オペラハウス
量的には一話分ですが、二話に分けました。
次話は18日0時に投稿します。
オペラハウスです。キラキラ絢爛豪華です。
ダグラスにエスコートされて、約束していたオペラを観にやってきました。
エッロエロなドレスも作ってもらったのですが、観るのが悲恋らしいので大人しめな物にしました。ボディスの前面が首までレースアップで、腕も背中も景気良く出てます。
胸元を隠す事で返って強調される上、紐が胸のところで形が変わるので、結局エロエロでした。今流行っているフンワリしたドレスは、背の高い私には似合わないので、前世の社交ダンスのドレスのように、裾の方にボリュームをもたせてもらいました。
流行りを追うより、似合うかどうかです! 駄目なら田舎に逃げ帰ればよいのです。
幸い、迎えに来たダグラスには大変好評でした。
流石人気演目だけあって、ロビーも混んでます。その奥にドカンと大階段があり、これは3階まで上れるようです。
存在を主張するバカでかいシャンデリアが今落ちてきたら……と考えながら見上げていると、ダグラスが柔らかい笑顔で話し掛けてきました。
「気に入ったようだね」
「それはもう!」
全力で同意します。
「要所に金を配するのは真似出来ないけど、木材の重厚感! 領地の森を思い出したわ。手付かずの森の植生を調べたら、もしかしたら良い値で売れるような物があるかも知らないわね。一般的な木でも、デザインに特色を持たせた家具や調理道具の類なら……いや、デザイナーが見つかるかどうか」
そもそも職人を雇うお金が無いですね。
うん、やはり私が良いお婿さんを迎えるのが一番ですね!
ダグラスの笑顔が虚ろになっていましたが、やはりスルーで。
お、開演のベルが鳴りましたよ。早く席に着きましょう。
本当に楽しみです。
ええ、本当に素晴らしい歌声でした。
病弱で健気なヒロイン。その彼女を必死で支える繊細なヒーロー。
でもどっちも丸いんですよおぉぉぉ。
そうですよね。体力だって必要でしょうし、体が楽器ですものね。言わば共鳴胴。丸い方が響くんでしょうね。
でも、凄く健康そうなんです。
そんな感じで何となく疲れたので、休憩時間を過ぎましたが、閑散としたバーやロビーを見学して、気分を変えてから戻る事にしました。
ダグラスも付き合ってくれました。スマン。
人込みでろくに見れなかった装飾や絵画などを見たあと、化粧室に寄るためダグラスには先に戻ってもらう事にします。
化粧室も大変豪華でした。
ここだけは、幾ら豪華でも大丈夫。綺麗な方が落ち着きます。
日本と比べると、衛生状態は良くないので、しっかりした設備があるとホッとするんです。
次があるなら、今度は明るい話にしてもらおう。この手摺がツヤツヤなのは掃除の効果か手の脂か。そんな取り留めのない事を考えながら大階段を上ります。
もうすぐ上り切るというところで、向こうから女性がやってくるのが見えました。
まだ若い令嬢ですね。少し俯向き加減で、急いでいるようです。広い階段ですし、真ん中にいるわけでもないので、そのまま進みます。
上り切って視線を上げると女性が思ったよりもずっと近くにいて、そのままこちらに向かってきます。
え、これって……
どん。
私の体が完全に宙に浮きました。
どうやら私は真っ正面から来られると弱いようです。