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アルスの異世界日記  作者: 藤の樹


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103/276

100日目 パルーア兵との接触

●100日目(グリウス歴863年8月12日)


「アルス、交代だ。起きろ。」

体を()すられ、目を覚ます。

起こしに来たのはトールだ。

寝ている人を起こさないように静かに起きる。

テントを出るとまだ空は暗い。

「異常は?」

テントを出て、焚火の近くに座っているトールとジェスに声を掛けた。

「特に異常なしだ。ほら、目覚ましのお茶だ。」

そう言って、ジェスはお茶を渡してきた。

「俺達はもうひと眠りさせてもらうよ。」

大きな欠伸(あくび)をしながらトールとジェスはテントに入っていった。

今回の見張りは3交代になっている。

初めはアンジェとマリアとロザリーで2番目がトールとジェス、最後が俺だ。

最初の見張りを3人にしたのは、女性同士交流を深めてもらおうと

俺から提案したのだ。

周囲を索敵で確認する。

索敵範囲は半径500m遮蔽物も関係なくできるので、

森やダンジョンなんかではかなり重宝する。

その代わり、視界の開けた場所では、

視覚に頼った方が発見が早い場合もある。

特に空中ではそれが顕著(けんちょ)だ。

今、この周囲には魔物はおろか動物すらいない。

実はこの時間を使ってやっておきたい事があったのだ。

スキルのチェックである。特にクラフトスキルについてだ。

このあたりのスキルの関連性や何が出来るのか、良く分かっていない。

今、クラフトスキルはLv5。

そしてレベルを上げた時に新しく発生したスキルがある。

また、この技能を上げると作った物の品質や作成手法が増えると

説明があったのだが、これは派生したスキルがあるということなのだろうか。

発生したスキルは解体や木工、金属加工、石材加工、皮加工、錬金術。

これらも上限のLv5まで上げてある。

異空間収納のLv7にクラフト可という能力が付与されたことで、

異空間収納の中で加工ができるのは分かっている。

木工は分かりやすい。家具や道具をイメージすれば材料さえあれば作れる。

金属加工も石材加工も皮加工も特に道具は必要ないようだ。

しかし、錬金術は専用の道具が必要なようで、

それらは売っているのを見た事が無い。

ということは、自分で作らないといけないのか?

スキルウインドウの説明の中では魔力()、錬金すり鉢、計量器、

シリンダー、ビーカー・・・。

まるで化学の実験器具の名前がずらりと並んでいる。

再び木工の欄を見てみる。ここにも必要道具が書かれている。

のこぎり、斧、鉋、ノミ・・・。

試しに近くに生えている木を丸ごと収納してみる事にした。

生えているまま収納すると当然だけど大きな穴が出来る。

根っこごと取るのだから当たり前だ。

そこで、それほど大きくない木をウインドスラッシュで伐採(ばっさい)する。

倒れる前に収納するという方法を試すことにした。

「なるべく水平に切るように・・・ウインドスラッシュ!」

切られた木がゆっくりとだがバランスを崩して倒れ始める。

「収納。」

倒れかけた木が一瞬にして消えた。異空間収納の中に木が収まっている。

もし、道具が必要ならこの木は加工ができない。

今、異空間収納の中には道具はないからだ。

異空間収納の中で加工できれば、道具はいらないという事になる。

メニュー画面を開き、クラフトのボタンを押してみる。

するとそこには「木」と表示されていた。

「なるほど。」

さらにその木を選ぶと、今度は加工と表示された。

頭の中でイメージすればいいのかな?

