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俺が推しになってしまった
「なんて…ことだ…」
ここは星月夜学園の男子トイレ。1人の男子生徒が、鏡の前で顔を真っ青にして呟いている。
皆さん初めまして、俺の名前は佐々木 星夜だったと思う。だが、今鏡の前で呟いているのは赤波 光夜という別人だ。
え?意味がわからないだって?それは今から説明しよう。きっと説明が終わる頃には、俺自身も理解が出来ていると思いたい。
坂のぼること20分くらい前。
俺、佐々木 星夜はコンビニに居た。
25歳サラリーマン男性のごく普通な俺の趣味は、女性中心に大人気の男性学園アイドル育成ゲーム『アイドル♪ウォーズ』通称アイウォズをやることだ。アイウォズについてはまた後で説明しよう。
そんなわけで今もアイウォズのイベントの為、課金用のプリペイドカードを購入する目的でコンビニに来ていた。
今回のイベントは絶対負けられない、なんてったって俺の推しの赤波 光夜君のイベントだからな!一番金額の高いカードを購入し俺はコンビニを後にした。
直後だった。
クラクション爆音が耳に響く。刹那、視界いっぱい映るトラック、交通事故に巻き込まれたのだと悟った。薄れ行く意識の中で俺が呟いた言葉は、「イベントまだ終わってないのに……」だった。




