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アルスの異世界日記  作者: 藤の樹


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40日目 第五階層

●40日目(グリウス歴863年6月12日)

昨日は遅くなってから帰還したので、(とりで)内の状況ははっきりしなかったが、

朝、いくつか判明した。

まず、肉を燻製(くんせい)にできる設備が出来た。ただ大きくはないので、

少量しかできないが、現状の物資では十分だろう。

その為、預かっていた肉類は全て今日加工するという事なので置いていく。

あとは野菜や果物を預かっているだけだ。

それと、鉄を加工する炉も完成している。こちらも規模は小さく簡易だが、

矢じりや生活雑貨、ナイフ程度を作るくらいはできるようになっている。


そして今日は第五階層を目指す。

ここまで一日一階層というスピードで攻略しているが、

本来このような速さで攻略は出来ないとアンジェさんは言っていた。

確かに昨日のようなゾンビの量は何日もかけて減らしていくというのが

普通なのだ。

しかし、時間を掛ければかけるほどモンスターも増えていくという

結果になるので、ここはホード後という事でモンスターが減っている

今だからこそ、やっておきたいのが本音だ。


さて、冒険者チームは第五階層を目指し出発する。

途中4階層で再びゾンビが現れたが、数体現れた程度なので、

前衛だけで処理できた。

そして5階層へ降りる階段を下りていく。

罠の有無を確認し、降りた先の扉を開けると、そこは砂地の空間だった。

勿論、洞窟内なので天井は岩でできているが

砂地を除けば2階層と同じような造りだ。

ただ、2階層と違って、明かりは無く周辺は真っ暗である。

「今度は砂地か。」

とピエールさんはため息を()らした。

「砂地という事は、そういった魔物が出ると考えてもいいな。」

アンジェさんも誰に言うとともなく言った。

そういった魔物とは、砂漠に生息する魔物だろう。

例えば、サソリとかを指しているのだろう。

いつも通り、索敵で周囲を調べるが、この周りには、まだ何もいない。

「どうやって進みましょうか。」

とマリアさんが訊いてくる。

「昔、砂漠を旅した事があったが、一番気を付けるのは、サンドウォームの存在だろう。サンドウォームは砂地の浅い場所に潜って、獲物が通りかかると襲ってくる魔物だ。大きさは様々だが、最初の一撃で喰われてしまう者も多い。次に気を付けるのは大サソリだ。こいつは尻尾に致死性の毒がある。ハサミも脅威だが尻尾には十分注意してくれ。隊列だが、前衛にはザナッシュとトール、左側面にアンジェとマリア、右側面には俺とマーク、中央はバリントン、テトリア、アルス、最後尾にジェスとクロムでいこう。それと囲まれないように左側に壁を見ながら進んでいこう。」