取り敢えず枝から角材を作るイメージをしながら加工ボタンを押した。

すると、木と角材が異空間収納の中にあった。

「成功だ。すると、道具はいらないって事かな?」

今度は加工しやすいように木の枝を全て切り分ける。

ついでに木の天辺(てっぺん)の細い部分も枝として切り分けた。

木の(みき)と枝15本が出来ている。

「なるほど。」

今度はそこら辺に落ちている大きめの石を収納する。

今度は石の槍を作ってみる。

槍の構造は、前回買ったショートスピアを参考にする。

クラフト画面から木の枝と石を選択する。

石の槍をイメージして加工ボタンを押す。

すると、石の槍が出来上がった。

異空間収納から取り出してみる。

確かに石の槍だ。見た目はしっかりしている。

だが、どうにも貧弱(ひんじゃく)に見える。

槍を持って近くに木を突いてみる。

バキッ。

ものの見事に木の部分が折れてしまった。

明らかに素材の問題だ。

それに枝を使った事で()の部分が非常に細くなってしまっているのも

原因だと思う。

折れた柄の部分を見ると、木はしっかりと乾燥されているのが分かった。

使った素材は生木だ。

加工の過程(かてい)で乾燥などの処理もしっかりとされているようだ。

折れてしまった柄は役に立ちそうもないので焚火(たきび)に放り込む。

生木だったら煙が凄いことになるので焚火の状態を確認しておく。

柄に火が移り燃え始めても生木を燃やしたような煙は出なかった。

「なるほど。」

ちゃんとした素材と構造をしっかりとイメージできれば

それなりの物は出来るようだ。

武器の作成は素材の関係上無理だという事が分かったので、

他の物を作ることにした。

それで出来上がったのは、コップが8個、まな板2枚、木の棒を8本、

木の板10枚、それと、異世界転生でで必ずと言って良いほど出てくる

リバーシを3セット作ってみた。

そして、紙を作ってみたが、これは失敗した。

素材が全く合わなかったのだと思う。残念。

残りの余った木は全て焚き木にしておいた。一晩分くらいは持つ量だ。


そうしていると、アンジェとマリアが起きてきた。

いつの間にか空が白み始めていた。

「おはよう。」

「おはよう、アーくん。」

さっき作った木のコップにハーブを2、3枚入れてお湯をそそぐ。

「お茶、どうぞ。」

アンジェとマリアにお茶を差し出す。

「ありがとう。」

受け取ったお茶を飲みながら、アンジェとマリアが火の近くに腰かけた。

「お茶を飲み終わったら、食事の準備するね。」

アンジェが食事の支度をしてくれるようだ。

「うん。ありがとう。」

すると、今度はロザリーや伯爵の付き人の人達が起き始めてきた。

彼らにとっては野宿など全く慣れない環境なのだろう。

体を(さす)ったり、眠そうな目を(こす)りながら

テントから出てくるのだった。

しかし、そこは使用人としてのプロ意識なのか、

サッと食事の準備に入ったり、荷物をまとめ始めたり、

流石と言うべきだった。


「それじゃあ、皆さん、準備はいいですね。出発。」

朝の食事の終え、出発の準備も(とどこお)りなく済み、

全員が馬車に乗り込んでいた。

今日進むルートは一旦このまま東に進み、

上空から見えた道らしき所へ向かう。

方角からパルーア市国に向かっていると思われるので、

その道を進んでいく事になる。

ただ、その先は森の中になっているようで慎重に進む必要がある。

その状況を伝えると、昨日の御者と最後尾の御者が入れ替わった。

理由を聞くと、昨日の御者はベテランで角なしの扱いが一番上手く、

今日の御者は、とにかく視力が良いらしい。

森の中を疾走するには彼が一番の適任との事だった。


「ロザリーとは仲良くなれたの?」

今日も先頭の馬車の護衛についているアンジェとマリアに(たず)ねた。

「くすくすくす。それはもう、特にアンジェと仲良くなったわよね。お姉さま?」

マリアが楽しそうに言った。

アンジェは少し顔を赤くしている。

「ロザリーったら、アンジェの事お姉さまって言って、ずっとくっ付いて離れなかったのよね。」

「ずっとじゃないです。」

「まあ、なんだ。仲良くなったのはいい事だよ。」

マリアが揶揄(からか)い始めると時々、際限(さいげん)が無くなって、

アンジェがむくれるのだ。

そうなると、結構面倒なので、別の話にすり替える。

「この先は森の中を行くから道は狭くなると思う。

最後衛にトールとジェスが、2台目の馬車を前後に挟むように

アンジェとマリアは別れて護衛に当たってほしい。

前方の警戒は俺がやるから。

マリアはトール達にもそのことを伝えてくれる?」

「分かったわ。」

そう返事をして、後方に下がっていった。

暫くすると、道になっている場所に出た。

そして先の森の方へと道は続いている。

道に出た馬車は、速度を上げて進み始めた。


森に差し掛かりると道は少し南寄りに続いている。

これは間違いなくパルーアの方向だ。

そしてそのまま、馬車は森の中に入っていく。

