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恋する少年

作者: 霜月あやと

四六時中、一人の人間の事を考えてしまう事を『恋』と言うのでしょうか?


僕は友達に自分の気持ちを打ち上げました。


「一日中、あの人の事ばかり考えてしまうんだ」


友達は驚きました。そして、僕に真顔で言いました。


「それは『恋』だよ。その人の事を考えると胸が苦しくなったりするんだろ?」


僕は小さく頷きました。


あの人の事を考えると胸が苦しくて、僕は毎日辛い思いをしています。


友達は僕の告白が嬉しかったのか、僕の『恋』を応援すると言いました。


あぁ、そうか、これが『恋』なのですね。


一人の人間の事を考え、狂ってしまいそうになる思いを。


友達は僕に言いました。


「『恋』は先手必勝」


だから、僕は人気のない所にあの人―――貴女を呼びました。


貴女は時間通りに来てくれました。


空は真っ赤な夕暮れ時です。


僕は木の陰から、そっと貴女を見ました。


貴女は僕が来ないのを苛立っているようです。


時計と睨めっこしています。


ごめんなさい、恋しい貴女。


僕は恥ずかしがり屋だから、貴女の前には行けません。


僕はそーっと後ろから貴女に近づき、貴女の頭を思いっきり石で殴りました。


突然の事で悲鳴を上げることが出来なかった貴女。


僕は何度も何度も、貴女を石で殴りました。


気がつくと、貴女の美しい顔は血で汚れ醜く変形しています。


僕の手も赤く染まっています。貴女はもう、息をしていませんでした。


僕は荒い呼吸を整えました。


なんて清々しい気持ちなんでしょう。


例えるなら、僕の心は雲ひとつ無い澄み切った青空です。


僕はもう、貴女の事を考えません。


僕はずっと貴女を殺したくて、毎日、辛い思いをしていたのですから。


僕の『恋』はもう終わりました。


明日、友達に伝えようと思います。


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