遠ざかっていった。

今のはエルフとドワーフ?エルフはドワーフと仲が悪いって聞いてるが、

一緒に歩いているなんて。しかもこんな所で。

考えても仕方ないので、来た道を戻りつつ、森を出る方向へと歩き出した。

森を抜けると入ってきた所とは全然違う場所に出てしまった。

ここは?そうだ、薬草を摘んだところの近くだった。あの岩は見覚えがある。

とすると、結構エルフ王国寄りまで来てしまったのか。


街道に戻ろうとした正にその時、すぐ近くの小さい丘の上から豚のような

人間みたいなものが突然現れた。森の出口に来たと油断していた。

向こうがギャーギャーわめき出した。するとワラワラと6体もの、それが現れた。

ゲームなどでよく見るオークそのものである。

オークは、2匹が何か大きな樽を運んでいた。

それ以外は、槍で1匹だけ弓を持っていた。マズイ!

距離的に20mもない。しかも向こうは丘の上である。弓は非常に脅威だが、

それよりも他のオークに近づかれようものなら一溜りもない。

弓持ちを狙いたかったが、他のオークが邪魔で狙えない。

咄嗟に、先頭のオークにウインドスラッシュを放つ!

しっかりと食らったのに倒れない。続けざまに、2発目!

それでようやくもんどりうって倒れた。

2体のオークがすでにこちらへ走り出している。

もう2体は樽を地面に置いて武器を持とうとしていた。

そして、弓が今まさに撃たれようとしている。

「ミサイルプロテクション!」

この魔法は風魔法で飛んでくる物から守る魔法だ。

弓はとりあえず、無視して、ウインドスラッシュを連発する。

あと5mというところで何とか2体を倒した。

残り2体もすでに半分まで距離を詰められている。

弓は尚撃ってきているが、ミサイルプロテクションの効果で

しっかりと逸らされている。

これ以上距離を詰められるのはマズイ。

ウインドスラッシュ!ウインドスラッシュ!1体が倒れる。

ウインドスラッシュ!残りの1体が魔法を食らいながらも

こちらに槍を突き付けてきた。

しかし槍を突き付ける前に魔法を受けていたおかげで、

間一髪、槍は腕の服を掠めて空を切った。

と同時にこちらも至近距離でウインドスラッシュを解き放ち、

オークは首と腕を吹き飛ばされて絶命した。

弓持ちオークはそれを見て森に逃げようとしていたが、

森に着く前に倒れる結果となった。

「ヤバかったーーー。」

最後の槍が自分の胸に刺さっていたら間違いなく死んでいた。

とにかく索敵で近くに敵がもういない事を確認して、オークから魔石を取り出す。

オークは皮鎧を着ていた。これのせいで魔法の威力が下がったのかもしれない。

槍はゴブリンが持っているような原始的なものではなく、

人間の兵士が持っているような鉄製のちゃんとしたものだったので回収する。

弓と矢は品質が悪そうなので捨てておく。

あとは樽が2個。匂いから食料品のようなので念の為、収納しておく。

それと肉の買取りがあるので、オークの死体も収納した。

何故、草原の方から来たのか気になったので、オークが来た方角へ歩いていく。

すると、街道にボロボロの馬車があった。その周りに人が倒れているのが見えた。

急ぎ向かってみると、すでに商人風が1人、冒険者風が4人の5人が死んでいた。

装備から見てランクは低そうだ。

死体と馬車の荷物、壊れたものは道脇に捨てて大体は収納した。

馬車は入らなかったのでそのままにしておく。馬はいなかった。

逃げたのか逃がしたのか、それは分からない。

周囲を確認する。記憶にある場所だ。この場所は、襲撃のメッカなのか?


帰りの道中、メニュー画面を見たら、なんとレベルが上がっていた。

しかもSPが2000ポイントも増えている。

そしてHPは5上がり、MPも10上がっていた。


ようやく、街にたどり着き、そのまますぐにギルドへ向かった。

「ヘレンさん、報告に来ました。」

「おかえりなさい。アルスさん、どうぞ承ります。」

「そのー、人の少ない所でお願いしたいんですが・・・」

「うーん、ちょっと待っててね」というとそのまま奥に入っていった。

しばらくするとヘレンさんが戻ってきて

「応接間が空いているからそっちでいい?」と聞いてきた。

はいと答え、そのまま、ついていった。

「どうぞ。」と椅子に促されて、「どうしました?」と問いかけてくる。

街道での状況と同じ場所で別の魔物の襲撃があった事も伝えた。

そして、自分が異空間収納持ちという事を伝え、

遺体と無事な分の荷物を持って帰ってきた事も伝えた。

「うん。アルス君の行動は正しいよ。異空間収納持ちはレアだからね。知られると面倒事が絶えなくなるからね。それと、遺体と荷物はこの後、裏の倉庫で預かるから。遺体はこちらで処理します。荷物は、調べた後で持ち主に連絡します。荷物については謝礼が出るはずだから、後日お渡しします。あとは、連日同じ場所で、襲撃があった件については、ギルド長と相談させて頂きます。あと、依頼達成ですね。ギルドカードと魔石を出して頂けますか。処理します。」

