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ダンジョンの救助部隊  作者: 結城一
第三章 えぐるような連鎖

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25 ゴロノフの持っていた薬草

 私は警戒をしながらも彼と一緒に歩き出す。

「悪いけど、その要請は俺のパーティーじゃねぇ。皆死ぬ覚悟でダンジョンに潜ったんだ。要請を出すような奴はメンバーにはいないぞ」

「……蔦を調べに来たの?」

 彼はちらっと私を見るとまた前方へと視線を向ける。

「そうだ。擬態と話したのか。俺達は国の要請で最下層だと思われていた場所を調べる為に潜った」

「蔦はどんなモンスターなの?」

「さっきの肉塊。あれはあの蔦の兵隊だ」

「兵隊?」

「あぁ。蔦は遺体から血液や肉を吸い上げ、それで肉人形を作っている。この下階層にモンスターが全くいないのはそのせいだろう。全員喰われたんだ。知能は高いし、多分長く俺達を観察してから個々の振りをし始める。俺のメンバーも何人か偽物が出て……何人か殺された」

「どうやって見分ける?」

「……分からん。勘しかない」


――――勘、ね。私は多分このゴロノフと初めて会う。もう一人よりももう少し悲壮感が少ない。全員死んで落ち込んでいるゴロノフか、そこまで堪えていないゴロノフか。ユートの件もある。……ゴロノフは冒険者としての経験は長い。彼は仲間の死には多少慣れている筈だ


「擬態は何故ユートを連れ去ったか分かる?」

「それは何とも。だが擬態と対峙して一つ分かった事と言えば、奴は出たがっている」

「出たがる……ってダンジョンを?」

「そうだ。多分、だが、多分奴は生きた人間がいれば出られる方法を見付けたのかもしれない」

「……あれが外に出たら、マズイ」

「ああ。兵隊が出るって事は本体も出るって事だ。そうなったらどこにでも行けるし、知らない人間だと誰が人間で誰が違うかもう見分けがつかくなる。しかも階層のモンスター丸ごと食べ尽くすほど食欲旺盛だ。出たらどうなるか考えたくない」

「胞子は発見したの?」

「胞子? なんのだ?」


――――『蔦の胞子に要請はメンバーが』はモンスターで、人間は『蔦は外に出たがって要請は知らない』。救助隊を使って外に出るつもりか。多分最初のゴロノフは擬態で合っている

 

「殺し方は?」

「今の所は燃やす以外は殺せていない。ただ燃やすと――――」

「酸欠」

 ゴロノフは頷く。空気の入れ替えが出来なければ共倒れになってしまう上に、全滅させたのかも分からない。

「俺はこのまま進んでいくつもりだ。潜れば潜るだけ他の事が分かるかもしれない。君はどうする?」

「あんたと潜るよ。あっちのゴロノフはユートを連れている。トラップが結構発動していて床も抜けているし、同じダンジョンの出口を探している可能性がある」

「ここから出たいんだったらそうだろうな。あんた、名前は?」

「シロイ」

「シロイ、あんたは俺を完全には信用していない。俺もあんたが擬態か分からないから信用してない。それでいい。取り敢えず方向は一緒だから手を貸し合おうぜ」

「……分かった」

 その瞬間、私は足を止める。


――――……ユートに、あっちのゴロノフの持っていた薬草の塊を呑ませた……


 血の気が引く。

 もし、あれが炎症を抑える薬じゃなかったら?

 もし、あれが、擬態のゴロノフだったら何故助ける?

 もし擬態の差し出した薬は、薬ではなかったら?

「……急ごう」

「どうした?」

 彼の問いには無言でスピードを速める。


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