44日目 平穏な一日
●44日目(グリウス歴863年6月16日)
宿を引き払い、乗合馬車の出発場所に向かう。
乗合馬車は予想に反して結構大きかった。
馬も4頭立てで、大人でも14、5人は乗れそうだ。
乗車予定の人数が揃ったところで、出発となる。
一緒に乗り合わせているのは、一般の人っぽいのが5人、
冒険者風の人間が俺を含めて2人、母親と娘の親子2人、
商人っぽい大きい荷物を持った者が1人、それと御者2人だった。
御者2人は一応剣を持っている。総勢12人だ。
乗合馬車は大人は金貨1枚だが、子供は銀貨8枚、荷物は手荷物程度なら、
お金はかからないが、大きい荷物は金貨1枚かかる。
なので、基本商人は乗合馬車は使わない。
使うとすれば駆け出しの商人か、
事情があって急ぎの輸送くらいと聞いている。
天気もいいので、馬車に揺られていると、
座布団の効果もあり、快適だった。座布団買ってよかった。
こんな所で眠るわけにもいかないので、暇つぶしと言っては何だが、
同乗者のステータスを確認する。
親子2人は正に一般人だ。特段能力も何もない。
大きい荷物を持った商人風の男は、商人ではなく、見習いみたいだ。
冒険者は、職業はシーフとなっている。
能力的にはかなり貧弱に感じるが、
レベルは6とそれなりに経験を積んでいるようだ。
一般人の5人も特に変わった者はいないようだ。
御者の2人も能力的にそれ程高くはない。
御者の横にいるのが剣術2レベルだが、御者は1レベルだ。
逆に今御者をしている方は馬術レベル2でもう一方はレベル1だ。
他には特に技能はないようだ。
こうやってのんびりするのは久しぶりな気がする。
さて、ここで、剣術とかの武術について再度、確認しておくことにした。
剣術では、Lv3の時点で1つ剣技を憶える事が出来る。
その後5レベルでまた1つ取る事が出来、
5レベル以降はレベルが上がるたびに1つずつ獲得出来るようだ。
ただ、俺はいっぺんに上げたのと、主に魔法をメインとしている為、
剣技は取得していないで、放置状態になっている。
なぜ、放置しているかというと、剣技を見た事が無いからだ。
それとどの剣技が有効かも判らない為である。
武技で見たことのあるのは、
ザナッシュが使った盾の武技でシールドノックバックだけである。
たぶん、アンジェなども剣技を持っていそうだが、一度も使用しなかった。
いずれ見る機会もあるだろう。それまでは、そのまま放置しておくか。
自分の能力のチェックをしていると、一旦休憩となるようだ。
馬車から馬を外し、水を与えている。
その間に乗客は、馬車から降りて、大きく伸びをしたり、
軽く体を動かしたりしている。
ここでは、他にも馬車が休憩している。
たぶん同じ方向なので宿場町を目指しているのだろう。
向こうの方が足が速いのか、すでに休憩を終え出発するところだった。
馬車は動いている時は基本飲食禁止である為に、
ここで軽く口に入れる人も、ちらほらと見られる。
俺も、果物を取り出し軽く食べておく。
馬の休憩が終わったので出発となる。
もう一か所休憩を挟んで、宿場町に着く予定ということだ。
御者のステータスを見ていて、自分のスキルが戦闘に特化しすぎていると
思い始めた。
例えば、スキルの中には、踊りや楽器演奏や調理スキルなど
今は使わなくてもいざという時には役に立ちそうなものが沢山ある。
こういったスキルがあるという事は、前世では俺は水泳は得意だったが
この世界では、今はまだカナヅチという事だろう。
中には知識だけで対応できるものもあるだろうが、こういう世界であれば
スキルをレベル1であっても取得しておくことは有用なのではないだろうか。
調理などは一応できたけど。
それとまだ謎のスキルで気になるのもある。
1つはクラフト。色々と作れるようになるのだろうが、
今はなにか作りたいものがある訳ではないので、置いておく。
2つ目は限界突破だ。実は何の限界を突破するのか、不明なのだ。
しかも、SPを1000も使うのだ。まだ成長限界に来てないので
放置しているが、余裕があれば取得してどういったスキルなのか
知っておく必要がある。
そこで、この機会に取得してしまおうといくつか取ってしまった。
騎乗Lv1、水泳Lv1、調理Lv1
それ以外では、光魔法を一気に2つ上げてLv9にした。
それから、夕方近くなり、ようやく宿場町に到着した。
明日の集合場所など確認したうえで、解散となった。
前回、カーターさんと泊まった宿屋へ行ってみる。
部屋は空いているという事なのでここに決める。2食付きで銀貨5枚だ。
前に来た時、このあたりで売っている物は見たので、
そのまま宿で休むことにした。
早めに夕食を済ませて、リリーを召喚する。
リリーに果物をあげて食事にしてもらう。
リリーは収納内にいる時は時間が止まっているので
どうしても食事の時間や睡眠の時間が分からなくなる。
結果、リリーが食べたいと言った時に食べさせ、
寝たいときに寝かせるという風になってしまった。
最近リリーが嵌っている遊びはかくれんぼだ。
勿論、隠れるのはリリーで、俺が見つける側だ。
はじめは、物影に隠れる程度だったが、最近は透明化して姿を消す。
その場合は、ディテクトインビジブルの魔法で見つけ出す。
最後には、姿を消したまま、鬼ごっこ状態になってしまうのだが。
それがすごく楽しいらしい。
そんな事をしている内に、だいぶ遅くなってしまった。
もう寝ておかないと寝坊したら大変なことになる。
今日はもう寝る事にした。




