第二話 道
「風って気持ちいいでしょ。」
空を飛んでる烏は小さく見えていたけど、僕たちの周りを飛んでいる烏はとても大きく迫力がある。そして、僕たちが乗ってる烏は大きいどころじゃない。人が二人のっているんだよ。想像できるかい、僕とルイはそれに乗って飛んでいる。烏の群れとともに。
「うん。上空の空気はこんなに凛と澄んでるんだ。」
本当に澄んでいた。地上は排気ガスや人で息苦しいほどの空気で、風も生ぬるかった。
「飛ばすよ!」
ルイは烏にぎゅっとつか身を低くした。
僕も風に身を飛ばされないように必死にルイの腰をつかんだ。
「ねぇ、どこに向かってるんだい?」
ルイは微笑みながら。
「着けば、わかるよ。」
だから、それじぁ答えになってないよ…。
びゅーんと耳の横を通り過ぎる風がきりりと冷たい。あぁ、なぜ僕はこんなところにいるんだ。とても不思議なことだけど、夢だとは思えない。
「もうすぐだよ。」
僕はなぜだかどきどきした。期待?いや、不安だろう。もう、何が起こるかわからない。
そんなことを考えていると急に、烏たちが下降し始めた。キレイにみんなそろって降りていく。そして、僕たちが乗っている大きな烏も後を追いかける。
これまたびゅーんと。さっきよりももっと風を強く受ける。きーんとカキ氷を食べたときみたいに、冷たい空気が僕のまわりを駆け巡る。
「しっかりつかまって。」
僕は言われたとおり、ルイの腰にしっかりとつかまった。
つかまったとたん、陸に着地。ふわっと体が浮いた気がした。
「どうだった?初のフライトは。」
ルイは大きな烏をなでながら、僕に問いかけた。
「冷たかったよ。」
ルイはくすっと笑った。
そして、僕はあたりを見回した。近くに小さな小屋がぽつんとひとつ、あるだけだった。
「ここは?」
やっぱり、着いてもわからなかった。
「君のこれからお世話になるおじさんのおうちだよ。さぁ、寒いなら入ろう。」
いやいや、誰だよ。お世話になるおじさんって。やっぱり謎だらけだ。
僕は、とりあえずルイについていった。
――コンコン
「やぁ、よくきたね。さぁ入りなさい。」
* *
君はまたもや、新しい道へ進んでいった。
それは、神様が導いてくれた道でもなく、ルイがひいてくれた道でもない。まぎれもなく、君自身が切り開いた道なのだ。




