後日談
・・・・・・・・・・・・・・・・ゴミ・・・・・・・・・・・・ゴミ・・・・・・・・・・・・・・・・・ゴミクズ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・起きろ・・・・・・ゴミクズ!!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
遠くで声がする。だけど気持ちよくて僕はその声を無視し続ける。
「いや、だから起きろって?」
顔をおもいっきり踵で踏まれた。たまらず僕は目を覚ます。
「おはよう永遠ちゃん」
「死ね」
あれから2年の月日が立った。家は新築され、僕は相変わらずこの神社に住んでいた。
なぜ永遠ちゃんが僕と一緒に住んでいるかというと、永遠ちゃんはこの神社のマスコットキャラクターに任命されたからだ。もちろん彼女から・・・。永遠ちゃんは話を持ち掛けられた当初、泣きながら嫌だ嫌だと断っていたのだが。
「私、永遠ちゃんのために毎日お味噌汁を作りたいな~」
「え?///」
「しかも、日替わり味噌」
「え?///え?////」
「今日は何味噌がいいかな~?九州麦味噌?御膳味噌?讃岐白味噌なんかもいいな~。ねぇ?永遠ちゃんはどれがいいと思います?」
「ど///どれでもいい/////」
というやり取りがあったとか無かったとか。目の前を歩くこの可愛い貧乏神はいつか知らないおじさんに連れ去られるんじゃないかと危惧している。
神主はあれから普通に警察に捕まった。そりゃそうだ一生刑務所にぶち込まれてろ。だけど、ものの十日で出所したらしい。人をあれだけ刺しておいて罪が軽すぎるだろと思っていたのだが、どうやら彼女のお父様の仕業らしかった。なんでも彼女から事の顛末を聞いたお父様がブチ切れたらしく、あの手この手で出所させたらしい。そして神主はすぐに彼女の実家で働く事が決定した。神主は驚き、そして喜んでいたのだが、地獄らしい。逃げるどころか死ぬことすら許されない環境でお父様から立派な神職者になるべく、教育という名の拷問を施されるらしかった。彼女曰く神主は一月で立派な神職者、一年で偉大な神職者になれるそうだ。
「色々ありましたけど・・あの神主のことは忘れましょう」
彼女は震える声で語っていた。あの彼女がこれだけ怯えるなんて、どれだけの地獄が待ち受けているのだろうか・・・僕も神主のことは忘れることにした。
僕はあれからなんとか奇跡の生還を果たした。医者からも家族からも仕事からも見放された僕の奇跡の生還は新聞で報じられ不死身の男として地元で有名人となった。そして、これも事の顛末を聞いたお父様が彼女を身を挺して守ったことにいたく感動したらしく、僕をこの神社の神主にしてくれた。仕事を無くした僕としては渡りに船で、ありがたくこの提案を受けることにした。僕が神主をしてから不死身の男が神主をしている神社としてポツポツ人が来るようになった。だけど一千万は貯まる気配がまったくない。永遠ちゃんのせいなのかおかげなのか僕には分からない。彼女がどう考えてるのか僕はあえて聞かないでいる。
新築された長い廊下を永遠ちゃんと歩く。日差しが差し込んでいてとても気持ちいい朝だった。永遠ちゃんは一度も僕に振り向くことなく長い廊下を歩き、一つの部屋の前で立ち止まる。すると勝手に障子が開いた。そしてそのまま永遠ちゃんは中へと入っていく。僕も永遠ちゃんに続く。部屋はせまいながらもよく整っていて、温かくやわらかい空気が流れていた。炬燵が真ん中に鎮座し、その横に古びた箪笥が一つある。炬燵の上には朝食が用意されていて、美味しそうな湯気を立てている。もちろん味噌汁は欠かせない。
彼女は炬燵に座っていて僕等が来るのを待っていたようだ。
「おはようございます。今日はなにしましょうか?」
彼女は僕等に微笑んだ。