森の中の道は、馬車が1台通れるくらいの幅があったが、

速度は落とす事となった。

それでも馬車の速度は、普通の馬車に比べれば早いと言わざるを得ない。

森の中の道は木の根が張っていたり、大きな岩があったりで

速度も緩急(かんきゅう)つけながら進み続けた。

そうして進み続けていると、木々の切れ間に出てきた。

その木々の切れ間の先は川になっていた。

川と言っても大きな川ではなく水量は少ないが、

河川敷は結構な幅になっている。

一旦馬車は停止して様子を見る。

馬だけならば、手綱を引いて進めば渡れるくらいの水量だ。

深さも選べば(ひざ)辺りまでしかない所を進めるだろう。

問題は馬車だ。河川敷は石や岩ばかりで、馬車では難しそうだ。

上流と下流に目をやるが橋らしきものも見当たらない。

「どうしますかい?」

先頭の御者を務めている男が訊ねてくる。

「仕方ない。皆に歩いて渡る準備するように伝えてくれ。馬も馬車から一旦外して、手綱を引いて渡河して欲しい。」

「馬車はどうするんですかい?」

「それは問題ない。連絡頼むよ。」

そういうと、御者の男は馬車から降りて、後方に伝えに行った。

馬車の扉を叩き、声を掛ける。

「伯爵。すみませんが、ここから歩いて川を渡って頂きます。急いで準備をお願いします。」

すると、馬車の扉が開き、ぞろぞろと馬車から出てきた。

「橋は無いのかね?」

訊ねてきたのはドラン法務官だった。

「もともと馬車で通る人間はいない道ですからね。橋は街道までいかないと無いと思いますよ。」

その答えを聞いて、やれやれといった表情を見せながら

川の方へと歩き出した。

実は川を渡る方法は別にあったが、その方法はやめておいた。

その方法とは、初めに河川敷の石や岩は魔法の

トランスロックトゥマッドで泥に変える。

その後、泥と一緒に川を氷魔法などで固めて馬車が進めるように道を作る。

川の上流にストーンウォールで一時的に堤防(ていぼう)を作る。

大して時間を掛けられないが、これでも川を渡るには十分だった。

しかし今回はそれではなく、馬車を収納して渡る事にしたのだ。

別に馬車に乗っているのが疲れたからって訳じゃないから。


全員が川に向かったのを確認して、馬車を全て収納する。

ずっと馬車に座りっぱなしだったから、ちょうど良い気分転換になるだろう。

ジェスが浅瀬を確認して先頭を進み始める。

その後に、ぞろぞろとお偉方が付いて行く。

何人かが足を滑らせそうになりながらも何とか全員川を渡ることが出来た。

渡った先で、一旦休憩を取ることにした。

馬車を再び戻し、いつでも出られるように準備も始める。

時間的に半分くらいの行程を進んでいるはずだ。


休憩中、アンジェの横には常にロザリーがべったり張り付いている。

アンジェは若干困ったような顔をしていて、マリアは素知らぬ風だ。

ジェスも頭を()きながら苦笑いしている。

「なあ、トール?」

「なんだ?」

「あれは、どうなってるんだ?」

「俺には分からん。」

「ロザリーって、いつもあんななのか?」

「いや、初めて見るな。他人に甘えている姿なんて今まで見た事ないな。」

トールは、平べったい干し肉を(くわ)えながら続けた。

「今まで他人に甘えられる環境になかったからな。お前やアンジェには悪いが、多少好きにさせてくれると嬉しい。」

「随分と知ってるんだな。」

「当たり前だろ。相棒の義妹(いもうと)だぞ。あいつが小さい時から知っている。」

「ジェスとは古い付き合いなのか?」

「まあ、幼馴染ってやつさ。腐れ縁とも言うかな。」

「ロザリーが入る前までは、ずっと2人で冒険者をやってたのか?」

「駆け出しの頃は、他の奴らといくつかパーティを組んだ事もあるけどな。結局2人の方が気心も知れてるから、ずっと2人でやってきた感じだな。」

「へー、意外だな。ジェスなんか人付き合いが上手く見えるから、ムードメーカーとして上手くやりそうな感じだけどな。」

「そんな事はないぞ。いつも最後に()めるのはあいつだからな。」

「そうなのか?それこそ意外だよ。」

「なんて言うのかな。価値観の違いというか、信念の違いというか、・・・こういう説明は苦手なんだが、そうだな。例えば、ダンジョンなんかでこの先にお宝があるとする。しかし、その前には自分達で勝てるか分からない敵が待ち構えていたとする。お前ならどうする?」

「うーん。その敵がどういった敵か分からないけど、勝てないなら宝は諦めるかな。」

「大半の冒険者は、そうじゃない。目の前に宝があれば、どんな無茶もやる奴が多い。それに即席のパーティだったり、信頼関係が出来ていないパーティの場合、下手すると自分達以外を囮にしてでも宝を得ようとする。それが普通だ。」

「そうなのか?死んだらそれまでだと思うけど。」

「駆け出しや中堅の冒険者になるまでは、自分達の成長が著しく感じるんだ。そうすると、自分達は特別だとか、自分の力量を見誤る者達が多く出てくる。堅実な仕事ではなく冒険者をやるくらいだ。お調子者が多いんだよ。」

