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魔法少女警察24時  作者: 村上玄太郎
第一章 おまわりさんは魔法少女

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桜対戦

 ひょっとして、パトカーなのか。

 刑事たちは、この奇妙なカボチャのパトカーに、見覚えがあった。いつも県警本部の駐車場にとめられていたからだった。忘年会の余興《よきょう》用かと考えて無視していた。


 カボチャのパトカーが止まると、中から二人の少女が現れた。

 友 好子と桜 サニーであった。

「魔法機動隊の第08魔法少女小隊、ただいま到着しました!」とサニーが刑事たちに敬礼をした。それを見ていた好子も、遅れて敬礼する。


 だが、様子がおかしい。

 二人は言い争いをしていた。

 儀式を教えろ、いや、それはまだ早い、といった会話が聞こえてきた。


 魔法機動隊は8つの小隊から編成されている。その中でも、一番新しいのが第08(ゼロハチ)である。その隊は、最近になってできたと、刑事たちは知っていた。


 つまり、ド新人の集まりである。


 刑事たちは、顔が真《ま》っ青《さお》になった。

「逃げろ!退避《たいひ》だ!魔法少女が戦うぞ!」と警部らしき女が、仲間の刑事へ命令した。我先《われさき》にと、みんなが逃げた。

 命がいくらあっても足りないからだった。

 経験が豊富な魔法少女であれば、正面から戦うことはしない。敵の不意をついて、こっそりと片付けるだろう。


 しかし、この二人の魔法少女は違う。

 派手《はで》なカボチャのパトカーを、道のど真ん中に置いて、犯人の前で、自分たちが警官だと名乗りを上げたのだ。これでは、犯人の魔法少女を刺激させるだけで、殺し合いをしましょうと挑発《ちょうはつ》しているようなものだった。


 そんな刑事たちの姿を見て、ついに、一般市民もマスコミも、悲鳴を上げながら、逃げ出した。

 大通りには、人が誰もいなくなった。

 猫やカラスといった動物ですら、危険を察知《さっち》して、いなくなった。


 取り残されたサニーと好子は、言い争いをやめて、犯人の魔法少女を見た。

 そばかすが鼻のあたりに付いている。来ているセーラー服は、この付近の学校のものではなかった。

「まだ、中学か高校の人じゃないですか」と好子が驚いた。

「あたしたちも、まだ、小学生でしょ」

 サニーの言葉に、好子はうなずいた。


「ちょっと、そこの二人!」と中学生の魔法少女は呼びかけた。「あなたたち、警察の魔法少女ね。だったら、分かるはずよね?……私たち魔法少女には、お金が必要なの!八千万円は持ってきてくれた?」

 好子は舌を出した。「私たちも、お金がないんです」


 この一言に、犯人は怒ったようだった。

「ふざけるな!早く持ってこい!でないと――」


 がくんと、空中の電車が落ちそうになった。ぎゃあと乗客の叫び声が上がった。

 すると、突然、落ちてくる動きが止まった。電車の窓が、なおもガタガタと音を立てて揺れている。子供の泣き声が、中から聞こえてきた。


「危ない!」

 そう言って駆け寄ろうとする好子を、サニーが手で制した。その力強い手には、固い決意がうかがえた。

「いいこと。ジーパン。これから儀式を行《おこな》うの」

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