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女子高の文化祭で始まる恋  作者: 柊聖月


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4/15

彼女の部屋へ

ある日、佐藤さんの自宅に招待される事になった。親としては夜な夜な電話してくる男の監査と言う所だろう。


「大和君……、お父さんが大和君を夕食に招待するから、連れて来なさいって」


「えっ? お、お父さんが?」


「うん……どうする?」


「こ、断れないよね…?」


「……断るの?」


「い、いや、何回もガチャ切りされてるから……嫌われてるんじゃないの?」


「だったら招待しないと思うけど……。せっかくだから夕食前にゆっくり話そうよ」


「ど、どこで……?」


「私の部屋……」


「……大丈夫なの?」


「お父さんが招待したんだから、大丈夫だと思うよ」


「うん……。分かった。いつ?」


「今度の日曜日」


安奈は大和との電話を切ったあと、心の中でひとり嬉しさに満たされていた。大和君が家に来る……。しかもお父さんに挨拶だなんて。まだちゃんとした彼って訳じゃないのに……。でも、男の子が私の部屋に来るなんて初めてだし……大和君だし緊張するな。大丈夫かな……変な匂いとかしないかな?


大和は、約束の日曜日の午後、安奈の家の前にいた。彼の家とは違う立派な家造りを前に、かなり緊張していたが、インターフォンを鳴らしたあと、ドアの向こうからご両親にご挨拶をした。


「大和と言います、お邪魔させて頂きます」


田舎者の高校生だった大和は、精一杯の挨拶をした。安奈のお父さんが遠くから、夜な夜な電話してくる相手が、どんな奴かと吟味しているのが伝わってくる。その視線の先にいる大和は、玄関で緊張感に包まれ硬直していた。


「よく来たね。食事を用意してあるから、ゆっくりして行きなさい」


父親の優しい声とは裏腹に、大和は背筋が凍る思いだった。だが、すぐに佐藤さんに連れられて、二階にある彼女の部屋に移動することができた。


大和は年頃の女の子の部屋は初めてであり、それも佐藤さんの部屋だったから、お父さんへの挨拶以上に緊張し、心臓がバックンバックンと、激しく音を立てていた。


「どうぞ……」


「う、うん。お邪魔します……」


うわ〜、良い匂い……。窓のカーテン、レースじゃん……。ベッドにぬいぐるみ……女の子の部屋はヤッパ違うな〜。大和は佐藤さんの部屋に入るなり、キョロキョロと部屋を観察してしまった。


「大和君、あんまり見ないでよ」


「あっ、ごめん……女の子の部屋なんて初めてだし、俺の部屋と全然違うから……」


安奈は大和の視線と、大和の普段見慣れない姿に緊張していた。何か大和君に、全部見られてるみたいで恥ずかしいな……。でも、大和君の学生服じゃない格好って初めて見たかも……。お父さんにもしっかり挨拶してたし、格好良かったな。


「佐藤さん、どうかした?」


「あ、ううん。大和君、お父さんどうだった?」


「ん〜、迫力あった……ね」


「あはは、いつもは優しいんだよ」


「え〜、俺には無茶苦茶厳しいけどな〜」


「娘を持つ父親だからね」


「??」


「大和君……分からない?」


「何が?」


「毎晩、電話してるじゃない?」


「やっぱ毎晩に電話しすぎた? マナーがなってないって怒ってる?」


安奈は、大和のあまりにも鈍い反応に呆れるしかなかった。


途中、お母さんから、ケーキと紅茶が差し入れされた。


コンコン。佐藤さんの部屋をノックする音がした。


「安奈、ケーキ持ってきたけど、開けるわよ」


「あ、お母さんありがとう」


「大和君、ゆっくりしていってね」


と、お母さん。いつも電話を繋いでくれるので、お礼を伝えなきゃ。


「あ、あの、佐藤さんのお母さん。いつもありがとうございます」


「あらあら、大和君、礼儀正しいのね。気にしなくても構わないわよ。それじゃあ、ゆっくりしていってね」


「お母さん! 大和君、食べよう? 嫌いじゃないよね?」


「あ、うん……。うわっ、これ凄く美味しいね」


ケーキは詳しくないけど、食べた事ない味で高そうだな、と思った。佐藤さんの家は、玄関の家造りから思っていたが、かなりリッチなのだと判った。


しばらくすると、今夜はお茶が入ったと声がかかる。


「お母さん、もう良いからゆっくり話しさせてよ」


佐藤さんは、ちょっと困り顔でお母さんと話しているけど、親として招き入れはしたが、牽制はする、と言う所なんだろう。


ただ佐藤さんも、男子を招き入れると言う事でかなり緊張していたらしく、母親と会話する表情は、大和と二人の時とはかなり違って見えた。その後、二人の緊張感は緩み、笑いながらの会話が弾んでいった。


……そして夕食の時間。


「安奈〜夕食できたわよ〜」


「は〜い」(……いよいよか、喉カラカラだけど……)


「大和君、お待たせ。夕食、ここで一緒に食べよ……」


「えっ? お父さんと一緒じゃないの?」


「違うよ〜、家に招待しただけだよ。大和君が、どんな男の子か見たかったんだと思うよ」


(は、はは……今までの緊張は何だったんだ。でも良かった……)


この日、二人は初めて長い時間を一緒に過ごした。彼女の部屋に緊張と彼女への思いを残して……。

本作品はフィクションです。登場人物・団体名等はすべて架空のものです。著作権は著者に帰属します。無断転載・複製を禁じます。

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