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超短編

嫌いな人

作者: ミーケん

【Twitter企画26作目】

『題名 嫌いな人 〇〇〇〇

 僕には嫌いな人がいました。その人は何かしたわけではありません。僕が一方的に嫌いなのです。

 その人はいつも僕にすり寄って来てはなにかどうでもいいことを言い残してどこかへ行きます。

 それは「大丈夫?」だったり、「どうしたの?」だったりします。

 そんな時に僕はいつも「なんでもない」と答えます。

 するとその人は表情を曇らせてどこかへ行くのです。

「もう、お前はいらない」

 そんな声が聞こえます。

 そんな人がたくさんいました。僕はその人が嫌いです。』


「大丈夫?」

 また、誰かに言われた。僕が嫌いな人が増えちゃう。

 僕は前に向けていた顔をそちらの方へと向ける。

 そこにいたのは校則通りに制服を着て、髪も染めておらず、極めて優等生に近い存在。このクラスの委員長だった。

 たしか成績もトップ10に入るようなものだった気がする。

 僕はすこし、この人は気に入っていた。

 僕と話す際はいつも目を合わせず、口だけで必要最低限な連絡事項だけを伝えるだけだし、日常生活で僕と積極的に会話しようとは思っていなくて、とても僕の理想の人物だったのだ。

 それなのに、なぜそれを僕に向けて口にしてしまうんだ。

 残念。

 僕はこれまでの人とは違う落胆のようなものを感じていた。

「なんでもない」

 僕はいつも通りに言った。

 委員長は僕を見ながらやはり表情を曇らせた。

「わかった」

 そう言って委員長は離れていった。


 ひとりぼっちで僕はお昼を食べる。あのうるさい場所なんかじゃなくて、静かで誰もいない図書室だ。

 本に囲まれて、僕以外の唯一の人である交代制のカウンターの人が本を静かに読んで時間を潰している。

 誰もいない。嫌いな人が誰もいない。

 これほどに素晴らしいことはないだろう。

 窓から外を見ると太陽が丁度真上から照らし、光のカーテンが外に広がる木々をすべて覆っている。

「きれいだなぁ」

 僕は静かに誰にも聞こえないような声で呟いた。

 その光が僕を照らすことはないけれど、それでも、眺めるだけで満足できる。

 僕が照らされたらこのきれいな風景を見ることが出来ないじゃないか。

 いつのまにか僕のお昼の時間は過ぎていたようで、中途半端な音量でベルが鳴った。

 僕は早々に図書室を出た。


 教室は未だ喧騒に包まれ、嫌いな人同士でそれぞれ話をしていた。

「はぁ」

 誰も僕を見向きしない。それは僕が望んでなったこと。

 もう、この教室に僕なんていない。

 僕にとってこの教室には誰もいない。


『嫌いですが、それでも、好きな人がいました。

 嫌いだけど好きな人です。それはどこか異常でもありどこか懐かしいようなそんな人でした。

 僕に向けて永遠と笑顔を向けてくれて、僕は好きになりました。その笑顔が大好きでした。

 でも、その人も僕に「大丈夫?」と声をかけてきました。

 僕は心配してほしくなくて、言いました。

「なんでもない」

 その人は僕の言葉を聞くなり、無表情になって離れてしまいました。

 大丈夫じゃないことを伝えたくなんてなかったのです。

 なのに、その人は僕のそれについて察してしまったのです。

 僕に笑顔を向けてくれることはもうないかもしれません。

 その人のことを僕は嫌ってしまったかもしれません。

 でも、信じてください。

 僕は本当のことしか言ってません。

                     終わり』

ども。

「最近どうですか?」

と聞かれると

「どうにもなりません」

と答える空気の読めないミーケんです。

今回の短編はすこし構成を変えてみました。笑

いつもとは違う感じだったはずです!

では!また次の機会にどーぞ!

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