「トール達もそうだったの?」

「俺達が冒険者になった理由は名を上げようとか一獲千金を狙ったわけじゃないんだ。」

「へー、じゃあさあ、何で冒険者になったの?教えてよ。」

「こんな事人に教えるような話じゃないんだが、お前ならいいかな。昔、俺とジェスがまだ成年になっていない頃の話さ。俺達が済んでいたのは辺鄙(へんぴ)な小さい村だったんだ。ある時、俺とジェスと村で唯一の狩人のおっさん3人で狩りに出かけていた時だった。村がゴブリンとオークの群れに襲われたんだ。俺達は狩りの途中で村の方から煙が上がっているのが見えて、急いで村に戻ったんだ。元々小さい村だったからな。俺達含めても戦える人間なんて10人もいやしない。俺達が戻ってきた時にはすでに村人の半数が殺されていた。そして、俺達3人は必至で奴らと戦ったが、ゴブリンだけだったら、もしかしたらどうにかなったかもしれないが、あの頃の俺達ではオークには全く歯が立たなかったんだ。狩人のおっさんはその時にやられてしまった。俺達は逃げながら、近くに民家に立てこもったんだ。だが、所詮、簡素な造りの民家だ。扉も壊され、万事休すといった所で、偶々(たまたま)近くにいた冒険者達に助けられたんだ。村人の半数も石倉(いしぐら)の中に逃げ込んだおかげで助かった。だけど、俺の両親もジェスの両親も殺されてしまっていた。ロザリーもその頃、同じ村にいてロザリーの両親も殺されてしまっていた。ロザリーはまだ、小さかったけど、他の村人のお陰で何とか逃げ込めたお陰で助かる事が出来たんだ。助かった後で、俺とジェスは、この時に強くなろうと誓い合って、冒険者になったんだ。」

「じゃあ、ロザリーは今までその村で1人で暮らしていたの?」

「いや、結局、村は打ち捨てられて、みんな親類縁者を頼って出て行った。ロザリーはランゴバルドに住んでいた叔母夫婦に預けた。面倒を見てもらう代わりに俺達の報酬の一部をロザリーの生活費として渡していたんだ。そして最近になってロザリーが俺達について来ると言いだして、叔母夫婦と話し合った末に冒険者として俺達について来るようになったんだ。」

「よく許したね。」

「それが、ロザリーは魔法の素養があったんだ。誰に教わったのか分からんが、それで全員が納得して認めた。あのまま反対してたら一人でどこかに行きそうな勢いだったのもあるがな。」

「そうなんだ。変な事訊いて悪かったね。」

「いや、昔の事だ。気にしないでくれ。」


再び馬車に乗り込み、狭い道を進み始める。

索敵には魔物の反応はない。

しかし、森の中だから当然、蛇や猿、鳥といった動物は

それなりにいるのは分かる。

その動物たちもこの道が危険と分かっているのかいないのか分からないが、

この道沿いから離れた場所にいる。

「もう1時間もしない内に森を抜けられそうですね。」

御者の男が話しかけてきた。

道案内も兼ねているので御者たちは全員地図を見て

頭の中に地形を叩き込んでいるのだった。

「!?」

索敵にいくつかの反応が索敵圏内に入ってきたのだ。

入ってきたというよりは、こちらが近づいたの方が正しいのだが。

「少し、スピードを落として。」

索敵に現れた反応を地図で確認する。

ある程度、等間隔にいる。数は10。人間?

