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アルスの異世界日記  作者: 藤の樹


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34日目 攻略への道

●34日目(グリウス歴863年6月6日)

朝、二の鐘つまり時間で言えば9時頃だろう。

森に近い正面入り口は、まだ門の修復が終わっていない。

今、この場所には大勢の人間で(あふ)れ返っていた。

俺達冒険者は、ギルド長の前に集まっていた。

すでに、街の兵士の一部と森の入り口に拠点を作るチームは出発していた。

「君たちは、道路工事のチームと一緒に向かってもらう。森までは私も同行するので指示に従ってくれ。では出発するぞ。」

ギルド長の号令で、

冒険者を先頭に工事チーム、その後を兵士16人がついて出発した。

先日の雨の影響でぬかるむ程ではないが、

地面が柔らかくなっている所もあり、進みは遅い。

森の入り口に到着した時は、昼前になっていた。

森の入り口ではすでに、柵やら、建物の土台やら作業が始まっている。

一旦ここで昼食休憩となった。

「ギルド長。こんなペースだと正直いつ着くやら疑わしいのですが。」

と俺はシモンギルド長に訊いた。

「仕方ないだろう。道のないところを物資を運びながら進むんだから。」

「それでですね。提案があるのですが。」

「なんだね?」

「先に森の奥に攻略拠点作っちゃいませんか。」

「何を馬鹿な。物資が無ければ作れないだろう。」

「とりあえず、拠点用の物資は僕が運びます。それと、倒木も道を作るのに邪魔なものも僕が撤去します。工員と兵士を分けてもらって、冒険者と一部の工員と一部の兵士でダンジョン付近の拠点作りに向かいます。残ったチームはこのまま、道を作ってもらって、ダンジョン付近の拠点づくりの防衛は兵士さんにお願いしたいと思います。冒険者の僕達は、そのまま攻略を始めます。人員の割り振りは任せますが、どうですか。」

「そうか、君のアイテムボックスは収納が大きいのだったな。あの物資を運べるのか。」

「ええ、大丈夫です。ダンジョンは初めてなのでそちらに時間をかけたいんですよ。」

「私の一存では決めかねる。話し合うから少し待て。」

そう言って、兵士の隊長、工員の(かしら)を呼んで話し合い始めた。

かなり紛糾(ふんきゅう)しているのがわかる。

しばらく話し合って決着したのか、戻ってきた。

「お前の提案で行く事になった。ただし、出発は明日だ。急遽(きゅうきょ)予定を変更して、この場にいる工員達でバリケードや建築資材を加工していく。向こうでは組み立てメインで作業できるようにな。それと防衛の兵士だが、15名全員向かってもらう。これは工員側の要望だ。道路の建設には森の拠点設置の為の護衛を当て、兵士と冒険者の派遣を別途要請する事で決着した。それまで、君たちはここで護衛をしておいてもらいたい。」

そう言って、冒険者の一人に言付けをしてギルドに向かわせた。

兵士側も一人、庁舎へ向かったようだ。

その後、シモンギルド長は攻略冒険者と入り口の護衛で来た

チームリーダー達を集め、作戦の変更を伝えた。

随分(ずいぶん)思い切った提案をするじゃないか」

と大地の牙のリーダー、ピエールさんが言ってきた。

「こんな所でダラダラしててもしょうがないですから。それで皆さんにお願いがあるのですが」

と切り出す。

「私は、この後、道路建設の邪魔になる倒木を排除してきたいと思います。

護衛は皆さんにお任せしてもよろしいですか。」

と全員に訊ねる。全員、構わないといった表情だ。

「それならば、私とマリアで君の護衛をしよう。ここは森の浅部(せんぶ)だ。それ程脅威(きょうい)になる魔物は出ないだろうが。みんなはどうだ。」

とアンジェさんは名乗り出た。

「ここは俺達だけで大丈夫だ。それで行こう。」

と大地の牙も賛成した。

「ありがとうございます。皆さん、がんばりましょう。」


午後になり、アンジェさんとマリアさんと連れ立って

道路建設予定地の支障木の伐採に懸かる。

アンジェさんとマリアさんは俺がどうやって進めるのか、興味があるようだ。

今異空間収納はスキルレベル最大だ。

5mくらいまでの距離にあれば、触れなくても収納できる。

5m以上離れていても一部が圏内(けんない)にあれば問題なく収納できる。

ということで、片っ端から倒木を収納していく。

対象を目視(もくし)しただけで消えていく倒木。

時には、根が張っていたので、そこに穴が開くという事もあった。

アンジェさんとマリアさんは、呆気(あっけ)に取られていた。

その間にもどんどん収納していく。

この周りには索敵に掛かるようなモンスターはいない。

まるでそこに元から何もなかったように歩いて進んでいく。

それを見たアンジェさんとマリアさんは慌ててついてきた。

入り口から50mくらい入った所で索敵に反応がでた。

「アンジェさん、マリアさん。」

突然声を掛けられて2人はビクッとしながらも

「どうした。アルスくん。」と訊き返す。

「こちらの方から、5体、たぶん狼かと思うのですが、対処して頂いて構いませんか」

と狼のいる方を指しながらお願いする。

「わ、わかった。」

そう言って2人はそちらに向かった。あの2人なら狼ごとき問題ないはずだ。

俺はそのまま、収納に(いそ)しんだ。

そんな感じで5kmくらい来ただろうか。

時間にしてだいたい2時間くらい。

この辺りまで来ると最初の半分以上の幅になり、だいぶ狭くなってきている。

そのおかげか、後半は進みが早くなっている。

明日は俺達が先行すれば、だいぶ楽に進めると思う。

「今日はこの辺で帰りましょうか。」

とアンジェさんとマリアさんに提案した。

「ああ、そうだな。だいぶ進んできたし。戻るか。」

とアンジェさんは答えた。

「アルス君は随分多種多芸みたいだけど、どんな訓練してきたの?」

と帰りながらマリアさんは訊ねてきた。

「小さい頃から爺さんがね。厳しい魔法使いだったから、それで色々できるようになったのかな?」

と適当に答える。

「ふーん、じゃあそのお爺さんは凄い人だったんだね。」

「さあ、ずっと人里離れた場所で2人きりで生活してたから。」

「きっと、名のある方だったと思うよ。」

微笑(ほほえ)みながら話した。

そのあと、何気ない会話をしつつ戻ったが、流石に帰りは早かった。

倒木については、持っていてもしょうがないので、資材置き場の近くに

なるべく邪魔にならないように置いた。

工員の方達に燃やすなり、加工するなり、自由に使って下さいと伝えておいた。まあ量にビックリしていたけど、気にしたら負けだね。木だけに。

なんちゃって。


夜警は入り口の拠点防衛の人達がしてくれるという事なので、

しっかりと休めるのが有難(ありがた)かった。


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