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神様気分  作者: みつる
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つらつら話す

「塞ぎ込み部屋にこもりがちになった私をみかねて、父が私を旅に出すことにしました。可愛い子には旅をさせろといいますが、可愛い子とは私の事です。」

調子でてきたな。僕は寝たふりを続けながらそう感じた。彼女は僕が寝たふりをしたことに構わず話を続ける。


「その頃には、私の制裁の影響で8割ぐらいの方々が、私をさんづけするようになっていましたね。そのことに対しても危機を感じていたのでしょう。すぐに行先は決まり、修行という名目でこの廃れた神社に派遣されました。そして、私はこの神社の神様となったのです」

ようは厄介払いじゃないか??左遷という言葉が僕の脳裏によぎる


「あれ?寝ちゃったんですか?」

僕からの反応がなくなったのを感じ取り、彼女は僕に問うてきた。蹴られたお腹がズキズキして、まったく眠れそうになかったのだが、僕は彼女からの問いには答えず、目を瞑ったままにする。


「もぅ、しょうがないな・・・」

優しげな声がした瞬間、お腹を殴られた。

「ぐふぅ」

自分から出たとは思えない声がでて、僕はお腹を押さえながら一人呻いた。殴られた箇所はさっき蹴られた箇所と寸分違わず、やりなれている感じがすごい。 


「なにを!するんですか?!」

「あらあら(笑)布団をかけなおそうとしたら、手が滑ってしまって・・・ごめんなさいね・・・」

「布団はまったく、ずれていませんでしたよ・・・?」

「まぁ!起きてたんですか?!それならそうと言ってくだされば殴らずに済みましたのに」

最早悪意を隠そうともしない。


僕はあきらめて、彼女と話すことにした。

「それで、実家から厄介払いされ、この寂れた神社に左遷された後、どうしたんです?」

せめてもの抵抗で、嫌味を言ってやる。布団の中で両腕をお腹に巻き付け、殴られた時の対策も怠らない。

頬を思いっきりはたかれた。腹が開いてなければ、顔らしい。普通逆だろうに。

「厄介払いではなく修行ですね。言い間違えは制裁です」

彼女は言ってる内容とは裏腹に天使のような笑顔で僕に、忠告する。

こいつは絶対神様なんかじゃない・・僕は唖然としながら彼女を見つめた。


「その後は・・別になにもありませんでしたよ。この神社はとっくに寂れていて、誰かからも忘れられていて、私は一人で寂しくしていただけでしたよ。」

「実家には戻らないんですか?」

「いえ、戻れないんです・・お父様からお賽銭一千万円ためるまで帰ってくるなって言われてしまっていて・・帰るに帰れないんです・・」

「それは結構な金額ですねー・・もう勘当みたいなもんなんじゃないんですか?」

さっきは右頬だったが、今度は左頬をはたかれた。すべては平等に・・なるほど。そういうことか・・。

「あの方達は、すぐにそれぐらい集めてしまいますからね・・・感覚が狂ってるんですよ。さもいう私だって家を出るときは、まぁ3年くらいかかっちゃうかな・・?それぐらいなら独り暮らしも悪くないかな?って軽い感じでここにきちゃいましたからね正直舐めてました・・」

このままだと3年処か3千年かかっちゃいますよ。彼女は寂しげにそう笑った。






 



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