ギルドカードを渡すと

「では、倉庫に行きましょう。」

保管室に着き、遺体と荷物とオークの死体を置いて、また、応接室に戻ってきた。

ヘレンさんはそのまま、少し待っててねと言って出て行った。

しばらくして戻ってくるとギルドカードを渡され、

「依頼達成ですね」オーク6体で銀貨30枚、ゴブリン4体で銀貨20枚、

オーク6体で銀貨30と肉の買取分銀貨15枚です。

お支払いは金貨6枚、銀貨5枚ですね。」

そう言うとお金をテーブルに置いた。

「ちょっと質問があるんですが・・・」

「なに?アルスくん。」

「討伐証明で魔石を渡すのは分かるんですが、例えば、魔物AとBが戦ってAがBを倒して、その後、冒険者がAを倒したら魔石はAとB両方手に入りますよね。その場合、AもBも倒したことになるんですか?」

と疑問をぶつけてみた。

「ああ、なるほど。その場合はね。例えばAもBも討伐依頼で受けていた場合、依頼は達成となります。しかし、実際に倒したのはAだけですから、ギルドカードにはAの討伐情報だけ残ります。ランクアップの査定ではカードの記録を基に審査されますのでランクは上がりにくくなります。」

「なるほどー。じゃあ、パーティーの場合はカードの記録ってどうなりますか。」

「パーティーの場合だとカード自体パーティー内でリンクしていて、お互い認識できる範囲内であれば、パーティーで討伐という記録になります。しかしパーティーを組んでいても、認識できないくらい離れると一時的にパーティーではなく個人として記録されます。あと、解散したり、パーティーから抜けたりした場合には、頭割りで分割されます。端数はパーティーリーダーに着く感じです。」

「へー、なんかこのカードってすごいんですね。まるで魔法の道具みたいですね。」

「あはは。何言ってるんですか、このカードは魔法の道具ですよ。これ以上は秘密事項なので話せないですけどね。」

「色々教えてくれてありがとうございます。」

と礼を言ってギルドのホールへ戻ってきた。


今日はギルド内で夕食を済ませ、早々に宿へ戻った。

なぜ、早々に戻ってきたかと言えば、レベルが上がったからだ。

SPも凄いことになってるし、色々確認すべき事が多い。


さて、レベルアップ時にSPが獲得できる事が判明した。

まだ必ずなのか分からないが。SPの使い道はこうだ。

1、経験値獲得上昇を取る。

HPやMPが上がれば必然的に生存率も上がるはずだ。

2、異空間収納のレベルを上げる。

すでに収納上限がでてきているので容量を増やす必要がある。

3、魔法の攻撃手段特に範囲魔法があればそれを優先する。

今日の戦いで単発魔法だけでは対処しきれない場面が出てきた。

この3点は必須だ。

あとは、ステイタス鑑定、現状名前(種族)、性別、年齢、レベルだけだが、

スキルレベルを上げられるという事は、それ以上の情報が

見られるという事に他ならないだろう。

ゲーム的に言えば力や敏捷性といったもの。

あとは、もしかしたら弱点なんかも分かるのかもしれない。

メニュー画面の???も気になるが、今は放置するしかない。

可能であれば能力強化系も欲しいところだ。

それで以外でも敵から距離を取れる魔法なりスキルが欲しい。

スキルはあった方が良いものばっかりだが、

広く浅くでは器用貧乏で苦労するかもしれない。

剣術などは有用だとは思うが、実際今日の戦闘で接近戦なった時は怖かったし、

思わず目を瞑ったせいで、危うく攻撃を外してしまうところだった。

いずれ慣れていくかもしれないが、今は精神的に無理っぽい。

あとは風魔法を極めていった方が良いか、風魔法が効かない事を考慮して

違う魔法も取得すべきかもしれないなどと、思考を巡らせた結果、


--現在--

名前:アルス 人間 男 年齢12歳 Lv.2

 HP35/35 MP50/50 SP 906/5000

<スキル>

人間共通語会話・読書き、異世界記憶、SP獲得上昇、経験値獲得上昇、

魔力操作、無詠唱、能力強化AGI、能力強化MAG、魔力感知、

異空間収納Lv3、物品鑑定Lv2、ステータス鑑定Lv4、索敵Lv3、

状態自動回復Lv1、HP自動回復Lv1、MP自動回復Lv3、

魔力適性(風)Lv3、魔力適性(光)Lv2、跳躍Lv3、

毒耐性Lv1、恐怖耐性Lv1、魅了耐性Lv1、麻痺耐性Lv1、

眠り耐性Lv1


所持金 金貨22枚、銀貨3枚


異空間収納はかなり容量が上がったみたいだ。

魔力感知を取得した事で新たに魔力鑑定のスキルが取得できるようになった。

光の魔力適正Lv2で回復魔法や光属性の攻撃魔法などを覚えた。

耐性スキルも気休め程度だが、取得した。

能力強化は魔力強化と敏捷性の上昇だけ取った。

これで、素早く移動が出来れば、逃げる際に役に立つかもしれない。

跳躍Lv3だと4mの幅跳びが可能で2mの垂直飛びができる。ロ

マンである。いや、決してロマンだけで取ったわけではなく、

本命は着地ダメージ軽減がついているからだ。

3mくらいなら受け身を取らなくても大丈夫らしい。

残りのポイントは、いざという時に使用するつもりだ。


あまり活躍しすぎると目立ってしまうから、明日は新しいスキルの検証と

お金もあるし買い物でもして、のんびり過ごそう。悪目立ちは良くない。

広告下の☆☆☆☆☆から皆さんの評価を是非お願いします。

皆さんの応援お待ちしております。

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