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ダンジョンの救助部隊  作者: 結城一
第三章 えぐるような連鎖

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22/33

22 人間かモンスターか

「……一緒にいて長いのか?」

「まだ一年。だけど、安心して背中を預けられる奴だ」

「いい関係なんだな」

「そうね。お互いの短所を補える」

 『グループにそんな関係の奴がいたの?』という質問が出かかって舌を噛む。いたらいたで、もういない事になる。


ピキ ピキ


「追いつかれたか」

 ゴロノフの言葉に来た道を覗くが何も見えない。だがこの小さな無数の関節が曲がるような音はあのスパイダーなのだろう。忙しなく足を動かし、飛び跳ねながら着々と近付いてきている。

「剣の腕前は?」

「自信あるが、足を怪我している」

 ゴロノフは私の足に視線をチラッと流すと小さく頷く。

「俺が彼を担ごう。後ろを頼む」

「……分かった。ユートを頼む」

 出来れば自分でユートを担ぎたいが、この足ではもう無理だ。私はナイフを出して構えながらゴロノフ達の後に続く。

 すぐに小さなスパイダー達が見えてくる。私は剣を振い、糸を避けながら二人の後に続いていく。

「少しスピードを上げるぞ。頑張ってついて来い」

 一気に歩幅が広がり体格差で進むスピードに差が出始める。


――――速い!

 

「ゴロノフ、少しだけスピード緩めて」


ヒュンヒュン


 私の前を行くゴロノフは聞こえていないかのように暗い通路を進んでいく。

 刃がスパイダーを斬ると甲高い断末魔が重なり、寒気のするような音となる。急いでも徐々に距離が離れていく。


――――ユート!


「ゴロノフ! 少し待って!」

 彼は一度振り返る。無表情な中の目付きは、死んでいる。

 ゴロノフはユートを先の通路へ投げ出すと、今通った足元を強く踏み付ける。


カチッ


「ゴロノフ!」


ゴォォオオオ!

 

 熱い爆風が前方から吹き付けてくる。

 咄嗟に頭を腕で庇い、地面に伏せる。灼熱の風が通っていく。肉の焼ける匂いがして腕が熱くなる。

 

――――熱い!


ギィィィィ ギィィィイイイイイイ


 スパイダーの燃える甲高い音がする。そして視界を遮る重く黒い煙。

 腕の熱が少し引いてから十秒数えて顔を上げる。酷い空気で自然に目から涙が流れてくる。

「ユート! ゴロノフ!」

 まともに数メートルも見えない視界で一生懸命に動きを捕えようと視線を彷徨わせる。だが何も見えない。

「ユート! ユートォ!」

 モンスターの焼ける音以外は何も聞こえない。痛む目を無理矢理開けて通路を這う。所々トラップらしいものを見つけ、避ける。暫く進むと重かった煙が減り、目の痛みが軽減する。だが腕は燃えるように熱い。軽く見ただけでも酷い火傷だと分かる。

 立ち上がり、足を引きずりながら壁を支えにして走り出す。真っ赤な手形を残しながら進む。


――――くそ! ゴロノフ! あれはゴロノフなの? それとも擬態したモンスター? ユートをどうするつもりだ?

 

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