22日目 平和な旅
●22日目(グリウス歴863年5月24日)
宿を引き払い、再び王都へ出発する。
ここから先は、盗賊すらもほとんど出ないという。
それというのも、あちこちに家が点在しているからだ。
この辺りは農業で生活している人達が多く、人も時々すれ違うようになる。
これだけ人がいると索敵もあまり意味ないように感じる。
長閑な田園風景を見ながら揺られているとこの陽気のせいで眠気が襲ってくる。
ふと後ろを見ると、ミーナはすでに眠っていた。おいおい。
眠気を振り払うため、体を少し動かし、大きく伸びをする。
おやっ?索敵範囲ギリギリのところでこちらについて来る者がいる。
一人のようだが、さっきから距離が一定だ。
こちらが馬車と考えると、向こうも馬車なのだろうか。
後ろを振り返り、目を凝らしてみる。しかし、遠すぎて分からない。
魔法で確認する必要があるか?と悩んでいたら、その反応は圏外に消えた。
思い過ごしか?
「どうされたのですか?」とカーターさんは訊ねてきた。
「いや、気のせいでしょう。」と答える。おかげで眠気は一気に吹き飛んだ。
それ以降、怪しい者の反応は特になかった。
昨日よりも早い時間に宿場町へ到着した。
結局ミーナは宿場町に着く直前まで眠りこけていた。
少し早めに着いた事もあり、食事の時間まで自由時間となった。
といっても、王都に一番近い宿場町なので特に珍しい物はない。
強いて言えば新鮮な野菜が多い気がする程度である。
ミーナに一緒に店を見て回ろうと誘われた。
あまり気も乗らないが、部屋で燻っているのもどうかと思うので、
一緒に行くことにした。
「アルスくん、元気ないねー」と訊いてくる。
「ミーナは元気いっぱいだね。お昼寝してたからかな?」
と冗談交じりに言う。
「もー、それは言わないでー。」
頬を膨らませる。なんかちょっと可愛いな。
「そんな事言ってないで、こっち見よ。」と手を引かれる。
なんかリリーの大きい版に見えてきた。
どこの世界でも女の子はウインドウショッピングが好きみたいだ。
ミーナがアクセサリーの露店で品定めしていると、
誰かに見られている感じがして振り向いた。
しかし、特に怪しい人影もこちらを見ている人影も見当たらなかった。
気のせいか?
「ディテクトエネミー!」こそりと呟く。
この魔法は、こちらに敵意を持った者を特定するものだ。
索敵と違って、街中での対象を見つけやすいのが特徴だ。
だが特に敵意は検知されなかった。
やはり気のせいか、疲れてるのかな。
宿屋に戻った後は、リリーとの遊びもそこそこに
今日は、早めに寝ることにした。




