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ダンジョンの救助部隊  作者: 結城一
第三章 えぐるような連鎖

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26/31

26 ラスボスの有無

ゴゴゴゴ ゴゴ ゴ……


 ダンジョンが揺れる。激しい揺れに私とゴロノフは横の壁に貼り付き、頭を落ちてくる小さな石から守る。

「何かあったな」

 走り出すゴロノフに付いて走り出す。もう足はそろそろ限界だ。熱と激痛で全身が悲鳴を上げる。

 呼吸が痛みで浅くなる。

 腐臭で喉が焼け付く。

 そしてずっと上の階層まで続く穴があった。

 ゴロノフはその瓦礫を覗き込んでは、上を見上げている。

「トラップが発動したらしい」

 私は瓦礫の落ちた通路を見る。

「……ゴロノフ。おかしい」

「このダンジョンでは色んな事が色んなレベルでおかしいぞ。何を見付けた?」

 私は無言でナイフを下の通路の石と石の間に突き刺す。グリグリと音をさせながら力の限り、掘り起こそうとする。

「手伝って」

 二人で四つん這いになって床の石畳の一つを掘り起こす。その重い石をゆっくりと持ち上げる。

 下は色んな生き物の骨と蔦がびっしりと詰まっている。

「……こりゃ……怖い景色だな」

「だけど、思った通りだわ。多分、この下には階層が、ない」

 彼は私の方へと視線を向ける。前髪の間から私はを見る視線は知的で静かだ。

「つまり擬態はこの階層を抜けてしまうと、外へ出ると言いたいのか?」

「そう。元々このダンジョンは八階だと思われていた。それが実際に私達は今現在、十一階にいる。八階から下のモンスター全てをこの蔦が食べ尽くしてきたとしたら、物凄く怖い程の食欲と力を付けている筈だ」

「おい。もっと怖い事聞いていいか?

「何?」

「このダンジョンってレベルに見合ったラスボスが()()と思うか?」

「……ええ。()()、と思う」

 二人の共通の答え。

 ラスボスは蔦によって捕食され、吸収された。つまり、この誰もまだ攻略出来ないほどの上級ダンジョンのラスボスよりも強いという事だ。

 ゴロノフは立ち上がって瓦礫を退かし始める。

「どれぐらい戦える?」

「今は全く。あんた怪我は?」

「戦闘や健康に影響を受けるようなのはない。ここは俺が抜け道を作る」

 彼が瓦礫を動かし始める。やがて私が通れるような隙間が出来る。


――――デジャヴね


 穴から向こうを除くと向こうは真っ暗だ。明かりもついていない。

「松明か灯りになる物を持っている?」

「すまん、全部上の階に置いてきた」

 私はゆっくりと向こうを観察する。何も見えない。だが音と匂いは普通だ。

 あの蔦や肉塊がいる時はいつも匂いが強烈だったのでそれを頼りにするしかない。

 私は上腕を使ってゆっくりと穴の間に体を引っ張り通して行く。向こうは静かだ。まだとても静かだ。狭い裂け目では鋭い石の角が飛び出している。それが私の腹に、背に、脇腹に食い込み長細い引っ掻き傷を作る。


――――ユート、生きていてよ


ピチョ…… ン


 石に遮られた奥の方で、微かな滴り音がする。

 歩いていたら気付かないような、小さな音。だが、確実に、例の蔦が、いる。

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