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夜会ー?

「こちらから派遣した侍女に不満があるなら、何で会った時に行ってくれなかったんだ」


 散々怒られたダグラスが、別に掴まれた訳でもないのにクラバットを直しながら文句を言ってきます。

「だって私が言っても貴方聞かないでしょう」

「どう言う意味だ」

 憮然としてますけど、これには自信があります。


「善意で私の欠点を補おうと思ったんじゃないかって言うに決まってるわ」

 自分でも言いそうだと思ったのでしょう。顔をしかめています。

「事実じゃないのか?」

 ハイ、アウトォ。


 ベスさんの説教タイム第二弾です。

 今の私の何を知っているというのでしょうか。ベスにチクって正解でした。






「申し訳なかった」

 ダグラスが私に頭を下げます。わかったので目立つから止めてください。

「全く、手間を掛けさせる男ね」

 ベスもお疲れ様でした。


 侍女の派遣について、ダグラスが言い訳をしたいと言い出しました。

 一応聞いてみますと、現在のフォード家は男所帯で侍女の質に言及できる者がいないとのことでした。あの侍女は来客用に頼んでいる者だそうです。

「母は亡くなったし、兄達はまだ遊んでいたいと言いながらよく女に騙されて、女性不信になりつつあるから、結婚はまだ先じゃないかな」

 伯爵家、大丈夫か?!


「というか、君は隣人に興味なさ過ぎじゃないか。あんなに親しく付き合ってたのに」

「親しくっていっても、小さい頃に貴方と遊んだくらいでしょう」

「父さんにだって凄く懐いてたじゃないか。ベンじいとか呼んでさ」


 ベスが驚愕の声を上げました。

あの(・・)スタンフィールド伯爵が『ベンじい』!あの(・・)伯爵が」


 あのあの言ってベスがうるさいですが、私もそれどころではありません。

「ベンじい、ヒゲもじゃの熊だったけど」

 やっぱり気付いて無かったんだな、と言いながらも教えてくれます。

「あの頃は、流行り病で母を亡くしたばかりで荒れてたんだ。父は元々フィールドワーク好きの学者タイプで、心配した君の父上が、籠っているよりはと子爵領の家畜の改良や、病気の予防の話を持って来てくれたんだ」

 それは心の安定と安い労働力、さらには領の発展まで視野に入れた良い計画でしたね、お父様。


「無愛想な自分に、小っちゃい女の子が懐いてくるんで、初めは戸惑っていたようだけど、そのお陰で元気になっていったんだよ」


 それは、あっしのことですかい?


「今、無性にベンじいに会いたいわ。王都に居るの?」

「今回は領地に居るよ。オフシーズンになったら一緒に行くかい?」

「ええ是非!」


「私も遊びに行ってもいいかしら」

「私はベスに来てもらえたら嬉しいわ。子爵領に招待するから、是非来てちょうだい」

 そして二人でダグラスの方を見ます。

「私も勿論、喜んで招待させてもらうよ」


 その後領地で何をするか、どんなものがあるのかなど楽しく話しました。

「喉が渇いてきたわね。フォード様、飲み物を取ってきてくださらない?」

「ああ、構わないよ。何がいい?」

 軽いものをと頼み、ダグラスを見送りました。


「さっきは私のために怒ってくれて、ありがとうベス」

「あ、あの男の礼儀がなってなかったからよ!貴女のためじゃないわ」


 やっぱり彼女はツンデレですよね。そんな気はしてました。


「そんな事よりも、私もロゼに話があるって言ったでしょう」

 そうでした。ツンデレをからかいたいような気もしますけど、何だか真面目な顔をしているので、抑えておきましょう。


「フェリシティ様が、貴女の事を聞いて回っているようなの」

「え? 未来の夫の失礼を謝りたいとか、そういうのじゃないよね」

「じゃないようよ」

「私巻き込まれただけで、関係ないよね」

「巻き込まれたのだから、無関係ではないわね」

 ええー。リチャードめえぇぇ。


「少し身辺に気をつけた方がいいかもしれないわ」

 真剣な顔で言われてしまいました。


 ダグラスが戻ってきたので、話は途切れましたが、何だかモヤモヤした気持ちが残ったのでした。


 





 あれから数日経ちますが、何事かはありました!

 夜会やお茶会でバルコニーの下を通ると、花瓶や重い本が落ちてくるのです。

 いやいや、これ死んじゃうから! 罠として感知できてるけど、私だって捕まることあるんですから!


 勿論そのままにはしません。

 しかし目撃者が見つからないこと。令嬢では目立つし、持ち上げられるか微妙なこと。毎回使用人を疑うと、邸の主人の評判にも関わるため、私のほうが嫌厭されてしまうこともあり、泣き寝入り状態です。泣いてませんが。むしろめっちゃ憤ってますが。


 それでも悪意をぶつけられると、やはり凹みます。

 気落ちしていると、最近エスコート役を務めてくれているダグラスが、オペラに誘ってくれました。今人気の演目だそうです。

「気分転換になればと思って」と、頭をかきます。

 何だこいつ、見所あるじゃないか!

 背中バンバン叩きながらも、気分は急上昇です。


「デートね! 楽しみだわ」

「デート……」

 ダグラスが赤くなってますが、最近多いので、全然気にならなくなりました。


 ベスに紹介してもらったドレスメーカーから、試作も届いています。大分楽に着られる様になってました。

 腕が良いらしく、母の娘時代のドレスとは思えないほど、素敵なデザインに変貌してましたし、当日が本当に楽しみです。




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