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アルスの異世界日記  作者: 藤の樹


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46日目 黒づくめの集団

●46日目(グリウス歴863年6月18日)

馬車の中は、前の日からシーフの男を含めて3人減った。

今日の途中下車は親子の2人だった。

今日は良く晴れている。遅くとも今日の夕方には王都へ到着するだろう。

馬車は通常通り出発した。

この辺りは昨日よりも更に人が多くなってくるし、

家も彼方此方(あちこち)点在(てんざい)している。


出発して1時間くらい経っただろうか。

常時発動中の索敵で強い敵意が感じられた。

急いで索敵のマップ化を発動させる。

どうやら、囲まれているようだ。人数は10人か。

後方から3人、前方から7人だ。

この10人から以外は周囲に敵意は感じられない。

ここで何か仕掛けてくるのか?昨日の黒づくめの仲間か?

何故俺を認知できる?

あの暗闇の中では、顔まで判別できないはずだ。

前方の奴らが距離を(ちぢ)めて来る。

御者(ぎょしゃ)さん、用事思い出したんで、ここで降ります。」

相手の返答を待たずに馬車から降りて後方に走って戻った。

後方との距離は200m。

前方と馬車の間はすでに100m切っている。

草むらに入り、魔法を発動させる。

「インビジビリティ!」姿を消して、(わき)の草むらの中へ入っていく。

途中、後方から近づく者達の後ろへ回り込む様に村の方へ移動する。

道までの距離は20mくらい離れているが相手の様子は(うかが)える。

後ろから(せま)ってきていたのは、昨日の黒づくめのマントを着た者達だ。

この陽気の中であの格好は暑いだろうに。

索敵で馬車が止められた様な感じだったが、そのまま進んでいるのが分かる。

馬車は無事なようだ。

後方の奴らと前方の奴らが合流した。全員同じ格好とは恐れ入る。

そして何やら話し込んでいる。するとその中の1人が何かしている。

あれは、スクロール?