「リリー。」

リリーは肩の上に座っている。

「後ろのアンジェ達みんなに前方を警戒するように言って。数は10人だ。アンジェとマリアは前へ来るように言って。」

それを聞いたリリーは、わかったと返事をすると後ろに飛んで行った。

索敵に入ってきた人間は、こちらに気付いたのか

扇状に配置を変え始めている。

このままだと囲まれる恐れがある。

「もっと、スピードを落として。でも止まらないで。」

アンジェとマリアが来る前に防御魔法を発動させる。

その間にアンジェが前に出てきた。

「敵なの?」

「分からない。このままだと囲まれてしまう。先にこっちから仕掛けるから、ここは頼んだよ。」

そう言って、一番左端にいる人間の方へと向かう。

道から外れると以外と木々が多く、木や葉にぶつからないように

飛ぶのは骨の折れる行動になった。

出来ればインビジビリティの魔法で姿を消したかったが、

こう、木が多いと避けるのに注意が向いて

インビジビリティを維持するための集中ができそうになかった。

今度訓練する必要がありそうだな。

その為、直接向かうのではなく、一旦大きく迂回(うかい)し、

側面から近づくことにした。

本当は後方まで回り込みたかったが、そうなると時間がかかってしまい、

馬車に危険が及ぶかもしれないと判断したうえでの行動だった。

その人間はそれほど高くはない木の上の枝に乗って

馬車の方を筒のような物を目に当てながら見ている。

格好は全身黒ずくめである。

「忍者?」

パッと見、そんなイメージを彷彿(ほうふつ)させる姿だった。

筒を(のぞ)いているせいかこちらにはまだ気づいていない。

筒を覗いていなければ飛んでいる俺の姿に気付いていたかもしれない。

あそこなら落ちても死なないだろう。

「スタンクラウド!」

筒を覗いていた者は空気の異変に気付いたようだが、咄嗟(とっさ)に身動きが出来ず、

フラフラとしながら木に掴まろうと手を出すがそのまま地面に落ちていった。

落ちたのを確認して注意しながら近づいていく。

落ちたのはどう見ても黒ずくめの忍者に見える。覆面まではしていないが、

顔には黒っぽい染料を塗って目立たないように工夫されていた。

その男の足元にはさっきまで覗いていた筒が転がっている。

多分、望遠鏡のようなものだろう。

すぐさま、異空間収納に仕舞っておく。

そして収納からロープを取り出し、上半身を縛っておく。

「リリー、聞こえる?」

「なあにー、あるすー。」

「馬車に止まるように言って。」

「うん。あるすがーとまれってー。」

索敵上には敵なのか分からないが、もう100mもない位置に近づいていた。

このまま側面に沿って襲い掛かってもいいのだが、

それでは多分全員無力化するのは難しそうだ。

この格好をした男はどう見てもどこかの国に所属した兵士だろう。

どう見ても盗賊といった(たぐい)の者には見えない。

あまりにも身なりがしっかりしている。

となれば、交渉の余地があるかもしれない。

それが例え帝国の人間であってもだ。

そう考えて、麻痺している男を持って馬車の方へと急ぎ戻る。

相手も一人やられたことに気付いている可能性もある。

もう、コソコソ動く必要もないだろう。

馬車の位置が見えたので、一気に転移することにした。

「テレポート!」

止まっている馬車の先頭に瞬間移動で現れた。

少し、近くに現れすぎたせいで、馬が一瞬恐慌(きょうこう)状態とまではいかないが

足を上げて暴れ始めた。

御者の男が慌てて馬を落ち着かせる。

その男を持ちながら、少し馬車から離れた前へ移動した。

「聞こえるか。そっちに9人いるのは分かってる。この男も(しび)れているだけでまだ生きている。包囲を解いて姿を見せろ。」

大声で相手に呼びかける。

最初にかけたディテクトエネミーには反応していない。

つまり、まだ敵対していない証拠だ。

ただ、敵ではないという証拠にもならないのだが、

今のところ相手に攻撃する意思はないという事だ。

少し待っても返事はない。動く気配も無いようだが。

「キュア・パラライズ!」

縛り上げた男の麻痺を解除する。

男は一瞬逃げようと試みたが、それは叶わず座った格好で抑え込まれた。

「見えるか。こいつはまだ生きている。姿を見せなければ敵対していると判断して、この男をこの場で死んでもらう事になるぞ。」

再び、大声で話しかけた。索敵で確認してもまだ動く気配を見せない。

これは、話す余地なしかな。

そう思い始めた時、中央にいた者が一人近づいてきた。

近づいてきた者も同じように黒ずくめの格好をしている。

そいつは両手を上げて近づいてきた。

これは、こっちの世界でも敵意なしという表現でいいのかな。

サッと後ろで剣を抜いて馬上にいるアンジェを見る。

アンジェは意図を察したのか大きく頷いて見せる。

相手が20m付近まで近づいてきた所で止まるように言う。

「そこで止まれ。」

相手は黙ったまま立ち止まる。

そして、その男を鑑定する。

ベイド Lv20 諜報部隊隊長

「お前達は何者だ。」

少し間をおいてその男は答えた。

「俺達はパルーア市国の兵だ。お前達こそ何者だ。ここはパルーア市国領内だぞ。」

と言ったのだが、その男の目線は馬上のアンジェの方へと向けられた。

そして、何か気づいたかのようにハッとして、アンジェの方に言った。

「もしや、アンジェリカ姫様?」

アンジェリカ?

「そちらにいらっしゃるのは、アンジェリカ姫様ではないのですか?」

男はもうこちらはどうでもいいとばかりにアンジェの方に声を掛けた。

「私です。ベイドです。お忘れか。」

そう言って、懐に手を入れる。

その瞬間、人質の男を掴んだまま、後ろに飛び下がった。

しかし、その男が取り出したのは手ぬぐいだった。

取り出した手ぬぐいでおもむろに顔を拭き出した。

すると顔に塗られていた染料が拭い取られて素顔が現れた。

後ろからアンジェの声が聞こえる。

「ベイド、本当にベイドなのですか。」

その言葉を聞いて、ベイドと名乗った男は片膝をついて跪いた。

「ご無事で何よりでございます。アンジェリカ姫様。」

馬上から降りてきたアンジェが俺の隣まで来た。

「ベイドこそ、よくぞ無事で何よりです。」

これは知り合いという事でいいんだよな。

「アンジェリカ姫様がいらっしゃるという事は、マリアンジュ様もいらっしゃるのですか。」

「ええ、おります。」

そうアンジェが答えると後ろからマリアも馬を降りて近づいてきた。

「おお、マリアンジュ様もご壮健(そうけん)で。」

再び(ひざまず)いたまま頭を垂れる。

「ベイド、久しぶりですね。」

マリアがそれを見て答える。

「はい、マリアンジュ様もお元気そうで何よりでございます。」

「あー、えーと、説明お願いします。」

「そうでしたね。ベイド楽にして下さい。」

そう言うとベイドはスッと立ち上がった。

「こちらは、わたし達の夫のアルス様です。そして、こちらは、わたし達がパルーアから脱出する時に協力してくれたモルガン公爵の子飼いの部隊で隊長をしているベイドという者です。」

