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夜会ー2

読んでいただき、本当にありがとうございます。


6/2 会話文を修正しました。

ご指摘ありがとうございました。


9/3 いくら乙女ゲーでもそこだけ時代が進み過ぎていたと感じる部分を発見。修正しました。


「あの、私はローザと申しまして、フェリシティ様ではございません」

「…………」


 す、すっごい静かになっちゃいましたよ。何これ、私がフォローしなくちゃいけないんですかね。私、悪くないですよね。そもそも初対面の人に、何やってくれちゃってるんですかね。


「おいおい、リチャード。何やってるんだ? いくらフェリシティ嬢とケンカしたからって、これはないだろう」

 私があわあわしていると、ブルネットの青年が割って入ってきました。むむ、細マッチョと見ました。ちなみにワタクシ、単なるマッチョの方が好みでしてよ、ヲホホホホ。


「あ、ああ。済まない、少し感情的になっていたようだ」

 リチャード様が立ち上がって答えました。これだと何だか私の立場が無いようですが、もう既に不味い感じだったので、全然OKです。次期公爵様の体面大事! 周りもザワザワしてますけど、視線も減りましたよ。


「君もごめんね。いい迷惑だったよね」

 おぅふ。直球で返答しにくいですが、その通りです。

「いえ、こんな素敵な方にプロポーズされるなんて、得難い経験でした」

 にっこり笑って答えます。今こそ降りませ、私の令嬢魂! 他に出番はありませんよ(多分)。


「ほら、行くぞリチャード。本当にごめんね」そう言いながら青年は、リチャード様の肩を抱いて行ってしまいました。いいえ、私は腐女子ではありません。しかしあの青年、誰かに似ているような気がするんだけどなあ。


 さて、隣に座っていたにもかかわらず、見事にフェードアウトしていた我が友よ。目がインドの象の絵みたいになっているのに気付いていましたよ。三日月型のイヤラシイ感じのアレです。ジト目で睨んでやりますよ。


「なんだか愉快な事になったわね」

 貴女にとってはね。


「フェリシティ様って多分、アイリーン様の従姉妹に当たる方だと思うわ」


  ……………………。


「リチャード様の婚約者だった方がアイリーン様よ」

 ありがとうございます。貴女なしでは社交界は生き残れません。


 私の無知に少し鼻息荒くなった彼女でしたが、気を取り直して解説してくれます。

「フェリシティ様は今年デビューしたばかりだし、領地も離れているから会ったことはなかったんでしょうね。でも貴女との類似点なんて、背が高いくらいのものよ」お粗末にも程があるわとまた鼻息を荒くします。美人度が一割減です。落ち着いてください。


「公爵は、アイリーン様のお父上が主体で始めた貿易事業に参入しようとしてるのよ。その過程で結んだ婚約ですもの、契約に影響が出たのね。さっきのも新たな取り引きの一環だったんだと思うわ。あんな醜聞を引き起こしても将来は公爵だし、見た目も良いし。身内に取り込んでおいて損は無いと思うわよね。ただ、結局はまたおかしなことになったようだけれど」


「でも彼はヤマダ様がお好きなんでしょう。フェリシティ様は嫌じゃないのかしら」

 私ならごめんです。愛人の名前がヤマダ。負けた惨めさがハンパないです。


「フェリシティ様は元々彼に横恋慕してたって噂があるわ」

 ドロドロですか。田舎に良くある、よその人も皆知ってるというオープンかつ陰湿なドロドロとどっちが上か、興味あります。


 ところで、さっきから頭の中で『ヤマダヤマダ』唱えていたら、何だかアマンダみたいな感じでカッコイイような気がしてきました。ヤを強く発音するのがポイントです。慣れってスゴイです。気のせいかもしれません。

 ドロドロを聞く事にしましょう。


「いえ、そんな変な話ではないわよ。妙な期待はしないでちょうだい」

 ちょっと焦っちゃうところが可愛いと思います。


「政略ではあったけれど、二人の仲も悪くはなかったのよ。フェリシティ様もまだ成人してないし、精々陰口を叩くか、嫌味やちょっとした嫌がらせをするくらいしか……ええと、その、そう、スカートを捲ったり、背中の埃を払うふりをしてスカートを捲ったり、ハンカチを拾ったふりをしながらスカートを捲ったり」


 私があからさまにガッカリした顔をしたせいか、話を盛りだしました。結果スカートを捲っただけという小学生も真っ青の残念さ。本当に優しい人なんです。

 彼女が冷静になって私に怒りを向けてくると面倒です。話を変えなくては。


 もう一人の人物の話を聞きましょう。

 サクッとリチャード様を回収して行きましたし、羊の回収にも向いているかもしれません。子爵の仕事ではありませんが。


「ああ、彼はスタンフィールド伯爵の三男よ」

 おお、婿候補よ。


「ヤマダ様の騒動の時に、彼も居たわね」

 さらば、婿候補よ。


「貴女のところと領地が隣り合っているじゃない。会ったことないの?」

 そうなんですよね。発展している領ですし素晴らしい好物件なんです、ヤマダ様の件が無ければ。でもそれで見覚えがあるのかもしれませんね。


「お名前は何ておっしゃるの?」

「ダグラス・フォード様よ」

 やはりお会いしたことは無いようです。


 婚活をまた頑張るしかありませんね。今回巻き込まれはしたものの、人違いであることがハッキリしています。暫く噂にはなるかもしれませんが、私に大きな影響はないでしょう。


 そんな私の考えが甘いものだったと知るのは、すぐのことでした。


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