神友
「来ませんねぇ誰も・・・」
彼女は頬杖をつき欠伸をしながらボソリと呟いた。まぁなにもしてないからね。
あれから5日。原因はあらかた潰したとはいえ、人を呼び込むアイディアなど僕等にはなく途方に暮れていた。
「うーん、今日は何しましょうかね・・ハッキリ暇です」
「僕がいない時は何してたんですか?」
「暇してました」
今日は雲一つない晴天である。だからといって1月だ。温かいはずもなく僕と彼女はセーターやジャンパーに身を包み温かい恰好をして物陰に置いた椅子に座っていた。獲物が来るのをたんたんと待つ。
「埒があきませんね。これじゃぁお腹がすいて死んじゃいます」
「た、食べる気なんですか?」
「馬鹿ですかあなたは・・・暇してるとお腹がすくんですよ私は」
「そっちの方がバカっぽいですよ」
「こまこま困りましたよー」
「うーん、どうしたらいいんですかね・・・」
僕が悩んでいると彼女が突然きりだした
「そういえば、あなたがここに来たお祝いしてませんね」
「お祝い・・?いいですよ、そんなの」
「いや暇ですし・・」
「・・・そうですか」
単に暇潰しらしい。ともあれ、ありがたいことに歓迎会を開いてもらう事になった。
場面は跳んで夜である。僕と彼女はお酒を飲んでいた。彼女は僕のためにまた御馳走をつくってくれて
仕送りの品でもあるお神酒をあけてくれた。なんか罰が当たりそうだ。だけど料理もお酒もとても美味しく、ついつい飲みすぎてしまう。
~30分経過~
「なんだかとっても楽しいですね」
「そうですねー一人の時はお酒なんて飲まなかったので私も久しぶりです」
「いやーそれにしてもあなたの料理はとっても美味しい。」
「そんなそんな。あなたのために腕によりをかけて作ったんですよ?」
~二時間経過~
「それにしたってホントに誰も来ないんですね・・・」
「あなたが悪いんですよ?あなたが!私は真面目に神様してるのに・・・」
「僕がここに来てからまだそんな立ってないんですけど・・・」
「ぜ、全部あなたが悪いんです!!お父さんお母さん会いたいよぉ・・・」
~四時間経過~
「あはは、思ったよりあなた、お酒強いんですね!!」
「僕もこんなに飲んだのは久しぶりです、いやぁあなたの料理が美味しいから!」
「なんだかそればっかりですねー・・でも、悪い気はしないんですよ!!」
「それはよかった!いやぁなんだか人を呼び込むいい案が浮かびそうだなぁ」
「んんー神ドルしてみましょうよー」
「まだいってんですかあなたは・・・でもいい案かもしれませんね!!」
「でしょでしょ!いや、私可愛いからいけると思うんだよなー・・まぁ普通の人には見えないのは・・いつか考えましょう!!」
「それ致命傷だと思うんですけどねーアハハ。まぁでも前向きに行きましょう!アイドルかぁ・・でも昨今ソロって厳しくないですか??やっぱり今、アイドルって言ったらグループじゃないですか?」
「グループですかぁ・・うーん」
「あ、あなたって友達いなさそうですもんねアハハ。まぁソロでいいんじゃないですか?」
「失礼な!い、いますよ!でも・・あの子は・・まぁいいか!!明後日呼びますよ!」
「へーいるんですねー楽しみですよー(棒読み)」
「何ですかその言い方!!なんたって神友ですよ!神友!!神の友って書いて神友なんですから!!」
「なんなんですかそれは(笑)」
夜はそうして更けていった。なかなかに楽しくって僕はここにきてよかったと笑いながら感じた。彼女との会話を深くは考えずに。
~翌日~
あ、久しぶりです。久々に遊びませんか?ちょっといい話もあるんですよ~。どうせろくな話じゃない?そんなことないですよー。え?それに迷惑かけるかもしれないから嫌だ?あなたと私の仲じゃないですかー気にしませんよ?・・・はい!じゃぁ明日でいいですか?わかりました!何か食べたいものとかあります?あーあれですね。わかりました、用意しておきますよー・・。
「明日来るので準備しておいてくださいね」
え?誰が?準備・・?