ベイドは一瞬ピクッとしたが、挨拶をしてきた。

「ベイドと申します。お見知りおきを。」

「こちらこそ、よろしく。」

「ベイド、この状況を説明して欲しいのですけど。」

アンジェがベイドに訊ねる。

「はい。公爵様から言われた通り、アンジェリカ姫とマリアンジュ様を脱出させた後、我々は親帝国派の市国の諜報活動に戻りました。その後、半年ほど前に帝国内を探るよう指示を受けまして、帝国領内に潜入しておりました。しかし、潜入して間もなく、帝国が十三連合国へと侵攻した事により我々はパルーアまでの帰国が困難な状況になりました。ようやく帰国できる算段が整いましてようやくここまで辿(たど)り着いた次第です。」

ベイドはアンジェとマリアにそう説明した。

「それは、わかりました。しかし、ここは帝国側と反対の方向ですよね。何故こんな所にいたのですか。」

「それなのですが、初めは我々も正面より戻るつもりでした。ですが、北方から東部にかけて魔物の軍勢が多数いて抜ける事が出来なかったので、反対の西方へと回り込んで帰国する予定でした。」

「でした?」

「はい。5日前にパルーアに入らずそのまま待機せよとの命令が届いたのです。その為、我々はこの付近に潜伏して次の指令を待っているという状況なのです。」

「何か理由は言ってなかったのですか。」

「それが何も。こちらとしても状況が分からず、メッセンジャーを飛ばしても帰ってくるのは待機せよだけなのです。」

「そうですか。それはおかしいですわね。」

マリアが答える。

話の流れは良く分からないが、メッセンジャーは召喚魔法の初歩の魔法で、

特定の人間に鳥等の動物に似せた疑似生命体を飛ばして

連絡を取り合う魔法だ。

「それはそうと、こんな所ではいつ魔物どもが現れるとも限りません。もしよろしければ我々が潜伏している所までお越しください。少しは(くつろ)げるかと思います。」

その言葉にアンジェとマリアが俺を見る。

「そういうことなら、少し休ませてもらおうか。でも馬車で行けるのか?」

「それは多分大丈夫でしょう。それではご案内しますので、こちらに。」

そう言って、ベイドはピュッと口笛を吹く。

周囲に展開していたベイドの部下たちが一斉に動きだした。

どうやら撤収の合図のようだった。

狭い道の途中に偽装(ぎそう)された分かれ道があった。

その偽装された道を進んでいくと切り立った崖にぶつかった。

道はここで途切れている。道はないが(がけ)沿いに進むこともできそうだ。

しかし、案内してきたベイドは「ここです。」といって、

崖の方へと進んでいった。

すると崖の中へ吸い込まれるように消えて行った。

「ディテクトマジック!」

崖の一部分に魔法を検知した。

中から再びベイドが出てきて説明した。

「ここは幻術の魔法が掛けられているのです。中に普通に入れますのでそのまま馬車で入って下さい。」

御者たちはその話を聞いて、馬に目隠しを始めた。

馬にも幻術の効果があるので目隠しをしないと入ってくれないらしい。

そして順番に入っていく。

中に入ると意外にも洞窟ではなく人工的な石造りの

トンネルのような場所だった。

中に少し入るとそこには扉があったが、今は開かれている。

その扉を潜るとかなり広めの空間になっていた。

100人くらいは余裕で入れる位の大きさはあるだろう。

馬車はここまでらしく、この先は歩いて進んだ。

両壁にいくつもの扉があり、奥の行き止まりの扉を入った。

そこは部屋となっていて、それなりの調度品が設えてあった。

「ここなら、安全にゆっくりと話が出来るでしょう。」

ベイドはそう言って、ソファーや椅子に腰かけるように促した。

ようやくここで、それぞれの紹介が始まった。

その間に飲み物も運ばれ、寛ぎ始めた。


「なるほど、貴殿らはパルーアとの同盟を結ぶ為にいらしたのですか。」

ベイドはホフマン伯爵との話でそう答えた。

「しかし、現在パルーアに入る事は非常に困難な状態です。正面の大跳ね橋は上げられて通行できなくなっています。ご存じの通りパルーアは湖内にある島が丸ごと街となっていて、その跳ね橋が唯一の通行箇所となっています。もちろん船で渡る事も可能ですが、船も全てパルーア内に戻されています。取り敢えず公爵様と連絡を取り、どうするかを確認しますので、暫くここで逗留(とうりゅう)して頂くのが良いと思います。」

