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ダンジョンの救助部隊  作者: 結城一
第四章 絶望の果てには

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29/30

29 最後まで一緒だ

ヒュン ヒュンヒュンッ


 離れた場所からでもトラップが発動して矢が飛ぶ音が聞こえる。

 舞い上がった埃が地面に落ちる前に私は前を行く奴と同じ道を通る。

 ゴロノフの擬態と別れてからかなり急いできた。もう足が使えなくなる前提で一人目のゴロノフとユートを追跡している。ユートは起きたらしく、所々争った跡がある。時折彼が引きずられているようだ。

 ユートはユートで私を探したいのだろう。

 トラップの発動率が高い。擬態はトラップを避けるはずだからユートがわざと発動させているのだろう。状況が分からなくとも彼の勘は生きているらしい。

 そして暗い通路の奥で彼等が、見えた。

 やっと、追い付いた。

「ユゥゥゥトォォオオ!」

 肺活量を最大限に活用して叫ぶ。

 ユートは弾かれたように私を見て泣きそうな表情をする。ゴロノフは無理に彼を引っ張っていくのを諦め、剣を引く。私は彼等に向かって走り出す。

 近くなると手に持っていた小石をゴロノフに向かって投げる。彼が目を庇うと隣のユートが彼を蹴る。

「ユートを返せ!」

 ゴロノフの体が変形し始める。

 上半身から蔦が伸び、頬が裂けて下顎が落ち、長い舌が垂れ下がる。

 隣のユートは恐怖と驚愕で壁に背中を張り付けて逃げようとする。

 その背中の蔦が音を立ててムチみたいにしなる。私は当たってくる蔦をナイフで迎え撃ち、切り裂く。

 

ドシュッ


 モンスターの首を狙ったが肩を前に突き出し、避けられる。ナイフは彼の肩に食い込み、強烈な腐臭のする脂肪混じりの体液が飛び散る。

 モンスターは腕を振り上げ、私の脇腹に衝突が走る。背中が壁に叩き付けられて空気が肺から搾り出される。

「ぐっ! ぁあ!」

 口内に血の味が広がる。体を引き裂く痛みに耐えながら奴の肩に刺さったままのナイフを引き抜き、脇腹に刺して横に引き裂く。

 モンスターはゴロノフの声で悲鳴を上げながらも、倒れない。肥大した体をねじり、首を狙って口を大きく開く。裂けた頬から下の筋肉と舌の付け根が見える。

「化け物が! さっさと死ね!」

 体をよじると奴の口が私の肩に食い込む。鮮血が宙に散る。

 ユートは倒れている地面から擬態の足を蹴る。擬態は姿勢を崩し、私はナイフを奴の眼窩に深く突き刺す。


プシュッ グプッ


 ナイフを引き抜き、もう一度深く突き刺す。

 柄まで沈み込み、奴は痙攣をして地面へと崩れる。開いた眼窩から腐った肉片や蔦の破片、凝血した血の塊が流れ出てくる。呼吸困難なほどの腐臭が激しい痛みを増幅させる。


ズリ…… ズリ ズリッ ズリッ


 濡れた音が背後から高速で這いながら私達に向かっている。これは……多分私といたゴロノフの方だ。もう一体が失敗したのを感じてこちらへと急ぎ始めたのだろう。

 ユートを見ると彼も私を見上げている。

 腕を伸ばして彼と拳を軽く合わせる。

「最後まで、一緒だよ」

「あぁ。一緒だ」

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