現実は厳しい
「神様ってそんな事までわかるんですか?」
「私だけ特別なんです」
はいはい
「で、その募金をどうしたんですか?」
「貢いでもらいました」
はい?
「貢いでもらったってそれ盗ったようなものじゃないですか!募金って神頼みのための行いじゃないんd」
彼女は頭上で拳を握り、なにをするのかな?っと思った瞬間。僕の頭に振り下ろした。
僕は彼女を非難しようとしている最中だったため、運悪く舌を噛み、痛みのあまり布団でのたうち回ることになる。
「失敬な!制裁しますよ?!」
え・・?じゃぁ今のはなに・・・?布団でのたうちまわりながら聞こえた声に、心の中で呟いた。
彼女の怒りはまだ収まらないらしい。盗みだとかの下劣な行為に身を費やしたと思われるのが、よほど気に食わないと見える。じゃぁ暴力はいいのかよと思ってしまうが、いいのだろう。それは十分に体験として体に刻まれてる。神様ってこんなんだったかな?と思い色々歴史を思い出してみると、わりとこんなんだった。
「言い方が悪いんですよ。言い方が!貢いでもらったって、それどういうことなんですか?」
「えっとですね・・」彼女はすぅっと息を吸い込み真剣な表情になりこう言った。
「私は神様の使いです。今お子さんを治しました。嘘だと思うなら電話で医者に言って確認してもらいなさい。確認がとれたなら、私の神社に来てお参りをしなさい。その時は必ず今まで集めたお金を賽銭すること。そうじゃないとあなたに災いが起きますよ。いいですね?こう言ったんですよ」
言い終えた彼女は、ニコー☆っとすっごくいい笑顔になった。その様子はまるで褒めて褒めてとねだる犬のようであり、脅迫めいてないか?と思う僕をたじろがせた。
「というかホントに治したんですか?」
「それはもうバッチリ!見込みがなければないほど私の出番ですから!」
「そんな事が出来るなら、その奇跡目当てで、今頃人がごった返してるでしょ・・・。それから人が来たりしなかったんですか?」
「来ましたよ・・・警察の方が数人・・」
あ・・僕は初めてこいつを可哀想だと思った。
なんでもその時の賽銭額が、299万8千円ほどで今日の僕が入れた千円と合わせて、だいたい三百万円らしかった。え・・・?全然参拝にきてなくない・・・?。