何かの魔法を発動したのか、そのスクロールは燃えて消えてしまった。

そして、その者はこちらを指さしている。

あれっ?もしかしてバレた?やっぱり俺狙いなのか。

その指示を受けたらしい他の者達はこちらに走り寄ってくる。

明らかにこちらを見つけているようだ。

これはマズイ。すぐに魔法を発動させる。

「プロテクションシールド!」

「ミサイルプロテクション!」

「マジックシールド!」

「ディテクトインビジブル!」

「アースシールド!」

「プロテクションフロムファイア!」

「能力強化-全」

ここまで一気に発動させ、右手にショートソードをショートソードを抜き、

左手にワンドを持った。

索敵でもこの段階でも敵意が感じられる。

ヒュンヒュンと矢が飛んでくる音が聞こえた。

しかし、矢はあらぬ方向へ()れていく。

最後尾に魔法使いと思われるのが2人、

それより前の位置で弓を使ってきたのが2人、

剣を抜刀(ばっとう)して走ってきているのが6人。

まずは距離があるうちに、前衛の6人に魔法を放つ。

「スリープ!」

4人がバタバタと倒れた。

しかし残り2人は魔法に抵抗(ていこう)したようである。

その時また、矢が逸れていくのが見える。

戦士風の男たちは、もう目と鼻の先だ。

あと1回は放てる。殺したくはなかったが背に腹は代えられない。

「ワイデンスペル・ウインドスラッシュ!」

風の刃が接近する2人を切り裂いた。

明らかに絶命(ぜつめい)したと思われる。

魔法使い達は何かの魔法を放ったようだが、マジックシールドのおかげか、

ただ単に発動を失敗したか分からないが、効果は何もでていない。

相変(あいか)わらず、弓使い達は弓で撃ってくるが、一向に当たりはしない。

邪魔(じゃま)なので、弓使い達にも眠ってもらう事にした。

「スリープ!」

2人とも眠ったようだ。

残るは魔法使い2人だ。2人はファイアボルトを撃ってきた。

しかし、これはプロテクションフロムファイアの影響で(はじ)かれた。

俺は魔法使いの方へ走り出した。

能力強化のおかげで、異常なほど早く動ける。

向こうの魔法使いの一人はまたファイアボルトを唱えてきた。

しかし、これは先程と同じように弾かれる。

もう一人はストーンブラストを放ってきた。

どうやらこの魔法使いがリーダーのようだ。

放たれたストーンブラストは小さな石礫(いしつぶて)をあてる魔法だ。

その石礫の数は魔力により変化する。

この魔法使いからは3発の石礫が飛んできた。

しかし、魔法はファイアボルトと同じように弾かれる。

俺は、次の詠唱(えいしょう)に入っているリーダーではなさそうな方に

ショートソードを()き立てる。もともと防具も着ていないような装備だ。

魔法の詠唱が完成する前に一瞬で絶命した。

リーダーと思しき者は、杖で(なぐ)り掛かってこようとしているが、

(あせ)ったのか長い杖を自分のマントに引っ掛けてしまって、

思ったほど振り上げられない。

そしてそのまま、杖を振り下ろしたが、当然、当たる訳がない。

その(すき)に体を相手の横に(すべ)らせた俺はワンドを相手の体に()れさせた。

「マインドショック!」

その魔法使いは奇妙な(さけ)びと共に気絶した。

これで一応全員を無力化した。

そして、例の(ごと)く、眠っている者にマインドショックを当てておく。

気絶している全員を道まで運び、ロープで(しば)っていく。

そろそろロープを買い足さないと無くなりそうだ。

死亡した3人の装備と縛り付けた7人の装備を没収(ぼっしゅう)した。

ブロードソードが6本、弓2本、矢22本、ダガー10本、

金貨2枚、銀貨30枚くらいだ。

皮鎧(かわよろい)は外すのが面倒なのでそのままだ。

あとは杖だが、大した杖ではないので、へし折って捨てた。

それと、リーダーっぽい奴が付けている指輪を外して鑑定した。

魔法的な要素はなかったが、何かの紋章(もんしょう)のような模様が(きざ)まれているので

外して持っておく。


「おーい、大丈夫かぁ。」と畑仕事をしていた農家らしき人が

遠くから声を掛けてきた。

「は-い、大丈夫でーす。」と返す。

「すみませんがー。この辺りでー荷馬車をー貸してくれる人はーいませんかー」

と声を掛けてきた畑仕事をしている人に()いた。

「何だってー」向こうは訊き返してくる。

「に・ば・しゃー、ないですかー」と訊きなおす。

「ちょっと待っとれー」と返ってきた。

優しそうないい人かもしれない。

30分ほどだろうか、さっきの人が荷馬車を持ってきた。

「あれー、坊やかい?さっきド派手にやり合ってたのは。」

「はいそうです。できれば、こいつらを王都まで運びたいので荷馬車を貸して頂けないでしょうか。それと、3人程死んでしまったので、兵士の人が来たら、その場所を教えてもらっていいですか。馬車は兵士の方に持ってこさせる事になると思うのですが。お礼にこれを。」

と言って、先程頂いた銀貨30枚を渡す。

「私はランゴバルドの冒険者でアルスと言います。ああ、それと家に何か目印を付けてもらえると兵士の方も分かりやすいと思うんですが。」

農家の人は銀貨とギルドカードを見てコクコクと(うなづ)いている。

「わかった。家の前に黄色い布を下げておく。それで良いか。」

「ありがとうございます。」

そう言って、縛り上げた奴らを荷馬車に載せる。

「そうだ、お名前聞いていませんでしたね。」

「俺はトムだ。」

「ではトムさん、ありがとうございました。」

そう言って馬車を出そうと思ったが、

その前にスキルで操縦(そうじゅう)Lv1を取得しておく。

ちなみに、後ろの奴らは定期的にマインドショックを与えて

気絶したままにしておいた。


夕方になり、ようやく王都に到着した。

門番の人に事情を話したが、あれやこれやと聞かれる。

そして頼まれたメダルを見せるとちょっと待ってろと言われ、

メダルを持ってどこかへ行ってしまった。

「ちょっとすまんな。俺達じゃなく、もっと上の人間に確認取ってもらっているから少し待ってくれ。」

そう言って、別の部屋に通された。

だいぶ待たされた感がある。

すると、騎士と思われるような格好をした人が入ってきた。

「君がアルスくんかね。」

「はい。そうです。」

「すぐに私と一緒に来て欲しい。」

外にいる馬に乗るようだ。

「悪いが君は私の後ろに乗ってくれ。しっかり(つか)まっているんだぞ。」

そう言って、騎士の後ろに乗せられる。

「ハッ」との掛け声で馬は走り出した。

落ちそうになるのを必死で掴まって耐えていた。

馬はそのまま王城へと入っていく。

ようやくついた頃には、どっと疲れた感がある。

前世でも人の運転する車はどうにもなれなかったなぁ。

「どうぞ、こちらへ」

そう言って、今度は別の人が案内する。

そして案内された先は謁見(えっけん)の間である。

なんで謁見の間?王様関係あるの?