「では、なるべく早く伝達して頂けると助かります。」

「わかりました。では、皆さんにはそれぞれお部屋を用意させております。

ご案内しますので付いて来てください。

ただ、部屋の数が多くないので3組ほどに分かれて頂けますか。」


そして話し合った結果、ホフマン伯爵とその執事のトルネ、

ドラン法務官と、ロバート軍務官が1つの部屋で、

エマ魔法士官、メイドのシンシア、ロザリー、の女性組が一部屋、

ジェスとトール、御者の3人が一部屋という形で落ち着いた。

ちなみに、俺とアンジェとマリアはパルーアの関係者という事で

別の部屋へと連れていかれた。


それぞれが荷物を馬車から降ろしてそれぞれの部屋へ入る。

最初は文句も多かったが野宿よりマシとの言葉に最後は

渋々納得して決着した。

俺達も部屋に入って、2人に椅子に座るように言う。

「さて、アンジェリカって誰?マリアンジュって誰?聞いてないんですけど。」

別に怒っている訳じゃないが、教えてくれてもいいだろうにという、

ちょっとした嫉妬というか仲間はずれ感を感じての言葉だ。

「別に隠すつもりはなかったのよ。元々の名前は捨てたつもりだったから。」

そう弁明したのはマリアだった。

「でも折角だし知っておいてもらった方がいいよね。私の本当の名前はアンジェリカ・フュルスト・フォン・パルーア、そしてマリアの本名はマリアンジュ・マルクィス・フォン・パルーアというのです。」

「えっと、アンジェリカ・フュ?、マリアンジュ・マリア?」

「フュルストフォンパルーアというのは、パルーアの公爵家のという意味ですわ。マルクィスフォンパルーアというのはパルーア侯爵家のという意味で特に深い意味は無いのよ。」

マリアは説明してくれた。

「昔から愛称はアンジェとマリアだったから、今まで通りそう呼んで欲しいわね。昔の名前はいい思い出なんかなかったし。」

そうだ。2人はパルーアでいい思い出が無く、

出奔して名前も捨てて新しく人生を歩もうとしてきたんじゃないか。

「ごめん。アンジェ、マリア。つまらない事で嫌な事思い出させちゃって、ホントにごめん。」

「なら、お詫びに今日は一緒に寝てくれるんでしょ。アーくん。」

マリアが悪戯(いたずら)っぽく微笑んだ。

「そうだね。たまにはいいかな。」

「やったぁ。」

アンジェとマリアは嬉しそうに笑った。

「さて話は変わるけど、ベイドの言ってた公爵とベイドについてもう少し詳しく教えてよ。」

話を要約すると、幼少の頃より宮廷で(いじ)められていたアンジェとマリアは

モルガン公爵、親しい人達からはモルガン老と呼ばれているのだが

その公爵には凄く可愛がられていたらしい。

ベイドはモルガン公爵の直属の部下で主に諜報活動に()けた人物らしい。

アンジェとマリアにそれぞれシグルド侯爵とカッチェ伯爵との婚約話が

同時に上がって、それを機に出奔(しゅっぽん)することを2人は決めたという事だ。

シグルド侯爵とカッチェ伯爵というのは、

高慢で選民意識の高い人物のようで年齢もシグルドが40代、

カッチェも30代と年齢も離れているという事だ。

シグルドは妻がいたらしいのだが、不慮の死を遂げて亡くなっている。

それよりも幼少の頃に虐めていたのは

この2人が率先して行っていた節もある。

それがアンジェとマリアが成長してから

急に婚姻の話を強行に進めてくるようになったらしい。

カッチェ伯爵は王族ではないがシグルド侯爵にべったりの貴族という事だ。

また、悪い噂も多々あり、どうしても婚姻する気になれなかったという。

そこで、モルガン公爵に泣きついた結果、任務に出ていたベイドを呼び、

密かにパルーアからの出奔を手伝ってくれたのだった。

何故、王位継承権の上位者である2人が虐める事ができていたかと言うと、

アンジェは元7位だが、当時、現シグルド侯爵の父親が

王位継承権5位だった事が大きい。

だがその父親が死んだ事により、侯爵家をシグルドが継いだのだが

王位継承権は10位以下であった。

その為に王位継承権を持っている中で一番若く、

女性であったアンジェと結婚する事で

自らの権力を強めようと画策していると専らの評判だった。

カッチェ伯爵はそんなシグルドの手足のように動く駒であり

マリアにとっては降嫁するにしても、

よりによってという感じだったみたいだ。

「うん。典型的な下衆(げす)野郎だね。カッチェ伯爵に至っては虎の威を借る狐の典型だね。それで成長して美人で王位継承権も持ってて利用価値があると判断すると手のひら返しで結婚を迫る。ほんと欲望の塊のような人物だね。」

