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ダンジョンの救助部隊  作者: 結城一
第三章 えぐるような連鎖

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23 追跡と肉塊

 途中からあの蔦が再びちらほら見え始める。そして腐臭。この腐臭には本当に参る。

 酷くズキズキする足の痛みを堪えて暗い通路を歩いて行く。

 ゴロノフが人間ならば最悪だ。最上級の冒険者だ。いくら私が腕の立つエリートでも、ゴロノフは更にその上を行くエリートだ。対峙する事になれば私の勝算は低い。特に怪我を庇いながらだと限りなく低くなってしまう。

 更に最悪なのはゴロノフがモンスターだった場合。彼はモンスターでありながら私に『モンスターに気を付けろ』と言っていたのならば、何故か自分の存在に自覚のないモンスターなのか、私達をいたぶって楽しんでいるモンスターかだ。後半が一番ヤバい。何しろ彼の正体に()()()()()()()()()のだから。

 だが。

 今思えばヒントは、あった。ゴロノフは彼を含めて十一人で潜っていた。彼が死んだと言っていた人数も、十一人。

 何故、もっと早く気付かなかった。

 あれは、モンスターだ。

 

ズゥル…… ズゥル……


 スパイダーの後ろの方からあの引きずる音が聞こえる。まだ見えないが全力で走らないと振り切れないほど足が速かった。追いつかれるのは時間の問題だ。

 私は震える足の痛みを堪えてスピードを上げる。もうゴロノフを完全に見失って前方からは何も聞こえない。だが時折、斬られた蔦が床に散らばっている。


――――何故、蔦を斬る? 蔦自体は今まで攻撃をしていないはずだ


ズゥル ズゥル…… ヌチャ


 走りながら後ろを振り返ると床にはまだ何も見えない。

 だが、音は近い。

 ふと視線を上の方にずらす。

 いた。

 高速で天井を這いながら私を追跡している、肉塊。影に溶け込むように天井の凹凸に嵌りながら進んでいる。

 そしてそれは、私が気付いた事に気付く。


ボトボトボト…… ヌチャァ ズルズル


 地面に落ち、直ぐに体勢を立て直して這って来る。這った後には粘着質なぬめりが残り、腐臭が強くなる。

 肉塊が飛び掛かってくる。

 私はナイフを走らせる。それが地面に落ちる前にまた前方へと向かって走る。


――――クソ! 蔦で移動している!

 

 もうどの壁を見ても蔦が生えている。そして蔦の節々からあの異様な液体が流れ、そこに入っている少量の肉片が集合して私に襲い掛かる。

 空気は重く、腐った臓器のような匂いがする。

 肉塊は私を殺そうとうごめき、這い、飛び跳ねる。


イイギギギギイイイヤァァアア


 肉塊の中から口が、歯が、指が、目玉が覗く。私に向かって這いながらそれらを伸ばしてくる。

 調査書にあったゴロノフのパーティーメンバーのような顔が時折覗いてはまた肉塊に揉まれてうごめく。私の斬った場所から腐った血液が飛び散る。斬った肉片が震え、意思を持って私を追い掛ける。


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