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ダンジョンの救助部隊  作者: 結城一
第三章 えぐるような連鎖

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27/30

27 胞子とモンスター

……カ…… タ……

 

 その場で動きを止める。

 暗闇に浮かぶ、白い顔。

 その隣にはまた、別の白い顔。

 そしでまた別の。

「ゴロノフ、急いで! こっちにも何かいる!」

 私は傷が少し深くなるのを感じながらも身をよじって急いで反対側へと出てナイフを構える。

 

スゥゥゥゥゥゥゥゥ……

 

 その複数の顔がゆっくりと、静かに、近付いて来る。あの目の代わりに眼窩がぽっかりと開いた真っ白な顔。

 その複数が、一斉に同じスピードで顎を上下にカタカタと鳴らしながら近付いて来る。

 近付いて来る。

 近い!

 私は一番近い能面に切りつける。更に別の一体が口を大きく開ける。ナイフの柄を勢いよくその口に叩き込む。そのまま対角線上の顔に刃を深く刺す。

 鋭い痛みが爪先から腿まで突き上げる。

 顔は簡単に崩れるのに、落ちない。

 宙に浮いたまま、笑う。

 そう。そのどれも笑っているのだ。

 寒気がするような表情で、笑う。

 その眼窩から腐臭を放つ汁が滴る。

「ゴロノフ!」

「せっかちな救助隊員だなぁ!」

 彼が穴から抜け出るとすぐさま私の援護に回る。剣を左右に振り回しながら次々と顔を粉砕していく。何度も徐々に細かくしていく。


――――あった!


 暗くって見えなかった顔の裏の輪郭が僅かに見える。細い管らしき線が何本も顔の裏から繋がっている。その元を辿っていくと天井へと繋がっている。

「こいつも蔦なの⁉︎ 蔦の外見にバリエーションがあり過ぎる!」

「蔦の事についてあまりにも分からない事だらけだからな!」

 

ザシュッ ザシュ

 

 私は腕を伸ばし、奥の細い線のような蔦を切る。顔は支えがなくなったかのように床へと崩れ落ちていく。切られた蔦は物凄いスピードで逃げていく。

「やったか?」

 ゴロノフは床に散らばった顔の一部分を拾い上げるとそれをじっくりと観察する。

「おい、これ、なんか乾いた蔦らしいな」

「え?」

 私も一欠片拾い上げて近くで見てみる。石っぽい崩れ方をした割には軽くって収縮性がある。これも蔦の一部分だとしたら蔦は本当に未知のモンスターだ。

「よくこんな隠れた蔦が見えたな」

「幽霊は信じていないのよ。からくりがあると思って」

 地面へと座り込む。

 先程ナイフを振り回した時に足に体重が乗ったせいで酷く腫れ始めてきている。私はブーツを脱ぎ、包帯を解く。鼓動するような痛みをする足の指を診る。完全に赤青に変色して大きく膨らんでいる。

 息を詰めながら先程よりきつく巻く。

 干し肉を出してゴロノフに渡す。

「ありがとう。暫く食べていなかったから助かる」

 大きくなったように感じる足を無理矢理ブーツに詰め込む。

「すぐに歩けそうか?」

「大丈夫。休まないでいい」

 立ち上がってすぐに歩き出す。

「そういえば誰が救助要請を出したと思う?」

「蔦だろうな。潜る奴らが多ければ多いほど、獲物も脱出機会も増えるしな」

「蔦が脱出したいとして。あの肉塊が外へ出ても本体の蔦は出られないんじゃないの?」

「いや、兵隊だと言っても肉塊の中身は蔦と同じだ。すぐに繁殖出来るだろう」

「……ずっと太陽の当たっていないダンジョンにいたのだったら太陽に焼ける可能性は?」

「先に胞子を飛ばせば生き残れるだろ」

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