そのまま中に通された。前に教えてもらった通りにして(ひざまづ)く。

「顔をあげよ。」

「はい。」

「このメダルはどこで手に入れた。」

「このメダルは乗合馬車で同乗した人から預かりました。その人は、先程私が運んできた男達の仲間だと思われる者達に襲われていて、私に王城まで持って行って欲しいと頼まれ、どこかへ行ってしまいました。」

「預かったのは、このメダルだけか。」

「いいえ、包みもございます。失礼させて頂きます。」

と言って、異空間収納から形は背負いバッグからだが、包みを出す。

「こちらでございます。」

近くにいた人が受取り、また、別の人が受け取った。

(あらた)めてまいります。」

そう言って別の部屋へ行ってしまった。

「それと先程捕まえてきた者の中のリーダーらしき人物がこの指輪をはめていました。」

そう言って、ポーチに入れておいた指輪を出す。

それも同じように人づてに渡した。それも別の部屋に持っていかれた。

「あとは何かあるか」

「お願いしたい事がございます。」

「なんだ申してみよ。」

「先程連れてきた者達とは戦闘となってしまいましたので、相手に死人が出ています。そして、その近くにいた農家の方に荷馬車をお借りして運んできた次第です。可能であれば、馬車の返却と死体の処理をお願いしたいのですが。」

と跪いたまま、発言した。

「良かろう。そちらは、こっちで処理しておこう。詳しくは扉の外で待機している者に伝えよ。」

「はい、ありがとうございます。」

「ふむ。そちは、どこかで見た顔の気がするのだが。」

「はい。以前、ランゴバルド辺境伯様の親書(しんしょ)とエルフ王国の親書を届けに来たものです。」

「おお、あの時の。あの時はなんで子供がと思うとったが、なるほど。そちは、冒険者であったな。ランクはどうなんじゃ。」

なんか、王様いきなり軽くなってないか。

「はい、先日Bランクになったばかりでございます。」

「その年で見事なものだな。」

すると、先程出ていった人達が戻ってきた。

そして、王様に何やら伝えている。そして何度か頷いていた。

それが終わると

「アルスよ。ご苦労であった。今日は疲れたであろう。部屋を用意させる。泊っていくがよい。」

「光栄でございます。」

「うむ。では下がるが良い。」

そう言って、退室した。

そして最初に案内された騎士の人にこちらですと案内された。

案内途中で馬車の件を詳しく伝えた。

「こちらでお待ちください。この後の案内は別の者が参りますので、くつろいでお待ちください。」

と言って去って行った。そしてそこにいたメイドさんが

「何か飲まれますか」と訊いてきたので、

「はい、お願いします。」と答えた。

さっきの緊張で(のど)が渇いている。


しかし、泊っていけとは。確かに今から宿を探すのは難しい。

中にいたので日が暮れてからどのくらい経ったか分からないが

夕飯の時間は過ぎているだろうな。

そう言えば、なんか急にお腹が空いてきたな。

出されたお茶を飲みながら、少し考察する事にした。

わざわざ王様が出てきたという事は、

あのシーフは王様の直近の兵士か何かだろうか。

じゃあ、あの襲ってきた奴らは何者?

そんな事を考えていたら、どうぞこちらにと言って部屋へ案内される。

メイドさんは、

「こちらが本日お泊り頂く部屋となっております。お客様はお食事は済まされておりますか」

と訊いてきたので、いえ、まだですと答える。

では、こちらにお持ちしましょうと言って出ていった。

部屋はかなり豪華(ごうか)だ。入ってきた入り口とは別にもう一つ扉がある。

そっと開けて除くと、どうやら寝室のようだ。

「・・・・」

そっと扉を閉める。

ヤバい。何か分からんけどヤバい気がする。

めちゃくちゃ高待遇なんですけど。

この世界に来てこんな豪華な部屋初めて見た。

まさか油断させておいて、食事に睡眠薬を入れて、眠った後に・・・。

いや、そんなメンドクサイ事する必要ないじゃん。

お城の中なんだから、もしそんな事なら「捕らえよ」で済んじゃうからな。

という事は、俺が持ってきた情報はかなり重要事項という事になるのか。

コンコン。部屋をノックする音がした。

「はい」と答える。

すると、メイドさん2人できて、テーブルに所狭(ところせま)しと置いていく。

「どうぞ、お召し上がりください。しばらくした後、引き下げにまいりますので、そのままにしておいて下さい。」

といって出ていった。

何にしてもお腹空いていた。リリーを呼び出し、一緒に食事をした。

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