こうして、砂地のエリアを壁沿いに進んでいくと、

10mもいかない内に索敵に引っかかった。

「壁沿いの前方500m先に2体います。えーと、ガーゴイルです。今の所、他にはいません。」

と皆に伝える。

「飛んで来られたら厄介(やっかい)だな。全員密集(みっしゅう)してくれ。」

とピエールさんが指示を出す。

この暗闇の中では、こちらは明かりを頼りに進むしかない。

向こうからしたら明かりを目指して襲えばいい。

もしかしたら、向こうにはもう、バレている可能性もある。

「このまま、明かりをつけたまま近づくのは、危険です。私が倒してきますので、ちょっと待ってて下さい。」


「ダークビジョン!」「プロテクションシールド」「能力強化-全」

魔法をかけて、ガーゴイルの方へ向かう。

300m程まで近づいて攻撃するつもりだ。

ガーゴイルは石の台座のような物の上にまるで石造のように(とど)まっている。

全く動く気配はない。

「ライトビュレット!」

狙い(たが)わず、1体のガーゴイルの頭部を破壊する。

それに気づいたもう一体のガーゴイルは上空へ飛びはじめた。

こちらの正確な位置は分かっていないようだが、

いる方角は分かったようで、こちらに向かってくる。

「ウインドスラッシュ!」

ガーゴイルの胴体を袈裟斬(けさぎ)りのように切り裂いた。

ガーゴイルはクルクルと回りながら墜落する。もう一体も絶命した。

そのまま魔石を回収し、皆の所へ戻る。

「お待たせしました。行きましょう。」

そう言って、再び歩き出した。

壁際(かべぎわ)を歩いて30分くらいたっただろうか。その壁際に横穴が見えた。

索敵では中に部屋が1室あるのがわかる。敵は感知できない。

そのまま、横穴に近づく。

中は空洞で地面は石造りになっており、魔法陣が見える。

鑑定した結果、モンスタールームであることがわかった。

「モンスタールームですね。」

「そうか、では、どこかにセーフルームもあるのだろう。」

とピエールさんが答える。

周囲を調べても何もないので、そのまま先に進むことにした。

全員が歩き出した瞬間、後ろがぼんやりと光りだした。

全員が振り向くとモンスタールームに大サソリが1体出現するところだった。

「1体なら取り囲んだ方がいい。隊列を整えて、この場まで誘い出すぞ。」

とピエールが号令する。

大サソリは、現れた瞬間にこちらを確認して襲い掛かってきた。

大サソリは、器用に前のハサミ2本と尻尾の針で攻撃してくる。

ザナッシュとトールは連携しながら(かろ)うじて、相手の攻撃を受け止める。

その後ろにいたメンバーは左右に分かれた。

テトリアは「ファイアボルト!」を放ったが、外殻(がいかく)に当たって弾けた。

それを見たバリントンは「ライトビュレット!」を放つ。

大サソリの外殻は貫通したが、致命傷にはならない。

マリアも「ライトビュレット!」を放った。

たまたま大サソリが右腕のハサミを引いた所に

ライトビュレットが飛んでいき、関節部分に当たった。

ライトビュレットの貫通力と外殻の(もろ)い所に当たった為、

右腕の(けん)を貫いたらしい。大サソリの右腕は動かなくなった。

それでも大サソリは尻尾の針と左のハサミで前衛に攻撃を加える。

「ウインドスラッシュ!」

大サソリが尻尾を大きく振り上げた瞬間を狙って、魔法を叩き込む。

大サソリの尻尾は半分程を残して千切れ飛んだ。

アンジェとピエールは回り込み、大サソリの足を切り払おうとしたが、

硬くて弾かれてしまった。

マークも大サソリの足を狙って、戦鎚を振り下ろす。

左足の一本が折れる。

大サソリは、敵を振り払おうと、

左のハサミを大きく横に()いだ。

思わぬ攻撃に、ピエールとマークは吹き飛ばされる。

下が砂地であったおかげで、打撲程度で済んだようだ。

大サソリの右側はほとんどガラ空きとなった為、

バリントンとマリアは大サソリの頭部にライトビュレットと叩き込む。

魔法は貫通し、大ダメージを与えたようだ。

大サソリの動きは急激に緩慢(かんまん)になり、そして動かなくなった。

バリントンはピエールとマークにライトヒーリングで傷を(いや)している。

その間に魔石も回収した。

この後、出てくる気配もないので、そのまま、先に進む。

更に30分くらい進むと、扉を発見した。その先は、階段のようだ。

ただし、扉近くに、魔物の反応がある。

「扉とその先に階段を発見しました。ですが、その付近に、サンドウォームが1体います。」

ピエールが作戦を立てた。

まず30mほどまで近づく。

砂に潜っているサンドウォームは音で獲物を判断し、襲ってくるので、

その位置からサンドウォームの鼻先に

バリントンのストーンブラストを放ち、おびき出す。

姿を現したら総攻撃する。というものだった。


作戦開始だ。30m付近まで皆を誘導する。