率直な感想を述べた。

「今、美人って言った?ねー、アーくん。言ったよね。もう一回言って。」

マリアが変な所でスイッチが入ってしまった。

アンジェを見るとアンジェも顔を赤くして頬に両手を当てている。

そんな状況で話が続くわけもなく、大きく溜息(ためいき)を吐く。

コンコン。

そんな時に扉をノックする音が聞こえた。

「誰?」

俺が誰何(すいか)の声を掛ける。

「私です。ベイドです。少々よろしいでしょうか。」

俺が扉を開けると、ベイドはサッと部屋に入ってきた。

「少々お伺いしたい事がございます。」

若干緊張気味のベイドを椅子に座るよう促す。

椅子に座り、意を決してという感じで話し始めた。

「お聞きしたいのは先程、アルス殿を夫と言ったように聞こえたのですが・・・」

「そうよ。」

先程のテンションから打って変わってやや冷たそうにマリアが答えた。

「そうですか。少々その・・・歳が離れているので何かの聞き間違いかと思いまして・・・。」

少し、しどろもどろに答える。

「どういう意味よ。」

マリアが言ったが、普通はそう考えてもおかしくはない。

12歳と言えば小6か中1、アンジェとマリアは高校生

もしくは大学生という年齢だ。

元の世界では恋愛対象にすらならない。一部の人達を除いてだけど。

大人になればこの程度の年齢差は大したことは無いだろう。

ベイドが確認したくなる気持ちは分かる。

「いえ、その、いくらなんでも」

そう言って、チラリと俺を見る。

「いけませんの?」

アンジェも心外だと言わんばかりに訊き返す。

「いえ、滅相(めっそう)もございません。ただ、確認がしたかっただけですので、その聞き間違いかと・・・。」

「なら、これを聞いて納得してもらいたいわ。いい、アーくんはAランクの冒険者ですわよ。」

それを聞いたベイドはスーッと目を細めた。

そしてその細めた目でこちらを値踏みするかのように見てきた。

「そうですか。それならば納得です。Aランクの冒険者ですか。なるほど。アルス殿が噂の冒険者だったとは失礼しました。」

いつも間にかベイドの表情は元に戻っていた。

もしかして、この人大きな勘違いをしているかもしれないな。

アンジェとマリアが能力の高い子供を青田買いしたとか考えていそうだけど

あえて否定しないでおいた方が良さそうだな。

「では、私はこれから、公爵様に連絡しますので、これで失礼いたします。」

席を立って、ベイドはそのまま出て行った。

「アーくん、気を悪くしないでね。」

アンジェがバツが悪そうに言ってきた。

「気にしてないよ。彼の言う事も(もっと)もだし。それよりもさ。アンジェとマリアが助けたいって言った人ってどんな人?」

話をぶり返しても楽しくはないと思い、話題を変える。

「一番気になっているのが私たちの専属メイドだった、メアリとローネ姉妹かしら。彼女たちはいつも私やアンジェの事を気にかけてくれていたわ。それとアンジェの執事のジョハン。彼も色々と助けてくれていたわね。それとモルガンおじい様には無事を伝えたいわ。他にも何人かいるけど最低でもこの4人にはちゃんとお礼を言いたいわ。」

「ちゃんとお礼言えるといいね。」

その後は、パルーアの事や貴族の事など様々な事を2人から教わった。


そして夕刻となり、食事の準備が出来たという事で呼ばれた。

食堂は通路の左右に並んだ扉の内の1つにあった。

そこにはホフマン伯爵を始め全員が揃っていた。

そしてベイドやその部下たちも席に着いて待っていた。

最後に俺達が呼ばれたのは、ベイドが気を利かせたからだと思う。

席に座ると、ベイドが話し始めた。

「本日は、遥々ジュノー王国から使者の方が参られた。状況が状況なだけにこのような場所での歓待となった事を深くお詫びいたします。先程、公爵様から連絡があり、明日、皆様を船でお迎えにあがると連絡がございました。その為、皆様には明日の朝より出発頂き、合流予定地点まで向かって頂く事になります。馬車と御者の方はこちらで暫くお待ち頂く事となりますが、我々が責任をもってお守りする所存です。それでは、粗末な食事ですが明日に備えてお召し上がりください。」

そう言って、席に座った。

出された食事は質素ではあるが、決して粗末な食事でもなかった。


食事が終わり、部屋に戻る途中で

何故だかロザリーに睨まれたように感じたが、気にしないことにした。


部屋に戻ると、風呂に入れるわけもないので、魔法で体を綺麗にした。

「さあ、アーくん、もう休みましょ。楽しみね。」

「そうだね。約束したしね。」

3人でベッドに入るなり、愛を確かめ合った。

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