第五話 朝
「リン、起きて。」
まだ、窓の外は薄暗かった。しかも朝は、夜以上に寒かった。
ルイは寒そうに凍えながら、僕をゆすった。
「うん……。」
僕は、昨日の出来事が夢じゃなかったんだと実感した。
「さぁ、これに着替えて。」
ルイは、僕にゲームの世界のような青い戦闘服を差し出した。
僕は渡されたその服をまじまじと見た。その服は、本当にアニメや、ゲームの世界に登場するような少し飾りっ気のある服だった。
じっくり広げてみた後、僕は部屋の隅へ行き、着替えた。
「とても似合うじゃない。」
僕は、自分の頬が少し赤くなったのを感じた。
そして、ダンが大きな鏡を部屋の物置から取り出してきた。
「どうじゃ、着心地は」
僕は、少し照れながら、
「とても丈夫な生地で暖かいです。」
鏡の前で、僕はくるリと回ってみせた。
そのとき、僕はふと思った。
あぁ、なぜ僕はこんなことをしているんだろう。なぜ、こんなところにいるんだろう。
僕の頭の中にそういう疑問ばかり浮かんだ。
「どうしたの?浮かない顔してるよ。」
僕は、ルイにそう言われてはっとした。
「……いや、なんでもない。」
「そう。」
ルイはそう返事をしたが、僕をちらりちらりと見てきた。心配してくれてるのだと感じた。
そうして、準備をすすめていった。
「支度はできたかい?」
ダンがキッチンから朝食を運びながら、尋ねてきた。
「さぁ、早く出発しないと日が昇ってしまうぞ。」
窓を覗いた。朝日は向こうのほうにあったが、霧に遮断されていた。その霧は、うっすらと空気に膜ができたみたいだった。何か、入っていくと二度と戻れなくなるような雰囲気をかもし出していた。
「何ボーっとしてんの?早く食べて出発するわよ。」
ダンが作ってくれたほかほかの目玉焼きトーストとミルクティーは僕のおなかをやさしく満たしてくれた。
「早く!!」
ルイは僕がミルクティーを飲み干す前に食べ終わり、既にドアのところで待っていた。僕は、ルイにせかされ飲んだミルクティーにむせながら急いで荷物を持ち、走った。
「ではな、君が立派になって戻ってくるのを楽しみにしているよ。」
そして、ダンは僕にハグをし、見送った。
「じゃぁ、またいつか会う日まで!」
そういい残し、僕らはドアを開けた。
ルイは、ダンに何もいわず出た。
外は予想以上に寒かった。しかし、今日もらった服が僕の体温を逃がさなかった。
「これから、どこに行くの?」
ダンの家から数分歩くと雑木林が現れた。ルイはその中の道なき道をどんどん足を速めた。
「空。」
ルイはポツリと言った。
「空?」
ルイはコクリとうなずき、立ち止まった。
「空の国。エルチェ・レ・シエロ共和国」
聞いたことのない国だった。
「飛ぶよ。」
ルイがそういった途端、大きな黒い影が空の向こうから近づいてきた。
* *
君は、旅たった。
“自分”を探すために。