バリントンがストーンブラストで砂地にぶち当てる。

すると作戦通りに、サンドウォームが大口を開けて、

砂地から飛び出してきた。

ここまでは、問題なかったが、俺を除く全員が、一瞬凍り付いた。

「で、でかいぞ。でかすぎる。」

トールは叫ぶ。

「とにかく散開だ。」

ピエールが大声で伝える。

その声に反応したか、サンドウォームがピエールの方へ向かってきた。

テトリアは「ファイアーボール!」を放った。

ファイアーボールは、サンドウォームの口に当たり、爆発した。

一瞬ひるんだ様に見えたが、そのまま向かってくる。

マリアは「アイスジャベリン!」を放ち、アイスジャベリンは

サンドウォームに突き刺さったが、動きを阻害(そがい)するには至らなかった。

アンジェは「エンチャンテッドフレイムウエポン!」を唱える。

俺はサンドウォームの長い胴体にめがけて、「アイスピラー!」を唱える。

するとサンドウォームの胴体は氷の柱で固定された。


このアイスピラーは、氷で目標を貫くのではなく、

その場所に氷の柱を出現させる。その氷の柱の部分に生物がいた場合は、

それを閉じ込める形で氷柱が立つ。この氷柱は地面とくっ付いているので

動きを阻害される事になる。この氷柱に()らわれている間は、

その部分に継続的な冷気ダメージを負う事になる。

ただ、今回は下が砂地なので、単なる重しにしかならないが、

動きが阻害されるのであれば十分だ。


サンドウォームは胴体部分が凍らされて動けないのと

氷が邪魔で動きにくくなった事で、うまく動けないでいる。

そこを前衛職が襲い掛かる。前衛は特に上半身を徹底的に攻撃した。

それでも、それぞれが十数回切り刻んでようやく倒せた。


一旦ここで休憩にする。それぞれ食事を済ませておく。

休憩後、扉に罠が無いのを確認してから開ける。その先は階段になっていた。

今は先に進まず、そのまま、壁伝(かべづた)いに進んでいく。

(しばら)く進んだが、こちら側には魔物がいないようだ。

ここまで進んできて何となく構造が分かった。

2階層目の洞窟は縦に長い楕円形のような形だったが、

この5階層目は横長の楕円形に近い形をしているようだ。

そしてモンスタールームの反対側に当たる場所にセーフルームがあった。

結局ちょうど一周回ってきたのだが、中央部分が不明な状態以外、

特に問題は無さそうだ。

まだ、余力があったので、中央付近の様子も調べておきたいと皆に提案する。

ただ、ずっと暗い砂の上を歩いてきているので、

予想以上に疲労が出てきている。戦闘は避けるべきだろう。

それでも皆は了承してくれた。

さて、少し歩けば中央の状態が分かると踏んでいたが、すぐに分かった。

中央にはサンドウォームが4体ほどいるのが分かった。

サンドウォームはそれ程移動しないので、放置するのがいいという意見で

まとまったので、今日はこのまま帰還する事にした。


ちなみに、セーフルームから何故、帰還しないのかだが、

セーフルームから帰還した先がどこになるか不明だからだ。

例えば、セーフルームから転移した先が土砂などで通路が埋もれている場合、

そこに閉じ込められる危険があるらしい。

部屋自体が埋もれている場合は、機能しないというのは分かっているらしい。

そして障害物を取り除けば、機能し始めるという事も分かっているようだ。

ただ、一階層には隠し部屋のようなものは索敵上見つかっていない。

だからと言って索敵で必ず見つけられているかは判断しかねる。

というのも、この索敵というものが、どの程度の信頼度なのか不明だからだ。

仮にこの索敵を妨害する魔法なりがあった場合、取り返しがつかなくなる。

そういった意味では、今少ない人数で攻略を余儀なくされている間は、

リスクを減らすために、使用しないのがいいという事になっている。


砦に戻った時にはもうすぐ日が暮れはじめるというような時間だった。

そして、ようやく補給部隊の第1陣がやってきていた。

ただ補給部隊とは言っても、道路建設の部隊なので、物資は多くない。

それでも、矢や槍などの武器をはじめ、道路で使用しなかった石材や

道を整備するためのつるはし等の道具も届いた。

護衛には、街の兵士10人とCランク冒険者15人4チームが来た。

今夜一晩ここで休んだ後、明日の朝に戻る事になっているようだ。

補給に必要な物資のリストを持ち帰り、

再度、こちらに来る予定との事だった。

それとダンジョンの攻略状況の報告書と一緒に魔石は

持ち帰ってもらう事になっている。

そこら辺の事はピエールとアンジェが引き受けてくれている。


一体何階層あるんだろう。早く柔らかいベッドで眠りたい。

ぜひ、皆さんの評価を広告下の☆で評価をつけて下さい。

どうぞ、よろしくお願いします。

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